ひとえに自分の選択眼のなさゆえなのだが、テレビも映画も小説も、
最近は亀田興毅選手の世界戦のような、話題先行・内容散々なもの
ばかりで、満足のいく作品にはなかなかめぐり会えなかった。
しかしこの週末、久しぶりに読み応えのある本に出逢うことができた。
横山秀夫「出口のない海」である。
土用の丑明けの土曜日、南千住にあるうなぎの名店・尾花で
1時間半の行列を待つ間に一気に読みきった。
学徒出陣で徴用され、やがて特攻に身を投じる若者の物語だが、
ありがちな血煙が舞うような残酷な戦場描写はまったく出てこない。
むしろ物語が進展するにつれ、描写は主人公1人の心情に収束していく。
それによって読み進むにつれ、主人公の哀しみ、怖れ、そして怒りを
読者自身の感情のそれとして、ダイレクトに感じさせる効果があった
ように思う。
松竹が映画化して9月に公開されるらしい。でもたぶん行かないだろう。
というのは、主人公が乗り込む人間魚雷・回天の操縦席の閉塞感や、
恋人と交わす手紙にこめられた想いなど、その描写を文章にとどめて
個々の無限の想像に任せた方が、より鮮烈に伝わりそうな気がしたからだ。
対して映像化してしまうと、情景のひとつひとつが目に見え、聞こえて
しまうので、想像の描き出す世界が大幅に制限され、月並みな戦争邦画に
なってしまうのではないか。
映像表現に向く向かないは、きっとあると思う。
まあ老婆心は無用かもしれない
文庫版のあとがきによると、日本人のこころを描く名人・山田洋次監督も
脚本に加わる(冨川元文さんとの共著?)とか。
どうのこうの言ってもたぶん、DVDになったら観るんだろうな…
最近は亀田興毅選手の世界戦のような、話題先行・内容散々なもの
ばかりで、満足のいく作品にはなかなかめぐり会えなかった。
しかしこの週末、久しぶりに読み応えのある本に出逢うことができた。
横山秀夫「出口のない海」である。
土用の丑明けの土曜日、南千住にあるうなぎの名店・尾花で
1時間半の行列を待つ間に一気に読みきった。
学徒出陣で徴用され、やがて特攻に身を投じる若者の物語だが、
ありがちな血煙が舞うような残酷な戦場描写はまったく出てこない。
むしろ物語が進展するにつれ、描写は主人公1人の心情に収束していく。
それによって読み進むにつれ、主人公の哀しみ、怖れ、そして怒りを
読者自身の感情のそれとして、ダイレクトに感じさせる効果があった
ように思う。
松竹が映画化して9月に公開されるらしい。でもたぶん行かないだろう。
というのは、主人公が乗り込む人間魚雷・回天の操縦席の閉塞感や、
恋人と交わす手紙にこめられた想いなど、その描写を文章にとどめて
個々の無限の想像に任せた方が、より鮮烈に伝わりそうな気がしたからだ。
対して映像化してしまうと、情景のひとつひとつが目に見え、聞こえて
しまうので、想像の描き出す世界が大幅に制限され、月並みな戦争邦画に
なってしまうのではないか。
映像表現に向く向かないは、きっとあると思う。
まあ老婆心は無用かもしれない
文庫版のあとがきによると、日本人のこころを描く名人・山田洋次監督も
脚本に加わる(冨川元文さんとの共著?)とか。
どうのこうの言ってもたぶん、DVDになったら観るんだろうな…