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国連ニュースセンター
国連の専門家、モロッコで拷問が止むにはまだ努力が必要と語る
国連人権理事会の拷問に関する特別報告者フアン・メンデス氏
2012年9月24日
国連人権理事会のメンデス特別報告者は今月、8日間のモロッコ視察訪問を行い途中二日間は西サハラのエル=アイウンを訪れた。ニューヨークに戻ったメンデス氏は22日、モロッコでは国民人権評議会の創設が示すように人権問題に取り組む体制が育まれているものの、拷問が止められるには更なる努力が必要とされると述べた。
「数十年前、強制的失踪や秘密監禁が大規模に行われていた時期に比べると、今日、拷問状況は全体的に見て改善されたといえます。しかしながら、信頼性ある証言によると、逮捕者たちは尋問段階で不当な精神的、肉体的プレッシャーに処せられています。こうした措置が頻繁に行われていることから、今後絶えず注目し続け、廃止へ向けた努力がなされるよう求めていく必要があります。」と語った。
メンデス氏の説明では、普通犯に対しては劣悪な待遇が続いている一方、デモや治安妨害さらにテロ行為など例外的事件における逮捕者たちに対しては拷問の類とされる行為が頻繁に実施されている。いずれにしても「逮捕や拘束時の拷問や虐待のケースが増えていることが確認されています。」と同氏は述べ、「集会などの場面では、警察あるいは他の当局組織による」過剰な武力行使が増えている点を指摘した。そして「デモや集会は許可されていようとされていまいと、当局は過剰な武力行使をする権利はない」ことを強調した。
また多数の申し立てから、尋問の最初の段階で証拠や告白を手に入れようと、拷問が組織的に使われていることが判明し、同氏はモロッコ検事、判事たちが拷問被害の告訴を却下したり、調査拒否をする傾向にあることを遺憾としている。
一方当局が収監条件の改善のため、老朽化した刑務所を閉鎖し新設したり改装している努力を同氏は歓迎、 「私が視察した刑務所はどこも大掛かりな改装が施されており、ペンキ塗り替え、寝具の新規入れ替えなどがあり、衛生環境は整っていました。私としては、こうした改善が今後も維持され、今回訪問しなかった刑務所にも同様の改善が行われることを切に願います。」と語った。
また「暴力や性的暴行そして他の虐待行為は増える一方のようです。私はモロッコ当局に対し、これ以上の暴力行為が起きないようあらゆる措置をとること、またアフリカのサヘル以南地域から入ってくる人々に対し行われている虐待に関する申し立てについて調査を行うよう請願します。」とも語った。
今回の視察訪問ではメンデス氏は、モロッコの政府や法曹界、市民社会、人権団体の代表者たち、そして官憲暴力の被害者やその家族たちと会談を行った。
エル=アイウンでは、「非常に多くの会談申し込みがあったことに驚きました」とコメント。西サハラ滞在二日間では「悪弊の被害者や市民社会代表者たちのほんの一部としか」会うことができなかったことを残念とし、「それでも、一つ一つの要望書を丁寧に検討し、私の権限に関する情報はすべて取り上げられるようにするつもりです。」と誓った。
メンデス氏は来る国連人権理事会で、勧告を伴った視察報告を発表することになっている。