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あす避難解除 国の除染方針、住民の帰還に暗雲

2011年09月29日 22時25分39秒 | Weblog
東日本大震災:あす避難解除 国の除染方針、住民の帰還に暗雲 /福島

毎日新聞 2011年9月29日 地方版


 ◇市町村「机上の話」と批判
 緊急時避難準備区域が30日、解除される。東京電力福島第1原発事故後初めてだが、避難住民の帰還の道のりには暗雲が垂れこめている。政府が、年間被ばく線量が5ミリシーベルト未満の地域の除染に財政支援を行わない方針を示したからだ。福島市で28日あった除染説明会では、自治体から「机上の線引きにすぎない」と、国の現場感覚を疑う声が相次いだ。【種市房子、長田舞子】

 環境省は既に今月9日、全市町村を対象に除染説明会を実施。2回目となる28日、会場となった福島市太田町のホテルには42市町村から100人近い担当者が集まった。国側からは環境省を中心に原子力災害現地対策本部内に設置された「福島除染推進チーム」の職員ら約20人が出席し、約2時間説明した。

 説明会は非公開だったが、出席者によると、国側は除染計画の策定や実施の時期を大まかに示すのみだった前回から一転、「国の支援は、追加被ばく量が年間5ミリシーベルト以上の地域に限る」と表明。同推進チームの森谷賢チーム長は説明会後、報道陣に「5ミリシーベルト未満でも不安を感じる住民はいると思うが、限られた予算の中で緊急に除染が必要な場所から実施したい」と述べた。この除染方針に対し、市町村側からは「住民に説明がつかない」「机上の理論だけで決めた、ひどい話だ」などと怒りと疑問の声が相次いだ。

 伊達市の担当者は取材に、開口一番「ひどい話だ」。市内では113世帯が局所的に線量が高い「特定避難勧奨地点」に指定されている。「線量の低い地域でも子供のいる家庭は除染を要望している。線量で線引きできる問題ではない」と不満をあらわにした。

 福島市は除染計画を27日公表したばかり。担当者は「国の考え方は、子供たちが自主避難している市の現状からほど遠い。机上の話ばかり。身近な線量を低くしたいという市民の切実な願いを少し理解してほしい」と、政府の感覚を疑う。

 山林の除染の方針については今回、公表が見送られた。西郷村の担当者は「二本松市でのコメのセシウム汚染も水田が山からの水を水源としていたから起こったとされる。国土の7割が山林の日本では、どこの都道府県でも山が多い。面的な除染をお願いしたい」と注文した。