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とまぴーSTYLE

よく食べ、よく笑い、よく遊び♪
元気が一番!
今日も豊かな一日になりますように・・・

夜明けの街で

2009-05-27 14:30:33 | 

東野圭吾(著)

    不倫は不倫のままで終わるべきなのだ。
    だからこれからも俺は渡部にアドバイスし続ける。
    はやまるなよ、と。

私の求める優れた作家像の要素の一つに、
いろんなジャンルを書きこなすことができる、
というのがあります。

時代モノを書く作家さんが現代モノを書いたり、
愚直なまでの家族の暮らしを描く作家さんが、
どうしたことか、濃厚な官能小説を発表したり。

おお!
おぬしもなかなかのモノよのぉ~ 
と感嘆のため息 

推理作家だから、こうあるべきだ、こうあって欲しい。
次は更なる期待を!
だなんて、読者の勝手極まりない要求、要望(笑)

ミステリーとは少し違ったところにあると思って。

良かったですよ、この小説。
不倫の時の男女の対応の仕方がやけに細かく書かれているので、
何かの不慮の事態発生の時にはきっと参考になるかと思います(笑)

でもでも、
男って・・・
馬鹿だな~と思ってみたり、 
それでもどこか、可愛いんだな~と笑ってみたり。
こう思わせるのが東野氏の上手さだとつくづく感じました。

しかしながら男の立場からみた恋愛って、女性の立場からすると腹の立つことばかり(笑) 
同じコンセプトで、
例えば瀬戸内寂聴さんが書くとなると、どんな小説になるのだろうか、って考えるのも楽しい 
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少女

2009-05-22 16:46:07 | 

湊 かなえ(著)


   ―― 「人が死ぬ瞬間を見たい」


「告白」を読んだら次はこれでしょう(笑)
結構ミーハーなのはご存知ですよね?

知らず知らずの内に、全ての登場人物が顔見知りだったりするわけなんですが。
これは近々ドラマ化されるか、映画化されるんじゃないかと思うくらい画像が鮮明に心に浮かぶ小説です。

途中から文体が変わり、(きっとこの変化に気付くと思う)
ユーモアな表現が増えてきて、
深刻な場面なのに、「この小説ってこんなにユニークだっけ?」と、
フフッと笑ってしまうことが何度か(笑)

作家としてそれでよいのかと言われればそれまでなんだけど、
ま、途中で作者の気が変わったのでしょう(笑)

サスペンスではなく、多感な世代の女の子を描いた作品です。

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告白

2009-05-13 12:22:44 | 

湊 かなえ(著)


    愛美は事故で死んだのではありません。
    このクラスの生徒に殺されたのです。



告白する人物が変わる度に物語の真相が明らかになっていきます。
登場人物の視点が異なると、こうも物事の捉え方が変わるのかと。

だから人間っておもしろい。
愛さずにはいられない。

楽しくわくわくしながら読みました。


そうそう、
今日の新聞に載っていた山崎豊子氏のコメントの中に、

「行政・司法・立法、と合わせて第4の権力、それがマスメディアだ」

とあり、これにはかなり共感しました。

好奇心を煽り立てるようなゴシップ記事や、
ダイエットに効く食品だとか、
被害者への不仕付けな質問攻撃だとか・・・

需要があるから供給してるんだ、と彼らは言うでしょう。
つまりそうした社会のバランスを巧に利用したのがマスコミだと思います。

私たち一人一人が正しい需要をしなくては、
この世の中は不適切な供給で溢れてしまう。

過剰な情報に踊らされることなく、本一冊にしても、映画一本にしても、
私たちの個人の心と目による取捨選択が必要なのだと。

堅苦しい話になりましたが、
日々私が感じていることを山崎氏が掘り起こしてくれましたので、この機会にと。


本屋さん大賞を受賞しただとか、
そんなマスメディアに振り回されずに読みたい一冊です。

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聖女の救済

2009-04-27 17:30:36 | 
東野圭吾(著)

   理論的には考えられても、
   現実的にはありえない。

どうもね、湯川博士が福山雅治とダブって仕方ない。
あまりに作中人物はこれだ!とイメージが強すぎると、
顔の表情だけでなく、声までもが福山雅治(笑)

私はもちろん彼のファンのひとりではあるけれど、
作中人物がリアルさでもって駆けつけるのは、ちょっとね。

そういう意味では面白さ、半減 

別の意味では・・・

私もしてやられた・・・つまり見事に騙された一人です(笑)
つまりね、この小説は、丸ごと一冊がトリックなんです。
意味不明でしょ?(笑)
でも、読んだ人はこの意味がわかると思います。

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ラン

2009-02-27 15:54:54 | 
森 絵都(作)

  越えたくて、
  会いたくて、
  私は走りはじめた。


あのぉ・・・
私の小説や映画のレビューは、
ほとんど、

「とてもよい作品でした」 

から始まります。
これは、いつだって本音なんです。
だから、今回も、大きな声で、

とても、とっても良い作品でした 

主人公、環は取っ付きにくい気難しい女の子。
周囲を遠ざけるように自分の殻に閉じこもって過ごしていた彼女が、
いつしか強く自分の力で生きていくようになっていく。
いろんな人と係わる中で、素直に平らかになっていく。

なぜ彼女が走り始めたかは、読んでくださいね。
なるほど、へぇ~、と言う理由です。
この小説を読むポイントは「素直な心で読む」です。 

個人的には、真知栄子がいいと思う。
実際こんな人が周りにいると嫌だけど、ホントに嫌だけど、
この小説の中では燦然と光を放っている。 

軽妙な会話の中に、きちんとした日本語が織り込まれ、
森氏の凄さを見せ付けられます。
ふふっと微笑まずにはいられない、ニンマリせずにはいられない。

ああ、また素敵な小説に会えました。
ありがとう 


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風花

2008-11-24 21:23:05 | 
川上弘美(著)

読みながらイライラする小説(笑)
だったら読まなきゃ良いのに。。。
でもでも、
最後まで読んでしまうのが物語り好きの性 
この小説、
白黒はっきりさせたい人にはかなり無理(笑)

さてさて、このレビュー、どう書こうかと思いつつ、
日にちばかりが過ぎていた。
気分転換にブログをお散歩していると 

すると、ああ、これだこれだったんだ 
私が「風花」を読みながら、ずっとずっと心に引っかかっていた感覚はこれだったんだ 


  大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
  ぎこちない挨拶 醜く赤くなる 失語症 なめらかでないしぐさ
  子供の悪態にさえ傷ついてしまう 頼りない生牡蠣のような感受性
          
                         詩:茨木のり子(1926-2006) 

「汲む」というタイトルの詩です。
前後の文章を省略してあります。
この、ここが必要でした。 

多分ね、
うがった言い方をすると博学の川上氏はこの詩を知っていたのじゃないかと。
これぞ、主人公「のゆり」を端的に現しています。
「のゆり」が先か、「茨木氏」が先か。
もちろん、後者が先です。
どちらでもいい。
私の喉に刺さった魚の小骨は、いとも簡単に抜け落ちました。
「のゆり」はこのままの女性です。

すると今度はこの詩の作者「茨木のり子」さんが大変気に掛かる 

彼女の詩です。

どれも感動します。
女性ならではの感性です。
お時間許せば、じっくり読んでください。
「女の敵は女だ」とよく言われますが、
やはり「女の味方も女」だと思います。

ここでまた、私の悪い癖が出てしまうのですが、
私の大好きなシンガーソングライターの中島みゆきさん 
彼女の初期の歌詞に、感じが良く似ている。
きっと彼女も茨木氏の作品が好きだったんだろうな。。。と勝手な所感(笑)


そう、自分勝手な所感なんです 
まねした、とかじゃなく、
誰しもがギリギリ似通った感覚や感性を持ちえているということ。
私のこの拙い文章だって、
読み手によると、
あらっ誰かの筆致と良く似ている、と思うこともあるでしょう。 

自己満足の域で、そういう共通項を見出すと、とても嬉しいんです 
ヤッターみたいな(笑)

私の性です(笑)


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誰か

2008-11-17 14:56:53 | 

宮部みゆき(著)

自転車による轢逃げ事故 
導入は素晴らしい 
わくわくするし、展開がとても楽しみだった。

しかし、これははっきり言ってミステリーのジャンルには入らないだろう。
「模倣犯」「楽園」等等と読んできた。
謎解きよりも、社会の縮図を味わえる、とても優れた小説だと思った。

「誰か」は文体からして違う。
少しお茶目な語り口だし、そうしたところはとても驚きだし新鮮。
宮部氏もこうしたソフトで饒舌な一面があるのだと。

「逆玉」に対する、或いは上流階級に対する風刺かしらとも 

ああ、ここでも更に、ぐらっとくるミステリーが読みたい、と思うのだ 

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片想い

2008-11-17 14:41:44 | 

東野圭吾(著)

     どんなに性同一性障害という言葉だけがクローズアップされても、
     何も変わらない。
     受け入れられたいと言う我々の思いは、多分これからも伝わらない。
     片想いはこれからも続くでしょう。

どうなんだろうね~ 
氏が、わざわざ「性同一性障害」こんな難しいテーマを選ぶのか、
その必要性も不明である。
(ファンの皆様、ごめんなさい・・・

当事者は多くの悩みは苦しみを抱えて生きていると思う。
周囲も温かい理解を示すのが優しさだとも思う。
しかし、読みながら「なんだかこれって私たちへの啓発」などと思ってしまった。 

ぐらっとくるミステリーが読みたい 



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娼年、そして逝年

2008-10-14 23:03:04 | 
石田衣良(著)

   コールボーイとして、様々な女性との肉体を介しての主人公リョウの成長


と、おおまかなあらすじを私なりに考えてみましたが、いかがでしょうか(笑)


まず、私は石田氏のこと、好きです。
それを念頭に置きながら・・・

タイトルが素晴らしくいいですね。
「娼年」・・・「少年」
「逝年」・・・「青年」に呼応するが如くの当て字。
う~~~む、流石です 
もうコレだけでポイントUPです(だって、好きなんですもの) 

「娼年」についてはほとんどいやらしさが感じられません。
性描写もさらさらとしていて。

でもね、いろんな女性がいるんだな~と思ったよ。
ホストたちに、外車だのマンションだのをプレゼントするマダムの話、聞くように。
お金の使い道、支出の対象は人それぞれってことよね 

石田氏の心の目は相変わらずいつも優しい。
リョウのお相手の女性は彼より年上。

体のラインも肌のつやだって、バストだってヒップだって若い時とは違っている。
それだけじゃない 
お腹の周りも、二の腕も、背中のお肉も 

そうした私達の力ではどうにもできない加齢による体の変化を、とても優しく受け止めてくれているのだ


そうなんだ。
ぷにぷにのお腹でもいいんだ。
タルタルの腕でもいんだ。

諦めとも慰めとも、どっちつかずですが、
今の自分をとても愛しく思えるようになりましたよ 



「逝年」は「娼年」の続編です。
読むのなら「娼年」から読みましょう。





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僕たちのミシシッピ・リバー―季節風*夏

2008-10-06 13:35:10 | 
重松 清(著)


   友人を家族を恋人を『思う』12の夏の風景


何度でも泣きますからっ 
泣かせてください 

「青い鳥」の時だって、ぐちゃぐちゃになるくらい泣いた。

これは12の短編から成っています。
どれもこれも凄く切ないです。

その中で、一番胸を打ったのは「べっぴんさん」
「タカシ丸」も「ささのは さらさら」も良かったな~

重松氏は岡山生まれ、とだけ知っていたので、てっきり岡山育ちだと思っていた。
ところが、その後、18歳まで山口市で育ったのです。
そう、お隣の山口市よ 

この小説には方言で語られているところがたくさんあります。
岡山育ちだと思っていた私は、
「岡山の方言って山口に似てるんだな~」と感心していた。  
山口市、そして山口高校卒、と聞き、
「でっしょう~~ 
 ほおらね 
 絶対、あれは山口弁だわ」と納得。

余談でしたね 

オススメですよ。
誰にも家族があるように、誰にも故郷があるように、
好きな人も友達も、皆々含めて、
なにかしら目に見えない絆を感じさせてくれる作品群です
泣かされてみてください(笑)

秋の夜長、ぐすぐす泣いて過ごすのも、これまた一興ですよ 


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