梅さんのかわら版.umelog

笛吹市 シャインマスカット

"土佐堀川~あさの生涯”

2015-10-14 23:51:37 | 本と雑誌

10月から始まった朝ドラ「あさが来た」が面白い。
原案は古川智映子の書いた「土佐堀川」。
女性実業家である広岡浅子の生涯を描いたものだ。
朝ドラ初の江戸時代、幕末からのスタート。


昨日美容院に行ったら、今度のドラマは着物をみるのが楽しみだと言っていた。
確かににそうだ。今回は豪商が主役なので、
この豪商がどのような暮らし方をしていていたのか、着物も含めて非常に興味深い。
主人公広岡浅子は、実に豪快な人物で、次から次へと事業を起こしていく。
その生き様は見ていて、気持ちがいい。
今、婚家を立て直すため、炭鉱事業を起こす所まで読み進んだ。
直に読み終わると思うが、知識をつけておいてドラマを見るとまた楽しいかもしれない…

"芥川賞~の前の又吉作品”

2015-09-12 18:05:47 | 本と雑誌

又吉直樹の芥川賞受賞以前の作品を読んでみた。
この二冊の本は、又吉の作った自由律俳句が載っている。
この時期、又吉は自由律に嵌っていたようだ。
自由律俳句は、575ではない。
575の定型や季題にとらわれず、自由な感情の表現に重きが置かれる。
種田山頭火という有名な俳人がいる。

 あるけばかつこういそげばかつこう  山頭火
 酔うてこほろぎと寝ていたよ     山頭火

だからなんなんだ…というような、おおよそ俳句とは思えない言葉の羅列だ。

このような俳句を2009年と2010年に相次いで出版している。
又吉にとって、色々制約のあるものより、感情をそのまま言葉にする物の方があっていたのだろう。
しかし、又吉にとっては思い入れのある句だと思うが、全然面白くない。

 こつが解ったから早くやりたいと焦っている  又吉直樹
 二日前の蜜柑の皮が縮んでいる        又吉直樹

芥川作家にこんなことを言っては失礼だが、共感も感動もない。
最後まで読みたいと思わない。
自由律って誰もその良さが分から無いと思う。
まぁ、今は定型句を勉強しているようなので、それでよかったと思う。

"風の盆恋唄”

2015-08-28 19:30:11 | 本と雑誌


毎年9月1日から3日間開催される越中「おわらの風の盆」。
この時期は、富山県八尾(ヤツオ)市内に大勢の観光客が押し寄せる。
誰もが一度は行ってみたいと思っている風の盆。
風の盆は、普通の盆踊りではない、特別な存在である。
俳句の世界では、「風の盆」は秋の季語となっていて、よく詠まれている。
なぜここまで愛されるのだろう。

日本全国どこにでもある、風の神を鎮め豊年を祈る盆踊りであったが、2003年、高橋治による「風の盆恋歌」が
発表されるや否や、たちまち全国に知れ渡り、人々が押し寄せるようになった。

この風の盆恋歌は、悲恋である。
別れ別れになった恋人同士が、30年後に再会する。
再び燃え上がった二人は、一年に一度、この風の盆の三日間だけ逢瀬を楽しむことになる。
しかし、やがて二人には哀しい結末が…

三味の音に胡弓の加わった「おわら節」の哀調を帯びた音色…
男女共に深くかぶった編み笠…
流れるようなしなやかな艶やかさをもつ踊り…

この小説と見事にマッチしてしまった風の盆。
人々はここへ、忘れ去られていたあの青春を取り戻しに行くのかもしれない…

"又吉直樹は好きですか?”

2015-07-25 02:54:26 | 本と雑誌

これまで又吉直樹について3回ほど書いてきた。芸人と俳人 俳句の対談 NHK俳句
どれも俳句の観点から見て来た又吉直樹だが、その人間性は知れば知るほどミステリアスで興味深い。

又吉直樹のこのブームは文芸春秋が仕掛けたもの…だと思うが、
見事にそれに応えたのが又吉直樹。
ダ・ヴィンチ7月号、これはまだ芥川賞を取る前に出ているが、
本の半分くらいを割いて特集を組んでいる。
あらゆる角度から又吉を追っているが、どれも半端じゃない。
俄仕立ての文人ならすぐにメッキが剥がれるが、ますます興味が湧いてくるから不思議だ。
つい先ほど、祝い受賞ということで再放送された、NHKの又吉直樹のファミリーヒストリーを見た。
その先祖もミステリアスであった。
こういった家族の歴史、そして自身の性格、莫大な蔵書、コツコツと積み重ねて来た太宰へのこだわり…
すべたが今の又吉を作り上げてきたのだろう。
火花を出版するや否や、あれよあれよという間に世間の注目を浴び、
一気に芥川賞作家になってしまった又吉。
もう、夏井いつき先生の俳句の査定などには、気軽には出てくれないだろうなぁ。
でも、芥川賞作家だからこそ、今度はどんな俳句を作るのか見てみたいものだ。

”他界~兜太氏の生き様”

2015-01-27 16:41:10 | 本と雑誌

1か月前に出た新刊書です。
”他界”
俳句界の大重鎮の金子兜太さんの書いた本です。
金子兜太さんは、2年前に笛吹市で開催されたNHK俳句大会で講演をしています。
1919年生まれの95歳。飯田龍太さんとも交流のあった有名な俳人です。
この時初めて生の兜太さんをみたのですが、umeさんがこ兜太さんを知ったのは、
毎年正月に開催されるNHKの俳句大会でした。
選者としてテレビに出ていたのですが、講評が面白い!面白い!
そして他の選者との丁丁発止の言い合いも面白い!
その時は、なんて自由人なんだろうと思ったものです。

しかし、この本を読むと兜太さんの生き様は生半可なものではないと分かります。
兜太さんの生き方の底流には戦争があるのです。
そうそう、この本は俳句の本ではなく、兜太さんの生きて来た軌跡を描いているのです。
もう怖いものはないのかという位、なんでもあけすけに書いてあります。

東大の経済学部から日銀に就職。東大でなければ人ではないという学閥第一の日銀にあって、
あえてその学閥に反抗し続けた人生。
その生きざまがなんともかっこいい!

彼の人生を変えた戦争。

  魚雷の丸胴蜥蜴這い廻りて去りぬ (兜太)

日銀を3日で辞めて(終戦後戻る)ある戦地に赴いた時の句。
強力な兵器である魚雷のテカテカした鉄の肌の上を、トカゲが来て這い回り、
さっと消えていった、その不気味な生々しさを詠んでいます。
戦地では、想像を絶する体験をするのですが、それが今の彼を作ったのです。

 病に耐えて妻の眼澄みて蔓うめもどき  (兜太)

奥さんの皆子さんも句を詠みます。そして10年の闘病の末70代でこの世を去ります。
最後の言葉は「兜太と一緒にいて面白かった」

  春落日しかし日暮れは急がない   (兜太)

病院でしぬのは自然死とはいえない、やっぱり自分の家が一番いい…




"心の掃除…術”

2015-01-25 17:55:05 | 本と雑誌

新刊書にこんな本を見つけました。
これは精神科医の斎藤茂太博士が書いたものです。
”心の掃除術”
今や心も掃除する時代となったのです。
「塵も積もれば山となる」と言って、これをためてしまうとストレスになるわけです。

精神科医の先生ですから、鬱等の患者を山ほど見て来たわけで、
その中から得た”術”なのでしょう。

物もたまってくると、部屋が煩雑になり何がどこにあるのかさえ分からなくなります。
分からなくなる前に、置くところを分けるとか、索引をつけるとか…すると、
無駄なものがなくなり、あとで見ても分かりますよね。
心も同じだというんです。
溜め込まないということが肝心です。
この本には思い当たることがいっぱいです。

"置かれた場所で咲きなさい~渡辺和子”

2014-07-27 22:23:21 | 本と雑誌

Watanabe_1置かれた場所で咲きなさい~これは以前にも読んだことがあり、ブログでも取り上げたことがありますね。
再び手に取って読んでみると、なんでこんな大事なことを忘れていたんだろうと思うことばかり…。

著者の渡辺和子ノートルダム清心学園理事長、あれから何年もたったのにとてもお元気で驚きました。御年87歳で現役です。

この渡辺和子さんは、36歳という若さで、ノートルダム清心学園学長に任命されました。しかし、未経験の連続で次第に”くれない族”になってしまい、辞めようかとまで思いつめたときに出会ったのがこの”置かれた場所で咲きなさい”という言葉だったと言います。

・・・・
今の置かれた場所に不平不満を持ち、他人の出方で幸せになったり不幸になったりしては、環境の奴隷でしかない。どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり自分の花を咲かせよう。それは自分が変わることによってのみ可能だ。
・・・・

Img_8427 ここまで読んでくるとハッとしますね。”他人の出方で幸せになったり不幸になったり”まったく、今umeさんが振り回されているのもこのことです。うっかりすると一生をこんなことで振り回されて終わってしまうかもしれません。他人を変えることは容易ではありません。自分が変わればいいんです!!

もう一つ、忘れないで心に止めておきたい言葉 ”財産となるような年を取りなさい”

不要な枝葉を切り落とし、身軽になること、意地や執着を捨てて素直になること、他人の言葉に耳を傾けて謙虚になることが成熟の証である。
一生の終わりに残るものは、我々が集めたものでなく、我々が与えたものだ。

この言葉に救われます。自分のしてきた行為は財産になるのだと思うと、理不尽な仕打ちにも耐えられます。他人に振舞わされることなく、これからも信念に従って行動をして行こう…と自分に言い聞かせるumeさんでした。
「置かれた場所で咲きなさい」幻冬舎(定価本体952円+税)


”考える脳”

2014-05-09 16:30:46 | 本と雑誌

東日本大震災で圧倒的な存在感を放った コミュニケーションツールの 1 つであるTwitter。以前このブログでも書きましたが、詩人の和合亮一さんが、あの大震災の最中に、現場の生々しい状況を必死に140文字に込めて送り続けたのは有名な話です。

ツイッターは、こういった緊急性のあるときに威力を発揮するということを知らしめた出来事でした。
その後、大勢の人があちこちから面白おかしく話題を垂れ流し、有名、無名に関わらず個人のプライバシーを脅かす事態も起きています。
しかし、使い方を間違わなければこれほど、迅速に人々にアピールできるものはありません。

umeさんもTwitterをやっています。自身の管理するHPやブログの情報、イベントの告知、報告等に使っていますが、リツートしてくれる人がいれば結構情報は広がります。
政治家や芸能人等、日々動向が注目される人には欠かせないコミュニケーションツールです。

Photo umeさんは、以前より脳科学者の茂木健一郎さんのフォロワーですが、茂木さんのツイートは凄いですよ。今現在ツイート数57500回。考えておいてそれを書くのでなく、その場で頭に浮かぶことを次から次へツイートするのですから、新鮮です。

そのツイートから「座右の銘」というのを拾ってみました。(2010/10/24)

他人を笑うな。
泥の中から星を見上げろ。
他者を鏡として自分を磨け。
自分のため、と思うと一人分の力しか出ない。他人のためと思えば無限の力が出る。他人は無尽蔵。
自分の最大の欠点のすぐ近くに最大の長所がある。だからこそ欠点をみつめよ。
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”さよならオレンジ”

2014-04-13 17:30:12 | 本と雑誌

Photo_2 今年の第8回大江健三郎賞受賞作品は「さよならオレンジ」です。この作者の岩城けいさんはオーストラリア在住です。だから物語はオーストラリアを舞台に展開されます。オーストラリア在住だからこそ描かれる世界感に引き込まれます。大江健三郎賞の選考委員は大江さんご本人一人で選びます。ということで、ちょっとあらすじを~~内戦のつづくアフリカから、難民としてオーストラリアの田舎町に流れてきたサリマ。母語の読み書きすらままならない彼女は、二人の息子を育てながら精肉作業場で働く一方で、英語学校に通いはじめる。そこには、自分の夢をあきらめ夫について渡豪した日本人女性「ハリネズミ」ほか、さまざまなクラスメートたちとの出会いが待っていた。筑摩書房~~
この本は、第29回太宰治賞、そしてつい最近発表された今年の本屋大賞にもノミネートされています。