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とまぴーSTYLE

よく食べ、よく笑い、よく遊び♪
元気が一番!
今日も豊かな一日になりますように・・・

「チェーンポイズン」

2010-03-30 09:37:20 | 

本多孝好(著)

   あと1年。
   死ぬ日を待ち続ける。
   それだけが私の希望――。

ぐはっとさせる一冊です。 
いやはや、こんな展開が待ち受けているとは~ 
興味津々でしょ(笑)

死に焦がれる一人の女性の一年間と、その一年後に連続自殺事件を追う週刊誌記者。
会ったこともない二人が違う時間を生きながらも、交錯する。


「死んだように生きてきた女性」が、だんだん生き生きとしてくる場面では泣けてきます。
「死」というテーマを掲げつつも「生」を考えさせられる、そんな小説です。


コメント (2)
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「永遠の仔」

2010-03-12 10:59:38 | 

天童荒太(著)

   再会は地獄への扉だった。

私はここで白状するけど、
天童氏を敬愛する一人なんです。
「あふれた愛」で作者と出会い、「家族狩り」「包帯クラブ」と、より近づいたつもりです。
しかし、この「永遠の仔」は避けていました。
これを読むには、読むための勇気はないと。

重く苦しく辛いです。
絶望、葛藤、諦念、欲望、疑念、誤解、業、そして虐待、ネグレクト・・・
どこのページを開いても「負」をイメージさせる言葉しか出てこない。

しかし、不思議なことに、どんなに不幸な内容を語りながらも、
その背後には微かではあるけれど「光」が見えるのだ。
結末も決してハッピーエンドではないにも関わらず。
その「光」は必ずしも「救済」ではないにも関わらず。。。

子を生み出し育てるのも親の責任。
子はいかなる状況の下でも、親を愛し親を慕う。

彼の小説には、
生きる不器用さ、不確かさ、
愚直なまでの誠実さを骨の髄まで感じてしまうのだ。

要領よいことを第一とする今の世の中で、
まるで亀の歩みのように、歩き始めた幼子のような、
あやふやではあるけれど、
一歩一歩地面を踏んで掴んで、
愚かしいくらいに、もどかしいくらいに、
そんな実直な作者の生き方、考え方はすんなり私の心に入り込む。

この小説を読み終え、私なりの感想が上記です。


3月7日(日)の読売新聞に、
「犬として育てられた少年」 ブルース・D・ベリー、マイア・サラヴィッツ著
(タイトルからして陰鬱な子供の虐待の本ではあるが)
の書評に、河合香織氏がこう述べています。

 「しかし、これほど重いテーマを扱っているにもかかわらず、驚くほど読後感は温かい。
  それは人間とはいかに暴虐なものであるかという絶望の先に見えてくる、
  深い自愛と尊厳に満ちた希望に出会えるからだ。」

これこそが、「永遠の仔」を読み終えた私の心境です。
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「Fain Days」

2010-03-11 13:47:46 | 

     私の妹は九つで死んだ。 
     私が、殺した。


本多孝好(著)

ミステリーのような、ファンタジーのような、時折ホラーのような。。。
四つの小編が収められています。

読んでいる間中、わくわくしていました。
次はどうなるの?

物語として好きなのは4番目の作品「シェード」

感覚的に好きなのは3番目の「眠りのための暖かな場所」

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「左岸」 「右岸」

2009-12-18 16:11:32 | 
 

 『左岸』 江國香織(著)




 『右岸』 辻仁成(著)

    

     茉莉ちゃんはぼくの恋人でも、妻でもないのに、
     思えばいつも、ぼくの心の片隅にいつづけてくれました。


『冷静と情熱のあいだ』以来、辻仁成さん(『右岸』)と江國香織さん(『左岸』)によるコラボレーション小説です。

『冷静と情熱のあいだ』は最初に映画を観ました。
それから『Rosso』『Blu』と読み進めました。
映画で何箇所か謎が残っていたのを、小説を読むことで解決できました(笑)
とてもよい作品だったので、今回も楽しみにしていました。

まず、長いです(笑)
自分が忙しいのも手伝ってか、両方を読むのに一ヶ月近くかかりました。

これまでに辻仁成さんの本は一度だけ手に取りましたが、ちょっと合わないような気がしていました。
でも今回は作品の流れがどうのこうのじゃなく、
文章の一つ一つが、洞察が深く、そのセンテンスだけを何度も読み返してしまうほど私にとっては鮮烈な印象でした。

江國さんは、相変わらずの雰囲気かな?と思っていましたが、
おっとどっこい!(笑)
すごく普通の文章でしたので拍子抜けしてしまいました(笑)
自分勝手なご都合主義丸出しの主人公なのですが、
不思議と嫌味を感じさせません。
私は掴み所の無い彼女の文章、
その文章よりも行間や句読点を読み取りながら、
私自身が浮遊してしまいそうになる、そうした小説が好きです。

どっちから読めばよいかはそれぞれですが、
『左岸』からの方がわかりやすいかもしれません。
『左岸』の謎は『右岸』で解けますよ。

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「目立つ力」

2009-10-26 10:57:21 | 
勝間和代(著)

   「人生のモビルスーツ」を手に入れてください。」

いやはや、
こうした生き方もあるのだと、ある意味別の意味、衝撃でしたわ(笑)

まず、私は香山リカ氏の「しがみつかない生き方」の中で、つい最近、彼女の存在を知ったくらいですから(笑)

つまり、今現在の私の暮らしには、是が非でも必要だ、という人物ではない(笑)
しかし、知ったからには知っておく価値があると。

こう見えても、私も名乗るほどではありませんが、ブロガーの端くれです。
しかし、私はこの「とまぴーSTYLE」を足がかりに、
「とまぴー」の名を轟かせ、全世界に羽ばたこう、だなんて、
これっぽっちも思っちゃいませんから(笑)

読んで納得したことは、ブログを作る効能。

  「ブログを作る」ことが、すなわちそのまま「思考する」ことに繋がる。

これは実感しています。
「思考の整理」という事です。
何かを見たり体験したりし、それに対し感じたこと考えたことを、
自分の言葉であると同時に、他者への発信、すなわち誰が読んでも分かる文章の構築へと進化させなくてならない。
すると必ず誰でも文章能力が間違いなく向上する、ということです。

そしてこれは、ネット上に限らず、実社会での他者とのコミュニケーション能力にも繋がります。


私のブログはご覧の通り、カスタマイズもされていませんし、
集客力も少なく、特にリンクもしていません。
また内容も、お料理でもなく本でもなく旅行でもなく仕事でもなく、
これといった目玉商品は備えていません。
気が向けば、時折テンプレートを変えるくらいです。
勝間氏からすれば、全く後ろ向きなブログの代表かもしれません(笑)


これからブログ始めようかな~、
集客力高めようかな~って考えている人には、
かなり参考になるかもしれません。
すごくパワーの溢れた書物です。
が、私は最後のあたりでは疲れました 


結論 「とまぴーSTYLE」はこのままでよいのです。

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「しがみつかない生き方」

2009-10-23 11:06:02 | 

香山リカ(著)


   「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール


私はしばしば思うのだ。


空気が私好みの朝だったり、
コーヒーがこっくりと美味しかったり、
すんなりストッキングが履けたり、
ビューラーでまつ毛がくっきり上がったり、
信号に一つも引っかからずに職場に到着したり、
思いのほか、さくさく仕事がはかどったり、
電話の第一声が鈴を転がすような美声である自分に驚いたり、
心に決めていた献立の材料が半額だったり、
お洗濯ものがふっくらと乾いていたり、
トリートメントがしっくりと髪の毛に染み渡ってる~と実感したり、
小説を読んでうるうるしたり、
遠くにいる子供から電話があったり、
mayuと食卓を囲んでわいわいお喋りしたり・・・


そういったささやかなことが、私にとっての「ふつうに幸せ」だと思うのだ。 
些細なことでも「幸せ」と思える心が「幸せ」なのだと。


踏ん張ることに疲れた人。
進んでも進んでも道が開けず、出口の見つからない人。
何かと、誰かと自分を比べながら生きている人。
私が私が、と先頭切って出なきゃ気のすまない人。

どんどん読むといい。
香山氏が救ってくれる。


   自慢競争をやめること。
   お金、恋愛、子供にしがみつかない。
   他人の弱さを受け入れること。
   物事の曖昧さを楽しむこと。


本書を読まずとも、この四つのポイントを掴んでいれば幸せは生み出せる、とお分かりだろう(笑)
だからもう、読まなくてもいいよ(笑)


正直言うとね、
この本、分かりにくかったの~ 
自分の頭が一瞬にして退化し始めたかと思ったくらい。

だいたい、この系統の書物はさらりと斜め読みで8割がた理解できるが、
本書に限っては2割も理解できず、
2度目もさっぱりさっぱり 
3度目でやっと本筋が分かり、
更に今日、記事に書く為に読み返し、ふむふむとわかること、たくさんたくさん 

もう一つ、白状しよう。
最終章に「勝間和代を目指さない」とある。
私は彼女を知らなかった 
長女に「勝間和代って、誰?」と聞く始末。

となれば悔しいじゃない?
次回は勝間和代さんの本「目立つ力」です。


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夏の庭

2009-09-10 09:33:53 | 

湯本香樹実(著)

    
    死んだ人って見たことある? 
    怖いけど見たい。
    知りたいことは知りたいんだ!


あらすじは・・・
言いたい!
書きたい!


    うぐぐ~


淡々と書かれています。
青少年が読んでも、子育て真っ最中の人が読んでも、
お仕事まっしぐらの人でも、お年を召した方でも、
全ての日本人に(大きく出た~)読んで欲しい作品です。


蝉時雨の降り注ぐ、暑い暑い夏の日に読むのもいいけれど、
今日みたいに、少しだけ秋を感じる朝の日に読むのもいい。

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ダブルファンタジー

2009-09-02 12:52:41 | 
村山由佳(著)


   「ほかの男とした?
    俺のかたちじゃなくなっている」


第4回中央公論文芸賞受賞しましたね。
それはさておいて・・・

いろいろ思った。
作家さんって、作品を作るとき、どれだけ実体験に基づくのだろうか、と。
精神ももちろん、体感や感覚って、実体験が伴わないとなかなか文字にできそうにないけど、どうなんだろ?
それさえも空想や妄想で描けるとしたら、
やはりSF作家や時代劇作家、戦争を経験したことのない若手いくさ物作家と同様、
ファンタジーな世界で生きる人々なのかしら。

若い人は読みにくいかもしれませんし、
大人でも主人公の行動に眉をひそめる人もいるでしょう。

渡辺淳一氏とも高樹のぶこ氏とも、彼らが描く官能の世界とは一味違う。
それはね、
主人公が自らの性欲の強さを認めているからなんです。

    男は性欲が強いと「絶倫」と、もてはやされ、
    同じことであるのに女は「淫乱」と言われて、恥ずかしいこととされてしまう。
    どうして女の性欲は罪悪なのか?

このところが既存の恋愛物と違うんですよね。
だったら、イケイケ~とことん進んじゃえ~と応援してしまう。


大人の女のお話です。
10代20代の子ジャリは、まねしちゃいけません。
同じ大人の女であっても、なかなかおいそれとまねできるものじゃありませんけど(笑)   


エロさも美学に・・・


しまった
エロさだけに重点を置いたレヴューになりましたね(笑)

女の自立とか心の渇望とか、満たされぬ行き場のない恋だとか、
多方面から女性についてのことが描かれています。

さすが村山さんです。
言葉選び、文章の組み立て、全てに隙がありません。
エロさを副産物とした正統派文学、と言っても良いでしょう。

これだけ褒める背景には、私は彼女が好きだ、ということなんです(笑) 

だから偏ったレヴューですよ、これは(笑)

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シズコさん

2009-07-27 13:46:38 | 

佐野洋子(著)

   母さんはもう忘れてしまっているけれど、
   黒いビロードの支那服に高いハイヒールをはいて、
   夜、父さんとどこかに行ったね
   私は母さんが世界で一番きれいな人だと思った

   私はハイヒールをはいて、
   よそ行きの洋服を着て父さんとどこかに行く母さんを見るのが嬉しくて仕方なかった

   あの時、私は母さんがいつかおばあさんになるなんて思いもしなかった


若い人が読んだらどう思うだろう。
母と娘の関係が、絵に描いたように良好である人が読んだらどうだろう。
介護に疲れ果て、母を見送った人が読んだらどうだろう。
早い時期に母を失った人が読んだらどうだろう。

なんと言うのかな、
母と娘の関係って、簡単でもあるし難しくもある。

痴呆の進んだ母との葛藤を描いたエッセイです。
横暴ともいえる強さ(と権力)を持った母が、
どんどん年老いて、 弱く小さく、かわいらしくなっていく。

エッセイだから読みやすい反面、
ちぐはぐでつじつまが合っているのかいないのか、よくわからん。
別の意味、読むのに疲れた(笑)


「地獄の沙汰も金次第」
「私は、自分の負い目の分だけ(母の入る施設に)高いお金を払った。」

ああ、
年を取るにも、
ボケてしまってもお金がいる、ってことですか(笑)

後半にかけて、胸に迫るものがあります。
そしてこの私も、これとよく似た道をたどるのかもしれないし・・・

悟りのエッセイ、として読むのがいいですね(笑)



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切羽へ

2009-07-07 13:08:23 | 


井上荒野(著)

   トンネルを掘っていく一番先を切羽(きりは)と言うとよ
   トンネルが繋がってしまえば、
   切羽はなくなってしまうしまうとばってん、
   掘り続けている間は、
   いつも、
   一番先が、切羽・・・

   切羽までどんどん歩いていくとたい。


小説全般の底深いところにずっとずうっと流れているのは「官能」そのものです。

クラシック音楽に例えるのなら、
コントラバスやティンパニの低音のように

川上弘美氏を思い出させるような作品でした。
淡い文体、緩い展開・・・
ためらいがちな、もどかしくもあり、はっきりモノを言わないような。

結局読み終えて???
で?
で??
どうなの??

筆者の言わんとするところを私たち読者に委ねている、と言うことですか?
ミステリーでもないのに、謎解きのような小説は困るな~
私の読みが浅いのかしら(笑)

美しく、淡々とした、それでいてしっかりとした大人の恋愛小説です。


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