昨年、米国クラシックでは一頭のスターが誕生した。
無傷の6連勝でラン・フォー・ザ・ローゼスを制覇。
後続につけた着差は実に6馬身半。
大楽勝だった。
その強さに人々は28年ぶりの三冠馬誕生を確信した。
また、デビューからの3戦は芝で圧勝していたこの馬。
秋には凱旋門賞に挑戦という、とてつもないプランも噂されていた。
彼は世界の競馬ファンの夢となった。
そんな人々の思いを乗せたトリプルクラウンの第2戦。
彼はゲートに納まりスタートを待っていた。
だが、前扉が開く前に彼はゲートを破り飛び出してしまう。
直ぐに捕まえられて大事には至らなかった。
その後の馬体チェックも問題無かった。
ただ、スタート地点へ戻るとき鞍上は頻りにトモを気にしていた。
再スタートは全馬揃ってゲートを出た。
彼は徐々に内に切れ込み中団馬群にポジションを取ろうとする。
その時だった。
騎手が手綱を引いた。
彼は頭を上げズルズルと後退する。
そのまま、競争を中止した。
右後脚球節脱臼、及び数箇所の粉砕骨折。
通常ならば即時に予後不良と判断される。
極めて重度な故障を発症した。
人々は彼を助けたいと願った。
手術は5時間以上にも及んだ。
20本以上のボトルが埋め込まれた。
手術は無事に終了した。
だが、それでも彼の命はコイントスだといわれた。
表か裏か、つまり五分五分。
常に予断を許さない状態だった。
それでも彼は耐えた。
暴れることも無く。
運命に身を委ねるように。
その後、彼は順調に回復していった。
自分の脚で立ち、外で青草を食むことができるくらいに。
彼の未来に光が差して来たかに思えた。
だが、結局力尽きてしまった。
事故から8ヶ月。
この間、彼は幸せだったのだろうか。
苦しませただけだったのだろうか。
所詮、人間のエゴだったのだろうか。
私には分からない。
分からないが眼を逸らしたくはない。
全てを受け止めて行きたい。
それが競馬だから。
私の大好きな競馬だから。
無傷の6連勝でラン・フォー・ザ・ローゼスを制覇。
後続につけた着差は実に6馬身半。
大楽勝だった。
その強さに人々は28年ぶりの三冠馬誕生を確信した。
また、デビューからの3戦は芝で圧勝していたこの馬。
秋には凱旋門賞に挑戦という、とてつもないプランも噂されていた。
彼は世界の競馬ファンの夢となった。
そんな人々の思いを乗せたトリプルクラウンの第2戦。
彼はゲートに納まりスタートを待っていた。
だが、前扉が開く前に彼はゲートを破り飛び出してしまう。
直ぐに捕まえられて大事には至らなかった。
その後の馬体チェックも問題無かった。
ただ、スタート地点へ戻るとき鞍上は頻りにトモを気にしていた。
再スタートは全馬揃ってゲートを出た。
彼は徐々に内に切れ込み中団馬群にポジションを取ろうとする。
その時だった。
騎手が手綱を引いた。
彼は頭を上げズルズルと後退する。
そのまま、競争を中止した。
右後脚球節脱臼、及び数箇所の粉砕骨折。
通常ならば即時に予後不良と判断される。
極めて重度な故障を発症した。
人々は彼を助けたいと願った。
手術は5時間以上にも及んだ。
20本以上のボトルが埋め込まれた。
手術は無事に終了した。
だが、それでも彼の命はコイントスだといわれた。
表か裏か、つまり五分五分。
常に予断を許さない状態だった。
それでも彼は耐えた。
暴れることも無く。
運命に身を委ねるように。
その後、彼は順調に回復していった。
自分の脚で立ち、外で青草を食むことができるくらいに。
彼の未来に光が差して来たかに思えた。
だが、結局力尽きてしまった。
事故から8ヶ月。
この間、彼は幸せだったのだろうか。
苦しませただけだったのだろうか。
所詮、人間のエゴだったのだろうか。
私には分からない。
分からないが眼を逸らしたくはない。
全てを受け止めて行きたい。
それが競馬だから。
私の大好きな競馬だから。