懐かしの大学時代

　7月の終わり、まだ暑い盛りに、大学時代の友人二人に濃茶と薄茶を振舞った。お互い別々に会ってはいてもその三人が一同に会するのは初めてのこと。きっかけは、うおがし銘茶で飲んだ濃茶は香ばしくてちょっと普通の濃茶とは風味が違うかも、と私が言ったことだった。茶道に縁がなければ濃茶を飲む機会はほとんどないので、じゃあ、私のお点前でよければ濃茶一服いかが？となったわけである。
　お昼に「なだ万」のお弁当を一緒に食べ、濃茶、薄茶と楽しんだ。
　主菓子は初試しの「たねや」製。「たねや」というと詰め合わせのイメージが強かったのだが、なかなかおいしい夏らしい主菓子が揃っていた。“そこ紅”・“夏宵”・“羽衣”・“星の逢瀬”・“花一時”。
http://www.taneya.jp/new/06/07/01_ayaka.html
　濃茶はやはり飲みづらかったらしく（私の点前がいまいちだったか？）、最後の私がたくさん頂くことになった。ちょっとのび過ぎたかな～、と思いながらズッと飲み干した。
　干菓子は、石川県銘菓“薄氷”の夏バージョン“蛍”と和三盆の打ち菓子を用意。
　薄茶では折角なので２人に茶筅を振ってもらった。泡がなかなか立たない～と最後は私が手を加えて完成。何気なく茶筅を振ってきたが16年の経験は実はすごいようだ。目にもとまらぬ手首の動きだねと二人。
　二人は濃茶には主菓子、薄茶には干菓子という組み合わせにも驚いていた。確かに寺院や大寄せ茶会では薄茶に主菓子が出ることも多い。初心者の新鮮な驚きに昔の自分を思い出しつつ愉快な気分になった。
　茶事の流れを説明すると、本当におもてなしの心なんだね、茶道を習っていなくてもそういうのを気軽に体験できる場所があるといいのにね。

　その後、ふらふらと出かけ、なつかしい大学キャンパスを訪ねた。３人で歩くこともそれこそ十ウン年ぶり。我らが学び屋は取り壊されて真新しい建物となってはいるものの、懐かしい風景は相変わらず。あそこでお茶したよね、こんなお店なかったよね、授業の後皆で必ず食事に行ったよね、あの先生の授業は・・・と何を見ても話は尽きない。最後は、当時大学生の私たちにはお洒落で特別だった大人の雰囲気のお店に入り、昔は予算も考えながら頼んだけど、今や気にせず飲んだり食べたりできるとは立派になったものだと笑い合った。それにしても、あの頃は時間もたっぷりあったのに何して過ごしてたんだろうね？お金はもってなかったけど、楽しかったね。懐かしい昔話に更に花を咲かせた。

　気の置けない友とゆったりと抹茶を楽しみ、思い出に浸った一日だった。最高に幸せな時間。大学生の頃、こんな幸せな時間を誰も想像していなかった。きっと今の大学生もいつかこうして懐かしくこの街を歩くのだろう。
　次はこのお店でまた！懐かしい街で次の約束をして別れた。ありがとう。これからもこのまま変わらぬ友で。