安心だ 安全だ

このごろ老人や子供の誘拐・殺傷・強盗など痛ましい世の中。警察も不祥事。どうしたらいいんでしょう?

牛肉輸入とBSE

2005-03-11 11:49:50 | Weblog
食の安全のお話です。人間は雑食動物ですから、肉(動物)と野菜(植物)を両方とも食べねばなりません。例えばビタミンB12は肉にしか含まれていませんし、必須アミノ酸は体内で合成することができないので食事でしか取り入れられません。また繊維類は主に植物に頼ります。筋繊維でコラーゲンもありますが、加水分解してゼラチンの状態にならないと吸収はできません。
もうひとつの問題は、われわれの食べる動物は必ず植物経由で摂取しますから、エネルギーの収支から言えば植物を直接摂取するよりも効率が悪いのです。太陽の恵みのエネルギーを一定とするなら、植物のほうが低コストですみます。

鎖国の時代にさかのぼるほどではありませんが、日本人の肉食の歴史は欧米に比べて浅いといわれています。明治以降、また第二次大戦後の急激な伸びの結果、現在があるわけで、体位の向上という副産物もできました。

さて、肉は米国の重要な輸出品のひとつです。輸入大国日本はクロイツェルヤコブ病の疑いを理由にBSE感染の可能性が否定できない牛肉を「食べない」と宣言したわけです。ところが、「科学的根拠が薄い」を理由に禁輸解除をアメリカは求めています。が、「安全だ」という根拠も科学的根拠がはっきりしません。

世の中、「ある」という証明は比較的簡単です。「可能性がある」は、状況証拠でも成立します。しかし「ない」ことの証明は大変です。世界のどこにもないことは、われわれの認識できることが有限なだけに、とても全数をあたることができないからです。

政府はアメリカの言うことが正しいと傾いています。しかし、牛肉を食べなかったので死んだ」人はかつていないでしょう。魚でも代用になるのですし、ブタを食べない回教徒は寿命が短いとも思われません。危険な可能性のある牛を食べねばならない必然性はないということです。

一方、日本人が食べているものを運送コストを絡めて考えると、世界一のコストを支払っています。しかも廃棄率も最高、何たる贅沢でしょう。裏を返せば、輸入が止まればたちまち食糧危機が起きるということなのですが。かつて石油ショックがあったように。そして今も化石燃料消費でCO2は増えているのです。