カエサルの世界

今年(2019年)1月中旬から「休載中」ということになっているのだけど、まあ、ときどき更新しています。

■みちよさ2018(展望-9)審査基準

2018年08月31日 | ★YOSAKOI    

 みちよさ(みちのくYOSAKOIまつり)コンテストの審査基準は、昨年に続いて今年も改定されました。その内容について考察してみたいと思います。


 まず、2017年度の審査基準を掲載してみます。転記ミスがあるかもしれませんが、公式サイトに掲載されている内容をそのまま転記したつもりです。

項目 基準 配点
基本  入退場はどうでしたか
 [良ポイント] 演舞入退場時はテキパキしていたか
5点
 鳴子はよく活用されていましたか
 [良ポイント] 使用している時間の長さ、印象度をみてください。
        (揃っているか、メリハリはあるか)

 [注意] 鳴子を活用するが最も大切なルールです。また、鳴子は鳴らすためにあります。持っているだけではYOSAKOIではなく、一般的なダンスとみなします
 5点
 民謡は効果的に使用されていましたか
 [良ポイント] 民謡がわかりやすく組み込まれていたか
 5点
演舞  掛け声はよかったですか
 [注意] 必ずしも元気なだけが良いわけではありません。「動」と「静」のメリハリも配慮します
 5点
 衣装は良かったですか
 [良ポイント] 衣装など凝ってるチームに加点してください
 5点
 表現力は豊かでしたか
 [良ポイント] 表情に好感がもてる。
        大道具、小道具、旗の効果的な使用
10点
 構成は良かったですか
 [良ポイント] フォーメーションの変化やストーリー性が感じられたか。
        飽きさせない内容であったか。
        テーマに沿った演舞だったか。
10点
印象  感動を「5点満点」で表すと何点ですか 5点
合計50点

 次に、2018年度の審査基準です。

項目 基準 配点
基本  入退場
 [評価のポイント] ステージ入退場はテキパキした動作であったか
          演舞前後の挨拶をきちんとしていたか
5点
 鳴子の効果的な使用
 [評価のポイント] 鳴子を効果的に使用していたか(音が揃っている・メリハリがある)
 [注意] 鳴子を鳴らさない(鳴子を持つだけ)の踊りはYOSAKOI踊りとは定義しません。      手踊りや小道具等の使用は「部分的な演出」としてのみ認めます。
 5点
 民謡の効果的な使用
 [評価のポイント] 楽曲に民謡がわかりやすく組み込まれていたか
 5点
演舞  動・静
 [評価のポイント] 踊り子の掛け声や動作が揃っていたか
          個々の動きやフォーメーション移動の際の「動・静」のメリハリ
 5点
 チーム衣装
 [評価のポイント] 演舞テーマに沿った衣装であるか
 5点
 表現力
 [評価のポイント] 踊り子の表情の豊かさ
          踊り子の所作・踊りの表現の豊かさ
          大道具、小道具、旗の効果的な活用
10点
 演舞構成
 [評価のポイント] 楽曲に合った効果的なフォーメーションを展開していたか
          ストーリー性に富み、演舞テーマに沿った構成だったか
          観客を引き付ける演舞であったか
10点
総合評価  全体的な評価 5点
合計50点

 各項目の配点は変わらないし、内容としても大きな違いはないのですが、表現がスッキリとしてわかりやすくなったと思います。
 言うことなし・・・なんて思ったりもしたんですけど、この記事を書いているうちにアレやコレやと考えてしまいました。
 この後、項目ごとに見ていきたいと思います。



 昨年度と今年度の審査基準を、項目ごとに比較してみたいと思います。
 上段(赤)が2017年度、下段(緑)が2018年度です。

 まず、大項目「基本」の中の「入退場」「鳴子」「民謡」についてです。

基本  入退場はどうでしたか
 [良ポイント] 演舞入退場時はテキパキしていたか
5点
基本  入退場
 [評価のポイント] ステージ入退場はテキパキした動作であったか
          演舞前後の挨拶をきちんとしていたか
5点

 2017年度には削除されていた「挨拶」が復活しました。
 たしかに、不思議系の演舞をするチームなどでは、演舞の前後に挨拶をしない場合があります。不思議系の演舞をしていて、演舞が終わるや否や「ありがとうございました!!」っていうのもヘンな気がするので、挨拶をしなくてもいいだろうと思っていたんですけど、減点しなければならなくなりました。

 そういう方針ならばそれでいいだろうと思うのですが、挨拶をしないチームを何点とするのかという目安が必要だと思いました。カエサルなりに、採点基準の試案をつくってみました。
■5点・・・演舞前後の挨拶がきちんとしていた(ほとんどのチーム)
■4点・・・上記「5点」と下記「3点」の中間
■3点・・・演舞前後の挨拶がなかった(不思議系のチームなど)
■2点・・・上記「3点」と下記「1点」の中間
■1点・・・入退場がテキパキしていなかった
 なお、「入退場がテキパキしていなかった」というのは、コンテストを見ている側として、思いあたるチームがありません。運営する側としては「困ったちゃん」のチームがあるのだろうと思いますけど、コンテストでの審査対象にはならないと思います。もちろん、観客の立場から見てモタモタしているようならば、遠慮なく減点してよいと思います。0点でもいいと思います。

 話が発展してしまいますが、欄外に書かれている「演舞時間」、審査基準としては言及されていない「演舞領域」についても、審査基準に明記すべきだと思います。この項目で扱うべきだと思います。カエサルの試案は、次の通りです。
 「演舞時間」が超過した場合は、実行委員会から審査員に連絡し、審査員はこの項目の得点を「0点」とする。
 「演舞領域」をはみ出したこと(瞬間的なものとして許容できる場合を除く)に審査員が気がついた場合は、1点の減点とする。回数が多い場合は、2点・3点・・・の減点とし、演舞領域を無視していると思われるような演舞については「0点」とする。

基本  鳴子はよく活用されていましたか
 [良ポイント] 使用している時間の長さ、印象度をみてください。
        (揃っているか、メリハリはあるか)

 [注意] 鳴子を活用するが最も大切なルールです。また、鳴子は鳴らすためにあります。持っているだけではYOSAKOIではなく、一般的なダンスとみなします
5点
基本  鳴子の効果的な使用
 [評価のポイント] 鳴子を効果的に使用していたか(音が揃っている・メリハリがある)
 [注意] 鳴子を鳴らさない(鳴子を持つだけ)の踊りはYOSAKOI踊りとは定義しません。      手踊りや小道具等の使用は「部分的な演出」としてのみ認めます。
 5点

 鳴子を使用している時間についての言及がなくなり、また、手踊りや小道具等の使用が認められるということも明記されました。よいことだと思うのですが、実際の審査は、ますます難しくなったんじゃないかという気がします。

 この項目について考えておかねばならないのは、「鳴子を使わなくても素晴らしい演舞はできる」ということだと思います。そのことを念頭に置いた上で、この項目が、大項目「演舞」ではなく、大項目「基本」なのだということを考えるべきだと思います。演舞の良し悪しを問う項目ではありません。
 こうしたことを混同してしまうと、「鳴子は使っていなかったけど、演舞が素晴らしかったから、5点」などということになりかねません。客観的で具体的な採点基準が必要なのだと思います。カエサルの試案を書かせてもらいます。
 ほとんどのチームは「鳴子を持っていて、鳴らしていたけど、印象に残らなかった」ということになると思うのですが、そのことを前提としての基準です。
■5点・・・常に鳴子を持っていて、よく鳴らしていた(例:ゆきうさぎ)
■4点・・・上記「5点」と下記「3点」の中間
■3点・・・に鳴子を持っていて、鳴らしていたけど、印象に残らなかった(ほとんどのチーム)
■2点・・・上記「3点」と下記「1点」の中間
■1点・・・鳴子を持っている場面や鳴らしている場面が少なかった
■0点・・・鳴子を持っていなかった、あるいは鳴らさなかった
 例として、特定のチーム名をあげさせてもらいましたけど、このような例示があると審査はしやすくなると思います。

 余談ということになると思います。審査基準としてではなく、日本語の使い方の話です。「鳴子を鳴らさない(鳴子を持つだけ)の踊りはYOSAKOI踊りとは定義しません。」という文言は、『定義』という言葉の使い方がおかしいです。それを言うなら、「鳴子を鳴らさない(鳴子を持つだけ)の踊りはYOSAKOI踊りの定義から外れます。」です。

基本  民謡は効果的に使用されていましたか
 [良ポイント] 民謡がわかりやすく組み込まれていたか
 5点
基本  民謡の効果的な使用
 [評価のポイント] 楽曲に民謡がわかりやすく組み込まれていたか
 5点

 「民謡」についての審査基準は、昨年と同じです。

 この項目も、大項目「基本」の項目です。「民謡を使わなくても素晴らしい演舞はできる」のは当然ですが、演舞の良し悪しを問う項目ではありません。
 客観的かつ具体的な採点基準が必要だと思います。カエサルの試案を書かせてもらいます。
■5点・・・民謡が非常に効果的に使われていた(例:横手舞組『火の鳥』の中の『酒屋唄』)
■4点・・・上記「5点」と下記「3点」の中間
■3点・・・たしかに民謡が使われていたが、印象には残らなかった(ほとんどのチーム)
■2点・・・上記「3点」と下記「1点」の中間
■1点・・・民謡と思われるものが使われていなかった、あるいは、使われているのがわからなかった
 ここでも特定のチーム名をあげさせてもらいました。このような例示があると、審査はしやすくなると思います。
 この項目で「0点」はないと思います。民謡がまったく使われていなければ0点になるわけですが、そのことを判断できないと思います。



 ここからは、大項目「演舞」の項目になります。
 大項目「基本」とは異なり、主観的な判断が中心になるので、客観的な採点基準を求めることは難しいと思います。

演舞  掛け声はよかったですか
 [注意] 必ずしも元気なだけが良いわけではありません。「動」と「静」のメリハリも配慮します
5点
演舞  動・静
 [評価のポイント] 踊り子の掛け声や動作が揃っていたか
          個々の動きやフォーメーション移動の際の「動・静」のメリハリ
 5点

 昨年までの「掛け声」という項目が、「動・静」という項目になりました。
 掛け声だけではなく、個々の動きやフォーメーションが評価対象になったわけですけど、この後の「表現」や「構成」とかぶることになります。「表現」「構成」とどう違うのか。どうして「動・静」だけを独立した項目として扱うのかがわかりません。

 カエサルの私見としては、この項目は「音」に特化すべきだと思います。項目名としては「音楽」ということになると思いますが、使用した楽曲のみならず、MCや踊り子の掛け声・手拍子・歌などを総合的に評価する項目にすればよいと思うのです。ただし、鳴子や民謡についてはこの項目では扱わないものとし、「基本/鳴子」「基本/民謡」との重複を避けます。
 このようにした場合、大項目「演舞」は、「音楽」「衣装」「表現」「構成」の4項目で構成されることになります。さらに、「表現」「構成」の評価対象を次のようにするとよいのではないかと思います。
 「表現」 踊り手(あるいは旗持ちなど)の手足の動きや表情などが素晴らしく、かつ、チームとして揃っているなど、「演舞の技術」が高いものを評価する。
 「構成」 フォーメーションの変化、衣装の変化、大道具の活用、大旗のタイミングなど、「演出・振り付け」が優れているものを評価する。

演舞  衣装は良かったですか
 [良ポイント] 衣装など凝ってるチームに加点してください
 5点
演舞  チーム衣装
 [評価のポイント] 演舞テーマに沿った衣装であるか
 5点

 衣装については、「凝っている」ものではなく、「演舞テーマに沿った」ものが評価されることになりました。すごくよいと思いました。
 どのチームの衣装も凝っているわけだけど、似合っていないというチームも少なくないと思います。あるいは、派手な衣装に演舞が追いつけず浮いている感じのチームとか、必然性のない衣装替えをするチームとか。そういうチームは、どんなに凝った衣装であっても、減点して良いのだと思います。

演舞  表現力は豊かでしたか
 [良ポイント] 表情に好感がもてる。
        大道具、小道具、旗の効果的な使用
10点
演舞  表現力
 [評価のポイント] 踊り子の表情の豊かさ
          踊り子の所作・踊りの表現の豊かさ
          大道具、小道具、旗の効果的な活用
10点

 評価対象として「踊り子の所作・踊りの表現の豊かさ」が追加されました。踊りなんだから「手足の動き」が評価されるのは当然のことなんだけど、この項目で評価されるということが明記されたことで、わかりやすくなったと思います。

演舞  構成は良かったですか
 [良ポイント] フォーメーションの変化やストーリー性が感じられたか。
        飽きさせない内容であったか。
        テーマに沿った演舞だったか。
10点
演舞  演舞構成
 [評価のポイント] 楽曲に合った効果的なフォーメーションを展開していたか
          ストーリー性に富み、演舞テーマに沿った構成だったか
          観客を引き付ける演舞であったか
10点

 文言に変化はありましたが、内容としては同じだと思います。
 前々から書いているのだけど、「ストーリー性」というのがどういうことなのか、ひっかかっています。文言をそのまま受け取ると、MCがストーリーを語ったり、楽曲の歌詞としてストーリーが謳われているような場合は評価が高くなるということになるわけですけど、そういう意味なんでしょうか。そうじゃないとしたら、そういうことがハッキリとわかる文言にすべきだと思います。

 蛇足ながら、「表現」と「構成」は10点満点です。他の項目に比べて配点が高いというのはわかるのですが、実際の採点ということを考えた場合、あるチームに2点や3点という点数をつけるのは難しいと思います。最低点が5点や6点ということになれば、実質的には5点満点と変わりません。
 評価対象をきちんと分けることができるのならば、「表現」「構成」の2項目を4項目に分割し、すべての項目を5点満点にした方がよいという気がします。


 最後に、大項目「総合評価」です。名称が「印象」から「総合評価」に変わりました。

印象  感動を「5点満点」で表すと何点ですか 5点
総合評価  全体的な評価 5点

 「感動」という文言がなくなりました。一切の基準がなくなったということになりますけど、そういうものなんじゃないかと思います。
 ひとつの考え方として、この項目は、それぞれのブロックの中での相対的な評価でよいのではないかと思っています。そのブロックで一番よかったと思うチーム・これに準ずると思うチームを5点・4点とし、残りを3点・2点・1点にするいう感じです。
 もう一つの考え方として、絶対的な評価基準を設けることもできると思います。予選ブロックの場合ならば、(5点)ファイナルで上位を争える、(4点)ファイナルに進出できるレベル、(3点)セミファイナルに進出できるレベル、(2点)予選通過は難しい、(1点)コンテストに参加するようなレベルではない・・・という感じでしょうか。
 カエサルとしては、どちらかと言うと、絶対評価の方が審査しやすいという気がします。実際、毎年の予選ブロックを見ていて、どのチームが1位・2位になるかがわからない(自分でも選べない)という場合が少なくないのです。そのような場合でも、このチームはファイナルに行けば上位を狙える/狙えない・・・などということはわかります。


 審査基準は、まず、審査員にとってわかりやすいものであるべきだと思います。もしカエサルが審査するとしたら、この基準で審査することができるか?・・・ということを考えて、勝手なことを書かせてもらいました。
 3年前に「みちよさ2015(審査基準)」に書いたこと、昨年の「みちよさコンテスト2017(審査基準)」に書いたことがだいぶ反映されているような気がしないでもないんですけど、ひょっとしたら、関係者の中にこのブログを見てくださっている方がいらっしゃるのでしょうか。だとしたら、光栄の至りですし、同時に、汗顔の至りです。


この記事を面白いと思ったら →  ← 遠慮なくクリックしてね。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿