「四月になれば彼女は」
川村元気 (株式会社 文藝春秋)
久しぶりに自分で買って現代小説を読みました。
このタイトルとウユニ塩湖の背景に惹かれました。
「世界から猫が消えたなら」で初めて、川村元気さんの存在をはっきりと知りました。
うっかりと字だけ読み進んでしまって中身が抜け落ちてまた戻るという、爽やかな文章。
心地よい文に集中力がいるようです。
余計なものが削ぎ落とされている。
たとえば、事細かに丁寧に描かれた文ももちろん好きですけれど
この小説のように行間をしっかりと感じなければ、この会話はどちらが言った言葉なのか
読み返す、単純に私がうっかりものなのかも知れませんけれど。
詩的なものを感じます。
そうして、読み終わったあとに、物語の余韻が残っている
川村元気さんの本、また読んでみようと思いました。
それにしても、小説を読むと、書いた人の洞察や、研究したものを考える時に
自分はなんて単純に生きているのだと痛感してしまいます。
複雑だと思っているのに、単純
というより、薄々気づいているのに気付かない振りをしているか
考えをはっきりと表すことができない
そういうことなんでしょうね。
ぐんぐんと読み進む時は、好きな本ということになる
飛ばしたくなる、あとで読もうって思う時は
あまり好みではない
自分の性格の通りはっきりとしている。
私の友人で、本を買う時はハードカバーを買うと言った人がいた。
理由を聞いたら、本棚に飾ってあってもかっこいい。
本を大事にしているのでしょうね。
私のように文庫本を買って、挙句の果てにカバーも取ってしまったのなら
内容の様子も伝わってこないしね、だめよ~とのことだった。
最近はそういうことはしなくなったけれど
やはり良い本はなるべく買いたい
今は、そう思っています。
映画でも、本でも、借りて観たり読めばいいかな
そういう部分もあるけれど、しっかりと手に取り、大事なものとして扱う時間
自分の中にある、ぬくもりも本に伝わるような気もしています。