月白のワーディー渡るヌーの群 藤本敏史
第7回金秋戦決勝戦
題:月
1位 森迫永依 3級 朝月のアザーン砂漠の空港へ
2位 藤本敏史 永世名人 月白のワーディー渡るヌーの群
3位 森口瑤子 名人7段 こりりとすっぱそうな三日月のかど
4位 村上健志 永世名人 良夜かな香典返しの茶漬け食ふ
5位 春風亭昇吉 4級 名月は東に父島観測所
6位 横尾渉 永世名人 良夜のノーヒッター肘の手術痕
7位 千原ジュニア 永世名人 あんな家二度と帰るか睨む月
8位 梅沢富美男 特別永世名人 桂月やキャラメルの香の満ち満ちて
9位 犬山紙子 3級 別れるはずだったのに月が綺麗
10位 皆藤愛子 名人5段 細月を探す三箇所残り蚊に
俳句には三大季語というのがある
「雪・月・花」
いよいよ金秋戦にその一つ「月」が出て来た
月は、それだけでは秋になるが、春の月と言うように、
四季折々の月を詠むことが出来る
又、一つの季語に対して傍題も多い
今回は、唯の月のほかに良夜、名月、三日月などを詠んでいる
プレバトの月の句を見て、本当に今どきの句だなアと思う
一茶などはこのような句を作っている
「名月を取ってくれろと泣く子かな 」 一茶
「外にも出よ触るるばかりに春の月」 中村汀女
現代活躍している俳人にはこんな句がある
杏子先生は先日亡くなってしまったけど…
「水の地球すこしはなれて春の月」 正木ゆう子
「木の家に棲み木の机おぼろ月」 黒田杏子
優勝と2位の句は、図らずも横文字が出てきて、一読して理解できない
辞書を引っ張り出して、それから理解する句だ
4位の村上の句が辛うじてわかり易く句かなアと思う
7位と9位は、自身を詠んだ句
下位になっているが、カッコつけた様な句よりumeさんは好きだ
犬山紙子は、自分の人生を切り取ったような句でいつも圧倒される
ずっと以前だが、こういう句のつくり方をする女流俳人がいたが、
密かに期待している一人だ