ジョルジョーネ(Giorgione)。本名はジョルジョ・ダ・カステルフランコ(Giorgio da Castelfranc)、1477年~1510年という夭折の画家。ルネッサンス期ヴェネツィア派(ジョルジョーネ派とも)に属するお方で作品は多く残されていないけれど、時を経てイギリス・ロマン派の文学の中で脈々と継承され続けることになる。その貢献を讃えるには、19世紀英国画家であり詩人でもあった、ラファエル前派のダンテ・ガブリエル・ロセッティ(Dante Gabriel Rossetti)が浮かぶ。15世紀から19世紀という年月、そして、それらを見たり読んだりする21世紀に生きる私。嗚呼!このような遥かなるロマンがたまらなく好きである。ジョルジョーネの1510年頃(死の直前)の作である『田園の合奏』あるいは『田舎の合奏』と呼ばれるルネサンス画に、ロセッティが寄せた美しい悲哀のソネットを♪
水を与えよ、夏至の苦しみを癒すべく。いな、
水瓶をゆっくり浸せ、いな、身を凭せかけて
聴け、水瓶のふちで嫌がる水が嘆息を洩らすのを。
静かに!深い森の彼方はるかに、
暑さは白みはじめる暁の空に音もなく横たわる。
手は今むせび泣くバイオルの弦を掻き鳴らし、
浅黒い二人の顔は歓楽の極みの悲しさに
歌を止める。細い笛を口から放し、
口を突き出したまま、彼女の眼はいま
何処へかさまよう?蔭の草は
彼女の裸の脇腹に涼しく触れる。そのままに。
今は何も言うな。彼女に涙を流させぬため、
またこのことをいつまでも口にするな。そのままにしておけ、
生命が不滅なものと唇を触れ合っているままに。
水瓶をゆっくり浸せ、いな、身を凭せかけて
聴け、水瓶のふちで嫌がる水が嘆息を洩らすのを。
静かに!深い森の彼方はるかに、
暑さは白みはじめる暁の空に音もなく横たわる。
手は今むせび泣くバイオルの弦を掻き鳴らし、
浅黒い二人の顔は歓楽の極みの悲しさに
歌を止める。細い笛を口から放し、
口を突き出したまま、彼女の眼はいま
何処へかさまよう?蔭の草は
彼女の裸の脇腹に涼しく触れる。そのままに。
今は何も言うな。彼女に涙を流させぬため、
またこのことをいつまでも口にするな。そのままにしておけ、
生命が不滅なものと唇を触れ合っているままに。