☆Lorosae(太陽が昇る)ブログ☆

ロロサエという言葉は、東ティモールで使われているテトゥン語で、つまりは「日の丸」です。

砂の審廷

2012-06-21 23:22:08 | 書籍紹介
『砂の審廷 小説 東京裁判』
松本清張 ちくま文庫

東京裁判で、
東条英機の頭を
背後から叩く映像を
見たことがあるでしょうか
あの叩いた方の
大川周明の記録小説という趣です。

大川周明は、民間人唯一のA級戦犯として
巣鴨刑務所に拘留された人物で、
頭の冴えた努力家で
天才肌な人のようです。

今の日本に、日本はなく、
ただアメリカが撒く飴やチョコを
這いつくばって拾っている。

国粋は悪で罪でよくないことという脊髄が
神経の隅々まで
注入されていることを、
文章の規律からしみじみと感じとりました。

今、この小説のもととなるノートを遺せる社会人は
果たして何人いるだろうか。
それを繋ぎ、小説として、
いつでも戦前戦後まもなくへの興味の門戸を
簡単に指先に与える作家が
今、何人いるだろうか。


昔、港区にある外交史料館で
史料に触れた時、
その事態に対して真っ直ぐな記録が、
墨の色が、ペンの色が、印鑑の色が、
指になぞると当時の息づかいまで蘇るようで、
メモ一枚、写真一枚、
大事にしていた印象がある。

世界の時間