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クロス豚がゆく

やりたいことは増える一方、しかし自分の時間は減る一方。
そんな中での悪あがきと迷走の日々。

仙台で夏カキを食い、日帰り温泉に入る

2008-08-20 01:47:35 | 旅行
暑い日が続くので「涼しいところでうまいものでも食べて、
いい温泉に入ろう!」ということで相棒と話がまとまった。
幸い、秋田県栗駒山にある露天風呂からの眺めのいい温泉旅館が
予約できたので、金曜日に休みを取って2泊の予定で出かけることにした。

心配された天気は快晴、トンネル状になっている大宮駅の新幹線ホームは
朝9時台にもかかわらず、すでにビニールハウスの中のように暑かった。
車内はお盆真っ只中だけあって満席、ぼくは車両の一番後ろの座席だったが、
座席と車両の壁の隙間に大きなトランクが入れられており、その持ち主らしい
中国人と思しき2人連れが、車両の自動ドア付近に立って大声でしゃべり合って
いるものだから、落ち着かなかった。

幸い新幹線は2時間弱、仙台までである。
今回の大まかな予定は、1日目は電車とバスで仙台周辺を周って1泊、
翌朝レンタカーを借りて栗駒山に移動してもう1泊するというものだ。

「仙台で、どこに行こうか」
前日の夜相棒に相談すると、奴はにんまりとして
『かきが食べたい』と言った。
前回の旅行で見つけたのだが、仙台では夏でもかき料理が食べられる。
そのときは旅の最終日、しかも夕方だったために時間がなく、
2人で生かき5個(うち3個は相棒の胃の中へ)しか食べられなかったので、
今回は昼食に間に合うように行って、一人2000円のコースが食べたいと
いうのだ。
『かきを食べた後は、温泉に行って夜は牛タン食べて…ねぇ温泉、
行きたいとこある?』
かき料理の後、行ける温泉も探しておくようにということらしい。
そんなこんなで出発前夜は2時近くまで下調べをする羽目になった
―のだが、その甲斐あって行程だけはほぼ完璧である。

電車待ちと仙石線乗車を経て、昼食に理想的な時刻に
東塩釜駅へ到着することができた。


駅を出て、夏の日差しが照りつけるアスファルト道をふたりで
暑い暑いと言いながら10分少々、


かき料理の店に着いた。

お冷が出るか出ないかのうちに、せっかちな相棒は

『千賀の浦コース、2つ。ワインは生がきにチェンジ』とオーダー。

10分ほどで、生がき3ピースが出てきてコーススタート。

最初は生がき3ピース。


レモンのほか、好みで選べるソースは3種。



かきのガーリック焼き。写真は1個だが、実際は2つ出てきた。
程よく熱の通ったかきの身からにじみ出るスープがウマかった。



カキフライとかきとまぐろの合い挽きハンバーグ。
前の2品がお酒のつまみ向きだが、こちらはご飯のおかずになる料理。

一心不乱に食べたこともあって30分強でコース料理を完食。


駅に戻って再び仙石線に乗り、あおば通で市バス150円区間の
乗り換え料金が込みになった400円の切符を買い、
仙台市営地下鉄に乗り換えて片方の終点泉中央へ向かった。

泉中央からはバスに乗るが、30分以上の待ち時間がある。
幸い、泉中央駅にはショッピングモールが併設されていたので、
ウインドウショッピング兼試食コーナー巡りをして時間をつぶした。

目指す温泉へは、「根白石デイサービスセンター入口」という停留所で
降りるらしい。バス料金は停留所ごとに料金が上がる仕組みで、
買った切符に含まれる150円区間はすぐに通り過ぎてしまった。

あとどれくらいで降りるかもよくわからないのに、料金は結構なペースで
加算されていく。
一体いくらになるだろう…
とやや不安になりながら車中の吊り広告を見ていると、地下鉄と市バスが
1日乗り放題になる「夏休み遊ぼうチケット」というものが1000円で
売られていることが分かった。しかもバス車内でも買えるらしい。
すでに400円払っているが、帰りのバスと電車、その後の仙台駅から
ホテルまでの移動などを考えると、間違いなく今後1000円以上使うと
思われたので、早速購入。

バスの乗り越し料金分から、このチケットが使えた。


停留所を降りて数分歩くと、目的の温泉である。

一見普通の民家のような外観。明日の湯温泉という。
12畳間ほどの浴室に4畳間ほどの浴槽が1つ、先客は4人ほど。
やや黄色がかった透明な湯は適度に熱く、肌にツルツルとなじむような触感。
静かに湯に浸かっていると、体中が細やかな気泡に包まれた。

バスは1時間に1本である。帰路、暑い盛りに1時間近いバス待ちが
あったが、旅初日としてはなかなかの内容になったのではないかと
思っている。

南伊豆無料温泉はしご旅

2008-06-24 01:06:32 | 旅行
久方ぶりの泊りがけツーリングも2日目の朝を迎えた。
貸切でヒノキ露天と岩風呂の内湯を楽しんでから朝食。

主菜はアジの開き。温泉卵も出た。

宿代の精算を済ませてフュージョンに荷物を積んでいると、
おかみさんが出てきて、「どうぞ」と甘夏を2つくれた。

あいにくの曇り空ではあるが、せっかくの南伊豆なので、
南端の海を見ようと石廊崎に行ってみたが、バイクも
駐車料金がかかると聞き、興ざめしてついついスルーしてしまった。

海沿いを少し西へ走ると、数台の車が停められる駐車スペースが
あったので、フュージョンを停めた。

少しばかり坂を上ると視界が開けた。

海を臨む丘に建てられた「あいの鐘」と書かれた鐘をたたくと
「ウォン」と、なにやらさびしげな音を立てて鳴った。

海沿いを走って松崎町に入る。
海山の美しい風景と古い町並みが残るこの町では、2004年のテレビ
ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」のロケが行われたそうだ。
しかし、ぼくがこの町で目的とするのは2箇所の無料温泉である。

そのうちの1つ、赤井浜露天温泉は国道の海側を注意深く見ていると
比較的大きな案内看板が出ているので容易に見つけられる。
看板の横から海に下る道を数分下れば海を望むコンクリート造りの
小屋が見えてくきた。


先客は男性1人、相棒はその裸体に圧倒されたのか、パス宣言。
そしてぼくは…



塩気の強い泉質で湯加減はぬるめ。眼前には水平線。
遠慮なく温泉を満喫させてもらった。

しばらくすると、カメラを提げた丸いメガネの男性がやってきた。
バイク雑誌の写真撮影をするとのこと。
どうか気遣いなくと言われたが、相棒を待たせているので
これを機に次の温泉へと移動。

次の温泉は赤井浜温泉から数キロ北の漁港の片隅にあった。

先客もなく、カーテンで目隠しされた脱衣スペースもある。
相棒勇躍して温泉へ。

ぼくも当然後に続く。
湯船の奥の岩の上に地蔵が祀られており、その足元から
新しい湯が滝のように落ちてくる。

海のそばながら、塩気は強くない。

温度が熱めで長湯は出来ないけれど、これはこれで楽しかった。
やや無愛想な熟年ライダー夫婦が来たので、譲る気持ちで上がった。

湯上りは、横にあった四阿で。
冷えた生ビールを飲りたいところだが、まだまだ200km近く
運転しなければならないので、お茶で我慢。
やがてバイク雑誌の撮影クルーが追いついてきた。
「こっちは少し熱いですよ」と声をかけてから出発。

スカイライン(観光有料道路)という文字を見れば必ず
「行こう、通ろう」と騒ぐ相棒が今回も例に違わず騒いだので、
やむを得ず天気があまりよくない西伊豆スカイラインを登る。

少し肌寒く、フュージョンに積み放しにしてあったジャンバーを
羽織って走った。

あわよくば富士宮に寄って相棒の大好物である焼きそばを
食べようと考えていたが、さすがに伊豆半島は広かった。
目的の店の営業時間内には到底間に合わないことが分かったので、
代わりに柿田川湧水群を見学してから


湧き水を汲み、


水に関連した売店が集まった泉の館という施設で

ぼくは寄せ豆腐、


相棒は湧水コーヒーを楽しんでから、国道1号線を東へ向かった。

富士宮やきそばのカップめんと鰹の塩辛。

相棒がぼくに、ぼくが相棒に買ったお土産である。

旅の締めは、環七沿いにある相棒お気に入りのラーメン店で。

次、遠出ができるのは夏休み…今から待ち遠しいものである。

南伊豆ツーリング

2008-06-18 00:20:08 | 旅行
相棒の体調が余りよくなかったので週末の外出を控えていたが、
土曜日の朝、自分から「泊りがけのお出かけがしたい」と言い出した
ので、久しぶりに泊りがけで出かけることにした。

「どこへ行きたい?」
相棒に尋ねると、奴はうーん…と唸ってから
「岩風呂とヒノキの浴槽の温泉があって、露天風呂があって、
できれば貸切ができて、お魚が食べられて、ひとり1泊1万円以内で…」
などと、好き勝手な条件をズラズラと出してきやがる。

土曜の当日に、そんな好条件のところが空いていると思うのだろうか…
それに聞いているのは、“どんな”ではなく、“どこへ”だ!

相棒の、相変わらずの夢見がちな要望にややイラつきながらも探してみると
意外にも南伊豆で、相棒の条件にかなり近い民宿が見つかった。
ヒノキ風呂の露天があって内風呂は岩風呂、いずれも貸切OKとのこと。
しかも刺身の舟盛りも出て、1人1泊7500円である。

すでに正午を回っている。
宿で夕食を食べたければ、夕方6時までには現地に着かないといけない。
最小限の用意を手提げ袋に詰め、カーナビに目的地をセットして、
フュージョンのエンジンをかけた。

当初は地道で行くつもりだったが、それでは夕方6時の現地入りは
到底覚束ない。やむを得ず用賀ICから東名高速に入り、フュージョン2人
乗りでは初めての高速道路走行を決行することにした。
非力かつ長大なボディのフュージョン、しかも2人乗りでの高速走行である。
巡航速度が100km/hを超えると、小刻みな振動が出て余り快適ではない。


途中の海老名SAで牛丼の昼食を食べ、トータル1時間半の走行ののち、
沼津ICで2400円払って東名を降りた。

高速を降りてから、寄り道はガソリンスタンドに併設された
ドトールでコーヒーを1杯飲んだだけ。
その甲斐あってか夕方5時半には宿に到着した。

本当にこじんまりとした民宿である。
果たしてヒノキ浴槽の露天風呂などあるのだろうか…
若干の不安が頭をよぎる。

玄関をくぐり
「お世話になります!予約したクロス豚です」
声をかけると愛想の良いおかみさんが出てきた。

ネットで予約したためか、宿帳を書くこともなく
案内されたのは、6畳の和室。

他の部屋は扉が開け放たれていたので、今宵の宿泊客は、
どうやら我々だけらしい。風呂どころか、全館が貸切である。
夕食まで時間があるので、早速露天のヒノキ風呂に行ってみた。

浴槽は家の風呂とほとんど同じサイズ。
しかしながらしっかりヒノキの香りがして、意外にイイ雰囲気を
醸し出している。しかも湯口から注がれている塩気の強い温泉は
かけ流しである。

ややぬるめの湯温で、天気がよければ星空を眺めながら
長風呂が楽しめそうな感じ。

内風呂にも行ってみた。

こちらは家の風呂4つ分ぐらいか、2人でもゆったりと入れるサイズ。
温度はやや高め。

他に宿泊客がいないので、タイプの違うこれら2つの風呂が完全に
貸切である。

そしていよいよ夕食。


小さいながらも刺身の舟盛りも出た。

アジ、たい、マグロの3種。

他にメバルの煮つけとブリのバター焼きも出た。
旅館の豪華料理などを期待していなければ、質・量ともに
十分満足できるレベル。

せっかくの全館貸切なので、食後再びヒノキの露天風呂へ。

梅雨時期ゆえさすがに満天の星空は眺められなかったが、
雲間ににじむ月もこれはこれで良いんではないか…

食べ終わった食器を炊事場まで下げること、布団敷きはセルフサービスだが
それが苦にならなければ、意外と当たりの宿かもしれない。

木更津で潮干狩り

2008-06-09 00:04:32 | 旅行
よんどころない事情が続き、しばらく週末の遠出が出来なかった。
しかし、わが零細企業が属する健康保険組合の行事で潮干狩りが
あったので、相棒と行ってきた。

品川駅から木更津駅までは高速バスで1時間。
海底トンネルを抜けると、小雨がぱらついていた。


木更津駅でバスを降り、商店街を海へ歩く。

駅から20分あまり。中の島大橋のつづら折のスロープを登ると
潮干狩りでにぎわう浜が。



熊手と貝を入れる網、入浜券が健康保険組合から配られ、
いよいよ潮干狩り開始である。

潮干狩り初挑戦の相棒と、ほぼ30年ぶりの潮干狩り(潮干狩り場は
初めて)のぼく。

確かな方針も何もなく、ただただ浜を掻いていたが…


それでも2時間弱で、1人1kgぐらいの「あさり」と
あさりよりやや味は落ちるという「しおふき」数粒をGET。
しおふきは砂抜きが面倒だが、茹でるとなんとかなるらしい。


木更津駅で漁り駅弁を買って遅めの昼食。

そして帰宅後、あさりの砂抜きを準備してから、10粒ほどあった
しおふきを軽く茹でてから水洗いし、茹で汁で温めなおしたものを
しょうが醤油で食べたが、ほぼ完璧に砂は除けていて、なかなかうまかった。

お台場と朝日湯

2008-04-07 00:43:07 | 旅行
入社試験の試験監督を仰せつかり、朝6時から出かけていた相棒が
午後1時に帰ってくるなり「どっか連れてけー!」と吼えるので、
とりあえずフュージョンをお台場へ走らせた。

週末の午後でこの陽気、臨海副都心の混雑の中で幸いにも見つけられた
商業施設の駐輪場にフュージョンを停めた。

海浜公園のレインボーブリッジを望む渚を海沿いに反時計回りにたどって
船の科学館まで散歩して、久しぶりの水辺風景を楽しんだ。

暖かさに勢いを得て、第1京浜をさらに西へ。生麦駅近くの銭湯まで
足を延ばした。
東京南西部から横浜にかけてのエリアには、黒湯と呼ばれる化石植物
成分を含む泉水を使った銭湯が集まっている。生麦駅近くの銭湯・
朝日湯もそんな銭湯のひとつだ。
第1京浜を行き交う車の喧騒を背に暖簾をくぐると、そこには遠い昔に見た
ような風景がそのまま残っていた。

頭と身体を洗い、黒ビールのような10cm以下の透明度の黒湯に体を浸すと、
今以外の全てが自分の中から消えていく。
昨日までのことは済んだ事、明日からのことは明日から考えればいい。

浴後は、朝日湯近くの懐かしい佇まいの中華料理屋で、ラーメンと餃子の夕食。
町の中華料理屋らしい素朴で均整の取れたしょうゆ味のラーメンと、
野菜のやさしい甘味が効いた焼き餃子が、日曜午後の発作的な「ちょい旅」を
いい感じで纏め上げてくれた。

東京へ

2008-01-05 00:12:49 | 旅行
久しぶりの故郷での年末年始は光のように過ぎ去り、
東京へと戻る。

Uターンラッシュの只中、のぞみでは2人分の座席は
取れず、朝早いひかりにようやく席を得た。

今回の帰省には、東野圭吾の「探偵ガリレオ」と
自由国民社「わかりやすい訴訟のしくみ」の
2冊の本を持ってきていた。
しかし帰省前日は、徹夜で大掃除をしていたため、
往きの車内はほとんど寝て過ごし、故郷では相棒の
突発的なリクエストによる「コロッケ食べ歩き」など、
意外に多忙なスケジュールが飛び込んできたため、
これまでまったく手をつけていなかった。
せっかくだからとそれらを読むうちに、ひかりは京都、
名古屋、静岡の各駅で乗降と出発を繰り返し、東京への
Uターンの旅程も3分の2を過ぎた。

空は快晴である。

しばらく車窓を流れる風景を眺めていると、やがて正面に
ほとんど雲のかからない富士山が映し出された。
この時期に新幹線に乗り富士山が見えたのは、大学受験の
下見のため東京へ行って以来のことだ。

あれからほぼ20年、
ままならぬことはいろいろとあったけれど、とりあえずはどうにかやってきた。

また1年、ボチボチやってみますか。

共同浴場、そして山形そば街道

2007-09-18 00:50:02 | 旅行
宿全体が貸し切りの蔵王の宿での一夜も明けた。
ついに旅の最終日である。
夜8時までに山形駅のすぐそばにある営業所に
レンタカーを返却する以外、あらかじめ決まった
予定はない。

さて、どうするか…

以前蔵王に来たことがあるという相棒によると、
共同浴場があるということなので、
行ってみることにした。
宿のフロントで尋ねると、車を置いて
歩いていった方がいいとのことなので、
車を置かせてもらったまま、タオルと
デジカメを手に温泉街に出た。

夏休み最後の土曜とはいえまだ朝の9時前、
温泉街も観光客はほとんどいない。
車1台通るのが精一杯の道をたどって、
湯小屋というのが当てはまりそうな
たたずまいの共同浴場・川原湯に着いた。


先客に、こんにちはと声をかけて浴室に
入った。
浴室は板張りで、歩くとミシミシ音を立て
少し沈んだ。4人ほど入れそうな浴槽の底と
側面はすのこ状になっており、すのこの向こう
には、地面がのぞいている。
この湯殿自体が源泉に覆いかぶさるように建てられ、
浴室はほとんど源泉に浮くような形になっている
のだろう。
硫黄の香が立ち上る湯は、青みを帯び静かに
水面を揺らしている。
九重高原の冷泉・寒の地獄と湯の色がよく似ている
気がする。
手桶に3杯ほどの湯を浴びて浴槽に体を沈めた。
川原毛大滝湯の湯あたりでチクチクする臀部に
電流が走る。
ここも成分が相当濃そうだ。しかも熱い。
目を閉じ数分、女湯から相棒が誰かと話す声が
聞こえたので目を開くと、水面下の格子の向こうに
相棒の白い尻が映った。

上湯共同浴場はすぐ近くにあった。

先客が2人いたので、ここも熱いですか?と尋ねると、
「いい湯加減です。堪能していってください。」と、
ちょっと永瀬正敏に似た男性が丁寧な返事をくれて
あがっていった。
かけ湯をして体を湯に沈める。やや白濁した湯は確かに
入りやすい、柔らかな温度だった。

川原湯より1回りは大きい広めの浴槽を独占させてもらった。

湯をあがって温泉街を散策していると、少しずつ観光客が
増えてきたのでわれわれは蔵王を出発。山形駅前に出て、
電話帳で見つけたチケットショップで山形―大宮間の新幹線
ディスカウントチケットを入手し、国道13号線を北へ向かった。

カフェイン中毒の相棒が、道沿いにドトールコーヒーを
見つけて例によって騒ぐので、仕方なく立ち寄る。

より道もあったが午後1時過ぎ、山形そば街道の有名店
あらきそばに到着した。

案内され、囲炉裏のある土間で靴を脱いで座敷に上がる。
店内をキョロキョロ見回すと、そばは「うす毛利」(並み盛)と
「むかし毛利」(大盛り)があるらしいとわかった。
空腹だったので大盛りを頼みたかったが、あいにく今は
「うす毛利」しか受けられないとのこと。相棒と2人
1枚ずつ頼んだ。

やがて、幅40cmほどの浅い箱に薄く盛り付けられたそばが
出てきた。

明らかにかむことを要求している太目のそばは、気持ち
甘めのそばつゆによく合う。
「うす毛利」もなかなかの量だが、大食いのぼくと
しては、やはり「むかし毛利」を食したかった。

立て続けにもう1軒では相棒にきついので、どこか
温泉に行くことにした。
今回の旅行の企画者である相棒に相談すると、
そう遠くないところに、銀山温泉というところが
あるというので行ってみることにした。

温泉街の手前にある駐車場はほぼ満杯、観光バスが
続々とやってきている。ぼくは知らなかったが、
かなり有名な観光地らしい。
ようやく駐車場の隅に場所を確保してプリウスを
停め、温泉街へ向かった。

小さな川を渡る橋のたもとから、銀山温泉の
温泉街が川に沿って延びていた。
川沿いの道は人が3人並べばもういっぱいに
なりそうな道幅。
川を覗き込むと、大きなニジマスがゆらりと
流れに乗っている。
川に面した建物は伝統的な温泉旅館風で、
今の懐古的な流行のアンテナに響きそうだ。
これで、今の3分の1ぐらいの観光客だったら…
などと、自分自身が観光客の一人でありながら
思ってしまった。

さて、目的の公衆浴場を見つけたので入ってみる。

2畳にも満たない小さな浴槽だったが、
幸いにも誰も入っていない。
やや熱めながら柔らかな泉質を楽しんで
いたが、ほどなく人が入っている浴槽に
自分が浸かる前から水栓全開で冷水を入れる
入浴マナーのよくない年配の2人連れが来た
のを機に退散した。

外に出ると川の対岸で相棒が待っていた。


やはりもう1軒は寄りたい。
そう言うと、旅のブレーンである相棒が、
道の駅でもらったパンフレットから
銀山温泉近くに蕎麦屋を見つけ出した。
一見普通の農家のようなたたずまいのこの店
鶴子そばという。

店の中も4人も入れないのではなかろうか。
まったく普通の民家の居間そのもので、
なにやら知り合いの家で不意に食事をする
ことになったかのような雰囲気。
しかしそばは予想外に本格的だった。

つゆを入れるそばちょこには、最初から辛味大根の
おろしたものが入っていて、それにそばつゆを入れて
味を調節するというもの。
そばつゆは徳利で供されるが、これが東京の名店・
並木藪そばのそばつゆ並みに濃厚なものなので、
辛味大根の個性に負けず、太いそばのいい引き立て役に
なっている。旅の最後にいいものに出会えた。

夕方のラッシュが始まった国道13号線を南下して
午後7時前、山形市街に入った。

交差点を左に曲がるとレンタカー営業所があるはずだ。
山形駅からは新幹線と在来線を乗り継ぐ3時間の電車旅、
そして9日間の夏休みが終わり、また東京での日常に戻る。

ドトールと蔵王温泉

2007-09-06 01:21:01 | 旅行
あいにくの本降り、朝9時ごろチェックアウト。


この天気では、温泉のほか行くところは
思いつかない。そこで相棒と相談して、
鳴子温泉へ行くことにした。

およそ1時間のドライブで鳴子温泉街に到着、
共同浴場の滝の湯と早稲田桟敷湯で入浴し、
町の蕎麦屋で鳥南蛮の昼食を食べた。

鳥から出る油がそばつゆにコクを与えていて
うまい。

相棒と相談して決めた今宵の宿は蔵王温泉。
幸い多くの宿泊施設に空室があったので、
ロープウェイ駅の隣にあるという、宿に
予約を入れた。

鳴子温泉から宿へ向かう道すがら、
例によって相棒が騒ぎ出す。

「眠い!私にコーヒーを、
 ドトールのエスプレッソを飲ませろ!」

幸いにも道の駅天童に
ドトールを見つけたので車を停めると
まるで中毒患者のようなおぼつかない
足取りで、車外に飛び出す相棒。

うーん…奴は大丈夫か?

宿泊施設には夕方5時過ぎ到着。
案内された部屋は本来6人用とのこと。

ロフトがあってベッドが2台、

部屋全体で5台のベッドがある。

ベッド3台の部屋に泊まったことはあるが、
5台の部屋は初めて。
大浴場も露天風呂も、ほかの客と会わなかった。

夕食はレストランで…ということなので、
指定の時刻行ってみると、2人分の席だけ
用意されていた。

風呂上りの勢いで注文してみた生ビールは
やや酸っぱい。
オフシーズンで、ビールがあまりサーバーを
通っていないのだろう。

どうやら今夜は、宿自体が2人の貸切状態のようだ。

最上川舟下りと川原毛大滝湯

2007-09-04 00:18:29 | 旅行
朝6時半起床、休暇村恒例の朝の散歩に参加した。

空は時折小雨がぱらつく模様。
平日であることもあいまって、散歩の参加者は
相棒とぼくの2人だけ。
われわれ2人があまりにも草木を知らないためか、
休暇村の人は懇切丁寧に説明してくれ、
通常30分の予定が1時間の散歩になった。

今回の旅は立案から宿泊地の選定まで、相棒主導で
進んでいる。
ぼくはレンタカーの運転と宿への空室照会が担当だ。
朝食後、相棒からこの日最初の指示が出た。

「最上川下り。山形県戸沢村」

観光船乗り場まで黙々と運転、渋滞もなく
午前10時50分出発の船に乗りこんで川に出た。

昼前の時間帯ということもあってか、
同乗者は20人ほど、
同じ時刻でもう1船出ていたぐらいなので、
盛況なのだろう。


つい4年前まで、休みといえばインフレータブルカヌーを
フュージョンに乗せて、ひとり各地の川へ旅していたので、
観光船の川下りには、ぼくはあまり期待していなかった。
しかし実際乗ってみると、60代後半と思しき男性ガイドが
歌う舟歌や民謡が、川沿いをダンプカーが行きかう現在の
川風景にマッチして、意外にもしっかりと楽しめた。

昼は新庄市のそば店「いせき」で、山形名物「板そば」を。

細めのうどんぐらいの太さがあるそばは、
「食事のそば」というべきか。
兵庫県人のぼくは、そばといえば出石皿そばなので、
出石風にダシを少しずつかける食べ方で試した。
うどんのようなコシがあって、そばには珍しい食感である。
強めのダシもいい。蕎麦湯まで完飲。

食後、旅の立案担当である相棒に次の行き先を尋ねた。

―で、次どこ行くん?
「えーとね、温泉。かわらけおおたきゆ?」

衰えたわが脳内に何か引っかかる
相棒の言い放った名詞。
わが脳内のいずこにか埋もれた記憶を求めて、
しばし黙考。

―かわらけおおたきゆ…いまは山形、つまり東北…
で、温泉…ということは…
ka,もとい、川原毛大滝湯!!

全国数ある野湯の中でも珍しい、滝つぼ温泉である。

行けるならぜひ行きたい。
が、野湯は多くの場合アクセスが難しい。

「ま、行ってみようよ」

万事根拠のない楽観主義で押し通している相棒に
今回も励まされ、ナビの目的地に川原毛地獄を
とりあえずセット。

湯沢・横手道路の無料区間を走り、須川ICから
山へ向かう県道をたどった。
果たして、“案ずるより産むが易し”とは
よく言ったもので、いざ来てみると川原毛地獄と
大滝湯の案内標識がいたるところに出ている。
ナビもいらないぐらいである。

午後3時過ぎ、川原毛地獄の駐車場に到着、
山道の道標をたどること10分ほどで
目的の滝つぼにたどり着くことができた。

湯滝には数人の若者が水着姿で入っている。
観光客も10人ぐらい、足を浸けていたり、
見ているだけだったり。

そしてわれわれ、水着を持ってきていないので
足だけ浸けて帰るかな…とぼくは思ったが、
相棒にここでも励まされる。

「私はともかく、せっかくだから行ってきなよ」


素直なぼくはその言葉に従い、いい年して
公衆の面前で裸になりました。

 
湯の温度は思いのほか適温。
滝を落ちる湯が起こすのか涼しい風が
そよそよと滝つぼに流れており、
1時間ぐらいは過ごせそうな快適さだ。
滝つぼはこの日は2つ、向かって左は
身長175cmのぼくの、首あたりまでの深さ、
右はひざあたりまで。

天然の打たせ湯とばかり、滝にも当たってみたが
その水圧は見た目以上にすごい。
湯は肌に触れるとつるつるするが、しょっぱく
酸い味がして、目に入るととてもしみる。
それでも滝を浴びたりもぐってみたり、
相棒が撮る写真向けにオーバーアクションを
振舞ったりしたので、相棒によれば
ほかの観光客にもかなり受けていたとのこと。
(失笑を買っていただけかも



20分ほど湯を楽しませてもらったが、
湯の酸にやられたのか、顔やでん部が
ヒリヒリし始めたので、名残惜しく湯を上がった。

湯質と野趣のあわせ技で、今年今現在までの
マイベスト温泉に決定。
共同浴場や野湯が好きなぼくのために、
川原毛大滝湯行きの計画を立ててくれた
相棒に感謝!

法体の滝と鳥海ブルーライン

2007-09-02 12:12:25 | 旅行
朝食後、ホテル周りを散歩して10時ごろに出発。

事前に決めた予定は、例によってまったくなし。
天気がよければ鳥海山に上がってみようと思って
いたが、あいにくの空模様なのでパスすることにして
その代わりに、前日ホテル手前で案内標識を
見かけた「法体の滝」へ行ってみることにした。

あまり期待せずに行ったのだが、日本の滝百選の
冠にたがわず、水量豊富で落差もあり、豪快。
川原からは迫力のある滝つぼが、展望台に登ると
全容が眺められた。



川原に戻って散策。
滝から流れるせせらぎも透明度が高く、
水はキンと冷たかった。

海を目指してプリウスを走らせる。
道端に立つ観光地図のイラストに描いてある
岩牡蠣を目ざとく見つけた相棒が、
「岩がきイワガキいわがき」と騒いでうるさい。
ちょうど昼どきでもあったので、件の地図のイラストの
すぐそばにある道の駅・象潟に立ち寄ってみたが、
あいにく今年のシーズンは終わってしまったとのこと。
相棒には刺身定食で手打ちにしてもらった。

山のほうへ車を戻して鳥海ブルーラインを走った。
ブルーライン最高所に建つビジターセンターあたりは
霧に包まれていたが、上り下りの九十九折の道から
ながめる日本海はそれでも美しかった。

自転車で上ってきているグループもあって、
軟弱自転車通勤人としては、尊敬のまなざしを送るしかない。

山を下り、あぽん西海という変わった名前の温泉施設で
休憩した後、休暇村羽黒にチェックイン。
1泊2食プランでは一番安いスタンダードコースだったが
それでも十分贅沢。

そば、ご飯の食べ放題が大食漢のぼくにはうれしかった。

食事後一眠り、10時ごろ目が覚めたが、ビール4本と
前夜残った日本酒を飲んで二度寝に持ち込んだ。