大仁田厚の政界引退での“？”

大仁田厚が政界から引退したという。「そういえば、この人って政治家だったよな」と思い出したのも、政界引退を伝えるテレビ番組を観ていたとき。たしかに紛糾する委員会とかで、委員長を守る姿を何度かテレビで観ていたことを思い出したのでした。

政界引退の理由は色々と推測されているけど、もちろん僕には分りません。だけど気になったのは、扇千景の引退はニュースになっていたけど、大仁田厚の引退報道は観た記憶がない。
片や衆議院議長で、もう片方はただの当選一回の参議院議員なのだから、それは当然なのかもしれないですね。だけど、ちょっと調べてみたら、大仁田厚が当選した６年前の参院選の自民党比例区で、名前を知っているのは舛添要一ぐらいなもの。そう考えれば、彼は活躍した方ではないかと思ってしまうのです。

しかし、せっかくの国会議員という地位なのに、なぜ投げ出してしまうのだろうか。当然自民党としてはハチャメチャな性格を納得した上で公認したはず。それは、若者層の票の獲得には欠かせない人間だと考えているからでしょう。実際に、今回の参院選でも公認する予定だったとか…。
それにしても、“参院の自民党副幹事長”という地位にいたとは知りませんでした。参院の自民党副幹事長という地位がどれだけのものか知りませんですが、自民党の待遇には驚きました。「人気取りの道具」だった候補にも、ちゃんとした地位を与えて優遇していたということなのでしょうか？

本人は安倍内閣への不信感から辞めると言っているそうですが、せっかくの地位を惜しげもなく手放すのは男らしいというのか？　やはり真意は計り知れません。
大仁田厚の引退は、スキャンダル絡みという噂があります。もしそうであれば、表に出るとインパクトも大きかったでしょう。それなのに自民党は公認するつもりでいたとは…。本当に、よくわからない政界引退です。

で、さらに調べたら、扇氏、大仁田氏の他に、今回の参院選で引退・不出馬した自民党議員が19名もいるということ。この人たちの引退理由というのをもし取材したら、現在の自民党の内部告発になるのではないのかとも考えてしまったのでした。

安倍続投は最高の選択？

どうも安倍首相は引責辞任をしないらしい。これは多くの国民にとって最高の参院選の流れなのではないでしょうか？

しかし、安倍首相の話の理論はまるで分らないですよね。「政策は評価されている」とか「改革を約束したので、それを進めなければならない」という自身の続投の根拠が象徴的。「小沢一郎を選ぶか自分を選ぶかの選挙である」としたものが歴史的な大敗であったのだから、国民の意思は明確なはず。一体、この人は現実を受け入れられない幼児のようなメンタリティしかないのでしょうか？

とはいえ、そんな首相が続投するというのは、予想外の事であり、とても歓迎するべき事だと思っています。
絶対に連敗しない自民党の底力を僕は信じていたからです。そこで、今回の参院選で大敗しても、次の衆院選では必ず勝つと信じていました。安倍首相の後を新しい首相候補に継がせ、素晴らしい演出で高支持率を稼ぎだしてから衆院選に臨むと考えていたのです。

おそらく適当な人材がいないという理由と、党の悲願である憲法改正を謳い上げた首相を簡単に辞めさせられないという理由もあるのでしょう。
この結果、次回の衆院選も自民党は安倍首相で挑むことになるのでしょう。たしかに今回の敗戦も直接安倍首相が原因ではなく、周囲の人間の言動が敗因とされています。だけど、あの意味不明というか、自分勝手というか、質問に内容のない答えしかしない安倍首相の姿勢は決して国民に支持されることはないでしょう。また今後、人気上昇の手腕を見せられるとも思えません。

こうなれば自民党の歴史的な連敗というのも見えてきます。とにかく衆院で保革逆転がなければ、日本が本当に変わることはありません。今回も与党は衆院の圧倒的な優位から数々の強行採決を連続させたわけですから。
参院の存在意義は、これから第１党となった民主党がみせていく必要があるでしょう。しかし、衆院の優位性は変わらないはずです。そこで野党は次の衆院選で勝ってはじめて本来の勝利を手にするのです。

国民としてその状況を望むのと同時に、もうそうなった場合には、独裁政治の温床となる小選挙区制を真っ先に廃止してほしいと願うのでした。

分りにくい法律は誰のもの？

昨日、必要に迫られたのでネットで法律を調べｊました。その法律とは、とある認可の根拠になっている薬事法だったのですが、どう調べても分らないのです。認可が必要なのはどういうケースなのか？　どこにどうすれば認可が取れるのか？　どう検索しても分らないのです。
法律は国会で作られると学校で教わりました。しかし、国会中継で法案可決の様子は見ることがありますが、「法律を作っている途中」を見た記憶はありません。どうやって、あんなに分りにくい法律が作られるのかとても疑問なのです。
「実際には委員会で作られている」と言っても、現在、衆議院の委員会は傍聴できないはず。テレビでも予算委員会の中継がありますが、「立法機関」とは関係ない話題ばかりのような気がしませんか？　ほとんど相手の揚げ足とりばかりのようで…。
ところが、いつの間にかできてしまう法律。例えば防衛庁が防衛省に格上げする法律には、知らない間に色々な内容が盛り込まれていたりするのです。一体、法律っていうのは誰のためにあるのだろうと考えてしまうのです。そもそも、国会議員は国民の代表なのだから、国民のための法律を作るのが当然のはず。
それなのに、先日ニュースで取り上げていたのは、いまだに明治時代に制定された法律が残っているせいで困っている人々がいるという話…。何と、離婚した妻が離婚後300日以内に産んだ子どもは、無条件に戸籍上は前夫の子どもになってしまうそうなのです。
女性は離婚後、一定期間再婚が認められないという法律があることは知っていましたが、こんな法律があるとは知りませんでした。明治時代と比べて夫婦のあり方などはまるで変わっているのに、何故こんな法律が残っているのか理由がわかりません。
まして今の日本は少子化対策が最大かつ緊急の課題のはず。それなのにこんな法律が残っていては、女性が子どもを産む機会を制限してしまう理由にしかならないと思うのです。本気で少子化対策に取り組むのであれば、真っ先に改正が必要な法律のひとつでしょう。
女性が子どもを産むスタイルも多様化しているし、法律はそれを追認していかなければ、とても実効的な少子化対策はできないでしょう。ここでも、役人は一体何をしているのだ？　法律は誰のためのものなのか？　と考えてしまいます。
そして冒頭の薬事法の話に戻りますが、官公庁のサイトの記述は、わざと分りにくくしているとしか思えるほど分りにくいのです。そして、「どうやら丁寧なサイトだ」と思って良く見ると法律事務所や司法書士のサイトだったりするのです。
そこで思ったのは、ひょっとして法律とは法律事務所や司法書士に仕事を作るために、わざと分りにくく作っているのではないかと感じたのです。まあ、あの分りにくさを前にしたら、専門家（？）に金払って代わりに認可をとってもらった方が時間が無駄にならないと思うでしょう。
教育基本法や共謀罪も結構ですが、政府にはもっと古くて国民に弊害となっている法律の洗い出しと改正に力を注いでほしいと思うし、法律そのものももっと分りやすくあっていいと思うのですがどうでしょう？

嫌な世論調査結果

今日もまた、ある世論調査の結果を見て暗い気持ちになってしまいました。それは読売新聞が行ったという防衛庁の防衛省への昇格の是非を問うというもの。私は世の中と自分の意識とのギャップを感じてしまったのです。
その世論調査では、46％の人が防衛省への昇格を「評価する」としているのです。ちなみに「評価しない」という人は39％だったそうです。要は、日本人の半数ちかくの人たちが防衛省への格上げを評価しているという事です。
しかし、防衛庁の防衛省への格上げとはどういう意味を持っているのでしょうか？　 これをちゃんと理解している人がどれだけいるのでしょうか？　というか、国もその説明をちゃんとしていないように思えます。私には自衛隊自体の既成事実化と、自衛隊の海外派遣の恒常化のための手続きという印象です。
今後の憲法改正問題、特に九条の改正の論議の上で既成事実化というものが大きな意味を持ってくる事になると気がします。政府が非可逆性の流れを順繰りに作っていくという印象を持っている私ですが、そう感じているのが少数派だという事にショックを受けたのです。
もちろん、自分の国は自分で護るということは一般論として正しい事だと思っています。しかし日本の場合は「戦争放棄」という世界で類のない憲法を作り、国際社会の中で出直そうと決意したのです。世界で類のないものですから、当然、前例はありません。すべて日本が前例となり、「戦争放棄」の意味と価値を世界に広めなければならなかったと思っているのです。
ちなみに、10年前の97年の同様の調査では、昇格が「好ましい」が24％で「好ましくない」という人が52％だったそうで、今回と逆の結果が出ていたそうです。一体、この10年の間に日本は何が変わったのでしょうか。
読売の記事には「国の安全保障を担う体制の整備に対する理解が広まっていることが示された」と書かれていますが、こんな事を書いていいのでしょうか？　それを書くのなら、その安全保障を担う体制の変化に伴なう危険性やリスクを紹介しなくてはならないでしょう。
「国際貢献」という耳ざわりのいい言葉で正当化されてしまった自衛隊の海外派遣。そして、日本の自衛隊が撤退したら再度混乱したイラク。危険だから再派遣しないとうのなら、イラクの支援は擬似軍隊の自衛隊でなくてもいいはず。よっほどNGOやNPOの派遣を国が支援するほうが憲法に適合していると思います。
まあ、今回の世論調査もサンプルの抽出方法や年齢・性別も記載されていないのが気になります。私の印象では、若い層に省格上げ賛成、自衛隊の国際貢献活動賛成という意見を持つ人が多いように感じます。
若い層が保守に走るのも危険だと感じてしまいます。それでは変化の活力が国に生まれてこないから。とにかく、今の若い人たちには常に隠された事実を追及し、他人の意見に流されず、無意識に洗脳されない事を心がけ、新しい方法を模索するチャレンジ精神を持って欲しいと願うばかりです。

やはり温故知新だ！

今日、ある本を読んでいたら、以下のような言葉を見つけました。

　　　◆◆◆以下転用開始◆◆◆

遺跡を調べるのは、歴史を掘り起こすことだが、じつは、愚かな人間どもにも、ひとつくらいはいいところがあるってことを確認する作業だってね。（略）人間は戦争を起こしたり、せっかく作った街や国をこわしてきたけど、びっくりするような知恵を守ったりもしてきてる。どんな小さな遺跡にも、その名残がある。人間が、どんなに死を恐れたか。どんなに不老不死を求めてあがいたか。遺跡に立ったら、まずそのことを念頭に置かなければならない。そして、そのために、何千年も前の人間が、何をしたか……。すぐれた知恵は、いつも、より良く生きようとするところに生まれた。それ以外の知恵は、国を亡ぼし、人間の同士打ちの種にしかならなかった。

　「海辺の扉」　宮本輝　より

　　　◆◆◆以上転用終了◆◆◆

これは物語の中で、ギリシャ遺跡に対して学校の先生がかつて語った言葉として紹介されていました。とてもウンチクのある言葉であると感じたのと同時に、これを今の日本に当てはめるとしたらどういうことになるのだろうと考えてしまいました。
もし、現在の日本の文明が崩壊し、数千年後に2007年の日本を発掘した人たちは、残されたどんな遺跡に対し、何を感じるのだろうと考えたのです。まあ、あまり楽しい想像ではないですが、日本が崩壊した理由が戦争だったとしてみましょう。
まず真っ先に、発掘者がびっくりするような知恵と感じるのが「憲法九条」ではないでしょうか？　もし、今の地球上の文明がすべて崩壊したとしたら、「憲法九条」のような戦争放棄という崇高な意思表示の文章は日本からしか発掘されないのです。
それは、「すぐれた知恵は、いつも、より良く生きようとするところに生まれた」という例えそのものだと感じるでしょう。しかし、次に発掘者は、それを日本は破棄し変更したことを知るでしょう。その時はまさに「それ以外の知恵は、国を亡ぼし、人間の同士打ちの種にしかならなかった。」を証明したのだと感じるのです。
さしずめ霞ヶ関や永田町の遺跡を発掘すれば、「人間が、どんなに死を恐れたか。どんなに不老不死を求めてあがいたか。」というのを物語る、人類史上最悪のあさましい集団の遺跡となるのではないでしょうか。
勤勉さ、子供の学力、経済力などをはじめ、海外に誇れるものがどんどん無くなっていく日本。そんな益々愚かになっていく日本ですが、数千年たっても「びっくりするような知恵」だったと受け取れられるのが「戦争放棄の憲法」だと信じたいです。「米軍追従の国際貢献」は「呆れる無知」とは受け取られても、決して「びっくりするような知恵」とは感じないでしょう。
温故知新━━永く続いている人間の営みの歴史から、改めて学びたいものだと思いました。

これは政府にはできないのか？

数日前、我が家のポストに封筒が投げ込まれていました。年賀状の季節に何なんだろうと思って見てみると、それは日本共産党のアンケートでした。
封筒は返信用のもので、その中に共産党のチラシとA3裏表のアンケート用紙が入っていました。返信封筒の送り先は日本共産党品川区議員団となっていました。
同封のチラシは「学校選択性は見直しを」という内容と「品川区で働くパート・派遣の皆さんの待遇の改善を求めます」という内容で、こちらは多分ついでに封筒に入れたのでしょう。当然、主な目的はアンケートだったのだと思います。
私としては、これは非常に評価できる事だと思います。実際にこのアンケートに回答してどのように区政に活かされるかはまるで分りませんが、有権者に意見を聞くという姿勢はとても評価できます。というか、なぜこれを国政レベルで与党がやらないのだろうかと思ってしまいます。
アンケートの質問項目は、暮らしと雇用について、品川の教育について、いじめ問題について、介護・障害者施策について、住宅・まちづくりについて、子育て支援について、自・公議員の公費での海外調査について、それにフリーアンサーというものでした。
まあ、質問の内容も適度に絞られていると思うし、回答を選ぶだけでなく、それぞれの項目に意見が書けるようになっているのも好感がもてます。やはり、現状に不満を持っている人には、どうしても言いたい事がありますからね。
そして驚いたのがアンケートのタイトルが「第４回区民アンケート」となっていた事。どういうサイクルでやってきたのか知りませんが、過去３回区民からアンケートをとっていたというのは意外でした。今まで、我が家にアンケート用紙が投函された事がなかったので、知る由もなかったのです。
で、先にも書きましたが、なぜ政府はこういった風に有権者の意見を聴かないのでしょうか？　偶然、今日は防衛庁が防衛省に格上げされた日でしたが、これを誰が望み誰が不要と考えているのか？　生の国民の声を聴きたいと考えないのでしょうか？
まあ、政策に反する意見が多かったから、その政策の内容を見直して変更させるということは期待しませんが、今の政府にはこんな作業が必要なのは明らかでしょう。少なくとも、教育基本法採決の前にヤラセの催しよりは、広く国民の意見を聴く姿勢を見せる必要があったでしょう。
なにより、間違いなく手を付けるであろう憲法改正。昨年自民党は憲法改正に向けて開かれた論議の場を設けると言っていましたが、タウンミーティングの例をみても、その内容や運営にはまるで信用がおけません。さらに、最近の重要法案の通し方にしても国民のコンセンサスとは無縁のところで決まっている印象です。
しかし、今の時代に生きている私たち有権者には、少なくとも自分の意見を政府に直接ぶつける権利はあるはずです。というか、それなしでの憲法改正には納得できません。
とにかく、私たちは主権者なのですから…。

もちろん教育は大事ですが…

先ほどテレビを観ていたら、わが国の首相は「教育は一番重要な問題」と発言していました。本当にそうなのでしょうか？　本当に今、一番重要なのでしょうか？　これに反論するのは国民しかいないのでしょうか？
何度もこのブログに書いていますが、日本の最大の問題は間違いなく「少子高齢化」です。最近出た「将来推計人口」でも、予想以上の人口減少が進行しそうだという数字が発表されたばかりなのに…。
まず、誰が考えても人口減少はプラスにならないと思うでしょう。とにかく子供や若者が増えないのです。ということはねずみ算の逆の考えで、若者人口の減少は益々拍車がかかるということです。
そこでは、市場規模が減少する。モノが売れない。そして企業にとっては売上があがらない。その結果、国は税金が増えない。結果として行政サービスが低下する。それは国力の低下につながり、最後は日本沈没になってしまうというのは自明の理ですよね。
それに「教育は大事」と言っても、その教育を受ける子供の数が減ってしまうのです。そして、数が減るということは、子供たちは友達の多様な個性に触れるという経験もできなくなってしまうのです。そんな中で、たくましくて優秀な子供が育つのでしょうか？
さらに安倍首相をはじめ、自民党が目指している憲法改正～自衛軍設立～戦時国家というシナリオも、肝心の兵隊の数が揃わなくなってしまうのです。いくら優秀な武器があっても、最後はマンパワーが必要なのですから。
そして一番最悪なのは、地方自治体の崩壊です。現在でも住民の高齢化で財政がなりゆかない自治体が地方にいっぱいあるのです。この先、日本全国で高齢化が進むのですから、その状況がさらに悪化するもの分りきったことです。
今ですら「年金が最大の産業」という自治体があちこちにあるということ。だけど、その年金を支払う若者が減少するのです。社会保険庁を組織替えしたところで、もはや本質的な問題の解決にはなりません。おそらく、今ですら先進国で最悪の水準という高齢者の自殺者数も、今後、さらに増加するのは間違いありません。
『美しい国』どころか、まるで『地獄絵図の国』にまっしぐらという認識はないのでしょうか？　安倍氏は明かに指導者としての力量不足が明確です。おそらく今回の本間税調会長の辞任騒動で、内閣支持率は一層下落するでしょう。となればこのまま参議院戦に突入し、国会を混迷させてほしいものです。
信じられないほど高い内閣支持率だった小泉首相の勢いで、一気に憲法改正まで行ってしまうと危惧していた私としては歓迎すべき混乱です。とはいえ、ニュースに出てくる政治家を見ていて、次に来るのにまともそうな人物は見当たりません。
となると、この機に乗じて、細川内閣のようなアッと驚く内閣が生まれる可能性がかすかに出てきたのでは・・・と思っているのは私だけでしょうか？

第二の真珠湾攻撃の日

ついに、この日が来てしまいました。防衛庁の省への昇格の法案に続いて、教育基本法も可決してしまいました。
まず、ヘッドクォーターともいうべき戦争の中心となる防衛省を作り、国民の思考の基本となる学校教育をコントロールする。やはり政府は着実に軍事国家へのスケジュールをこなしてきているという印象です。
もはや、「民主党は何やっているんだ」とか「タウンミーティングのヤラセ問題は解決していないぞ」と言ってみてもしょうがないという状況になってしまいましたね。とにかく、その声は届きませんから。今回の事態の責任は、私たち自身にあると自覚するしかないでしょう。
とにかく、こんなに思慮が浅くて、発想が短絡的な政府を作ってしまったのは私たちという自戒の念が必要です。選挙で与党候補に投票していなくても、自公が与党になる社会を作ってしまったのです。とはいえ、今の野党がベターとも言えません。それが最大の悲劇でもありますが…。
これからは、私たち一人ひとりが個人のフィールドの中で闘って行くしかないのでしょう。具体的に自分の意見を発言し、具体的に自分の意志を行動で示し、たとえひとりとなっても政府や権力と闘うという姿勢が求められていくと思います。
そこでは他人を期待することなく、自分の問題としてこれからの出来事を受けとめていく必要があるのです。それがこの時代に日本に生まれてしまった人間の使命でもあるのでしょう。
税金が軍事費にまわされ社会保障が受けられない、子供が軍事教育を受けることになる、愛する人間が銃をかつぐことになる、海外の友人から弁明を求められるなどといった場面場面で、個人の意志で、個人の言葉で、個人の行動として闘うしかないでしょう。もはや、自分を信じるしかありません。
今日の2006年12月15日という日は、将来、どのような位置づけの日になるのでしょうか。私には、約一週間遅れの第二の真珠湾攻撃の日という印象です。
真珠湾攻撃の日は12月８日ですが、すでに大陸に軍隊を送っていた当時の日本。第九条を形骸化させ、すでに自衛隊を海外に派兵させてしまった60年後の日本は、やはりダブルスタンダートという同じような精神構造そのままに、いよいよ名実ともに軍事国家となった歴史的な日と思えてしまいます。
膨大で桁外れの財政赤字をかかえる日本。まるで多重債務者が高金利の悪徳金融業者に手を付けてしまうように、「戦争」というアンタッチャブルな手段に手をかけようとする日本。
私は不当な返済請求には、断固として闘います。

真実の声を聞かねばならない

どうも、あっさりと“防衛庁”の“防衛省”への格上げの法案は可決されるというニュースを耳にしました。自衛隊の海外活動を盛んにするための格上げだそうですが、本当にすんなり可決させていい案件なのでしょうか？
となると、どこでのどのような論議で日本の国際貢献は自衛隊の海外活動で行うと決まったのでしょうか？　野党も情けないですが、前回書いたように報道機関の側面支援も強力ということなのでしょうか？　根拠の怪しい自衛隊支持の調査結果を平気で報道するのですから…。
あまりに私たちに真実の姿を伝えないで、さらに私たちの手の届かないところで“自衛隊”の機能と意味が大きく変化していきそうです。本当にこれは憲法問題そのものなのに、到底信じられない事態です。
その想いは、やはり前回書いた綿井健陽氏の書いた『リトルバーズ』（晶文社）を読んだ事によって、「誰かが意図的に日本をヤバイ方向に導こうとしている」と確信しました。私もイラク戦争の真実が知りたくてこの本を買ったのですが、綿井氏はこの本で勘違いしている日本に強く警鐘を鳴らしているのです。
「俺たちはすべてのアメリカ人の首を切り、それに協力する奴らもすべて殺す━サダムの民兵より」というバグダッド市内の空港に通じる道路沿いの壁に書かれた言葉を紹介し、“アメリカに協力した”日本は間違いなくそのライン上に存在していると…。
開戦10日前にバクダッドに入り、戦後も現地を追跡調査した彼の本には日本のマスコミで報じられた内容とは異なる現地の体温が感じられます。そして度々彼が聞かされたのは「日本政府は軍隊よりも民間人（民間企業）をイラクに届けてほしい」という言葉。
当初の自衛隊歓迎の背景には、その先にある「日本企業」進出の期待、新しく生れる雇用の期待を織り込んだ先行評価があったと指摘しています。ところが、その期待を覆す活動を自衛隊が行ったかといえば、サマワの人も自衛隊を見たことがないと公言し、実際には及び腰でおざなりの活動ばかりだった。
それよりも、軍隊を送らずにNGOを送ったフランスは、現地での雇用を生み、給水活動も細やか。さらにNGO活動終了後の現地への移管まで考慮されていて、現地では高く評価されているというのです。
それができたのも、銃を持たない人間が作業したからであったと評しています。ところが“自衛隊”といっても現地では所詮「ジャパニーズ・アーミー（日本軍）」。アメリカに協力する国の軍隊が来たので、平和だったサマワに“治安の悪化”をおびき寄せてしまったというのです。
その結果、自衛隊の活動で実働部隊は約三分の一だけ。宿営地の整備・安全強化に最も人員と時間が取られていた状態だそうです。それはそうでしょう。現地の都合ではなく、米国の方を向いた支援活動なのですから悪循環が生まれるのは当然でしょう。
そんな状況を綿井氏はこの本で『（略）自衛隊員の「自己満足と思い込み」の一方で、サマワ住民の「幻想と誤解」がさらに促進されただけのように見える。それが「日本人への敵意と不信感」に変わる前に…（略）』とも警鐘を鳴らしています。
これが、自衛隊がイラクで行った支援活動の評価（弊害）なのです。この状況、我々はもっと知らないといけないのでしょう。

自衛隊がイラクでしてきた事とアサヒコムの終焉

先日、アサヒコムでかなり背筋が寒くなるニュースを見つけました。それは内閣府が行ったという世論調査の結果。内容は自衛隊の行ったイラクでの復興支援活動の評価でした。
「高く評価する」が25.6％、「多少は評価する」が45.9％となっていて、70％以上の人が「評価する」という評価の高さに驚きました。さらに70％弱の人が「イラクの復興に役立った」としているのです。「何を根拠に？」と私は思うのです。
さらに背筋がムズムズするのは、アサヒコムの記事の内容(『陸自イラク派遣、７割が「評価」　内閣府世論調査』　2006年11月02日20時04分)です。「全国3000人を対象に実施した。回収率は60.4％。」と書かれているのですが、どうやってその3000人を選んだのか、どういう調査方法を実施したのかが書かれていないのです。
これらを報じるのは世論調査報道の基本であり、自社の世論調査では必ず注釈として記されているはずです。ましてそれは内閣府という権力側から出てきた数字です。権力を監視するメディアとして、そこを問うのは新入社員でも理解できるでしょう。
それ以上に自衛隊の海外活動という微妙な問題で、今後の憲法論争にも影響を与えかねない政府機関の世論調査結果をそのように報道するのはプロパガンダに協力したといっていいでしょう。それは政府公報どころか、“大本営発表”と完全にイコールです。
明らかにこれは“確信犯”報道でしょう。当然、多くの人間のチェックが入っているはずです。それでいながら調査対象が改憲派の3000人でも自衛隊員の3000人でも与党関係者の3000人だとしてもアサヒコムとしては問題にしないというのでは、完全にメディアとしての機能は終わりました。もはやアサヒコムへの信頼度は“０”というしかないでしょう。
そもそも、その調査結果に疑問をはさまずに報道する時点でメディアとして失格なのでしょう。その根拠として、ちょうど最近、私は『リトル・バーズ』という本を読んだからなのです。開戦前からバグダッドに入り、その後も現地での追跡調査をしたビデオジャーナリストの綿井健陽氏が書いたその本には、日本で報道されていたイラク情勢と随分違う様子が書かれていました。
現地では日本の自衛隊の給水活動より、フランスのNGOの行った給水活動の方が評価されているとしていました。理由は作業する人間を全員現地で採用し雇用を生んだこと。自衛隊と違って民家の近くまで水を運んでくれたこと。そして何より、米軍に協力した国の軍隊の活動ではなかったことなど…。こういった事は日本で報道されたでしょうか？
ここまで露骨に政府の軍門に下ったメディアを見るに及んで、今の日本には本当に軍靴の足音が近づいていると思えて仕方がありません。