★今日の思い出のレコード・ジャケットは、ザ・スミス(THE SMITHS)の1983年の2ndシングル、『THIS CHARMINGMAN』の美麗ジャケットです。友人に「Rough Trade」の作品を全てコレクションされているお方がおられますが、私も大の「Rough Trade」好きでしたので、所謂レーベル買い、というお気に入りの英国インディー・レーベルでした。ザ・スミスはモリッシーというヴォーカリストとジョニー・マーという、希代のヴォーカリスト&ギタリストがいるので、日本にも旋風が巻き起こったのでした。アルバムが発売される前のシングルを幾度も聴いていた、あの様な感動は稀な事で、滅多に遭遇出来ない言葉に出来ない心の躍動があったように思えます。
サウンドは勿論なのですが、やはりレコードはジャケットも芸術品です。ご覧ください!この美麗なジャケットに写るのはジャン・マレーです。ジャン・コクトーの1949年の名作映画『オルフェ』のワン・シーンです。私はまるでポスターを買う様な気分で大きな12インチ・シングルを先に買いました。後に7インチも欲しくなり買いました。まだアルバム発売前でしたので運良く輸入盤屋さんで買えましたが、もう少し後からはなかなか入手し難くなっていたと思います。そう云えば、シュガー・キューブスのシングルを買いそびれ、友人に録音して頂いたりしていた事などを思い出します。 スミスやモリッシーのコレクターは大変だろうと思います。彼ら自身がレコードを愛するお方ゆえに、殊にシングルに対する拘りは強く、各国版、収録曲などをチェックしていたら全部欲しくなるからです。コレクター泣かせ、というのでしょうか。
ザ・スミスのビデオクリップを初めて観た折も感動しました。モリッシーはゲイのお方なのだな、うん、それでいい!なんて妙に納得したり。グラジオラスのお花を手に、また映像にも噎せ返るような花びらたち。ジャン・ジュネの小説を読んだ折の気分に似た薫香が蘇るかのようです。 便利な時代です。ジョイ・ディヴィジョンの1980年のシングル曲「Atmosphere」がジャン・コクトーの『オルフェ』と共にありました。このザ・スミスのジャケットに使われた場面も登場します。私の麗人図鑑にもジャン・コクトー、ジャン・マレーはどちらもおられます。それがどうした?って感じですが、幼き頃からジャン・コクトーはたいそう好きな総合芸術家なので贔屓目いっぱいになってしまうのです。
※蛇足ながら、まだ英国ほどのスミス旋風が日本に上陸していなかった当初、ある英語力に長けた先輩が「スミスズ」の話題をされていて、後輩の私は何か変だなあ...と思いながらお話を聞いていたものでした。何となくこの場合は「ザ・スミス」だろうって、感覚で察知していたのですが、確証など何も無かったのでした。そうした中、「Fool's Mate」の記事で「ザ・スミス」と記載されたのを読んだ折は、ちょっと誇らしく思えたものでした。