薔薇色ファンタジー★ヴェルヴェットの小部屋

色褪せぬ美しきもの・映画・音楽・文学・絵画等。ヴェルヴェット・ムーンのサブchouchouの偏愛日記です。忙中有閑♪

『王妃グウィネヴィア』 ウィリアム・モリス:WILLIAM MORRIS

2007-06-27 | 文学・詩・絵画
19世紀の英国文化に欠かせないお方、ウィリアム・モリス(1834年3月24日~1896年10月3日)。詩人であり工芸デザイナーであり、熱心なマルクス主義者としても有名な社会主義者。オックスフォード大学時代からの親友にバーン・ジョーンズやダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ等がいる。この絵はウィリアム・モリスが唯一残した油彩。

モデルとなるのはジェーン・バーデン(ジェイン・モリス)で、モリス25歳、ジェーン19歳の1859年にお二人はご結婚されている(厳格で裕福なモリス家は猛反対だった)。なので、ご結婚の前年の作品。しかし、ジェーンを取り巻く関係は複雑でもある。ラファエル前派の主要なモデルのお一人であったジェーンは、イギリス人的というよりも、ギリシャ的な容姿が魅力だったようだ。この、モリスは内気で純情なお気持ちでこの絵を愛情一杯に描かれたように思う。「トリスタンとイゾルデ」の中世騎士さながらに、労働者階級の若き娘ジェーンを王妃に喩え、ロマンス(夢物語)を作ったようだ。

ランスロットは、”本当に私を殺してください、そうすれば癒されるのです”と言い、王妃の前にひれ伏してしまう詩を残している。そして、この絵を描いている。ランスロットはモリス自らというところなので、なんとも、ロマンティックというかこの初々しいお心に感動さえ覚える(後に、その妻は不貞を犯すのに...)。

この絵(1858年)のタイトルは『Queen Guinevere (La Belle Iseult)』王妃グウィネヴィア(麗しのイズー)となっている。副題にフランス語を付けている。元々は『トリスタンとイゾルデ』はケルトからフランス、そしてドイツ...と渡ってゆき、リヒャルト・ワーグナーの曲やオペラ等の歌劇、そして、映画化と、今日も今後も様々なものとして残ってゆくものだろうから。アーサー王と騎士物語はオックスフォード時代からもっとも重要な主題であるとロセッティ達とも意見が合致していたそうだ。個人的には、クリスチャン・ヴァンデ(フランスのプログレ・バンド:マグマのリーダー)のソロ・アルバムなどを想起してしまうのだけれど。

最近も、映画『トリスタンとイゾルデ』が公開された。90年代の『トゥル-ナイト』という映画も結構好きだったりするので、そういう私もこのような主題、題材ものには滅法ヨワイようだ。不倫の夢物語、そして最期は死。悲恋の結末...。100年以上も前の絵、さらに古い伝承物語や詩などから、こうして21世紀に生きる私は何かを受け取ることが出来るのだと思うと嬉しくてしかたが無い☆

絵葉書(ポストカード)の起源

2007-06-11 | ノスタルジー・メモ
私がとっても小さな頃、従兄弟のお兄さんが東京に行って来たお土産に頂いたものの中にポストカード・セットと東京タワーの日めくりみたいになったブリキのカレンダーがあった。多分、私の記憶する最も古いポストカードのこと。兵庫ののどかな町で生まれ育った私には、東京は同じ日本でもとても遠い存在と感じていたものだ。仲良しのお友達から頂いたアンティーク・カードやちょこちょこと自分でも買っていた(レプリカものも含めて)そんな生まれる前の絵葉書がいつの間にかファイルに何冊かとなっている。私はコレクションしてはいないのだけれど眺めるのが好き♪ひとつの芸術、文化、通信手段として今も世界中で使われているものなので。

さて、起源は...と調べてみると実はドイツだった(説は他にもあり複雑)。私は大好きなサラ・ベルナールなどの女優さまのポストカードたちやミュシャたちの活動に興味を持つ中で、フランスかイギリスかと思っていた。何事にも起源があり、そこから広く開花し受け継がれていくもの。ドイツの工場の広告用に製造されたのが最古で1888年だそうだ。ベルリンに住むフライリッヒ・フォン・ヘンデルという工場主がお得意様たちに宛てたもの。しかし、その実物は現存しないらしくどんなものだったのかは知る由もない(私製絵葉書のことだと思うのだけれど、どのように異なるのか資料でもその様子が残っていれば...と残念に思うし、よく区別出来ずにいる私)。

絵入りポストカードとなると、1867年のウィーンのエマヌエル・ヘルマン博士というお方が作り、19世紀末以降フランス(ベル・エポック)や英国(エドワーディアン)では隆盛を極めることになる。その後の戦争が無ければ、もっと現存した多種に渡る素敵で愛らしく面白いものが見れたかもしれない。著名な芸術家たちだけではなく、名も知れぬ人々がどなたかに贈ったものやお祝いに添えたものたちが膨大な数として世界中で往来していたのだと思うと楽しい。

好きな題材を含むのでまた、時折ポスターなど(映画にも繋がるもの)と共にこの素敵な愛すべき芸術について綴ってみようと思う。日本では明治時代に隆盛を極めたようで、海外の絵葉書の中にはジャポニズムと分類されるものもあるので、欧州と日本の文化がお互いに影響しあった(絵画など芸術全般に言えることだろうけれど)のだという歴史を眺めたりするだけでも心地良いものだ♪

『不思議の国のアリス』 アーサー・ラッカム:ARTHUR RACKHAM

2007-06-03 | 文学・詩・絵画
『不思議の国のアリス』
( Alice's Adventures in Wonderland:1907年)

★ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と言えば、ジョン・テニエルの挿絵が最も有名だと思いますが、アーサー・ラッカムの愛らしく、幻想的な画風もとても好みなのです♪英国ロンドン生まれのヴィクトリア時代を生きたお方(1867年~1939年)。アリス以外にもピータ・パンやウンディーネ、妖精画家としても有名で、シェイクスピアやエドガー・アラン・ポーもの等、多数作品を残されているので、また追記してゆく予定です。