いつからだろうか。
ジャパンカップが詰まらなくなったのは。
私が競馬を観始めた頃は外国馬が圧倒的に強かった。
故にこのレースは世界への挑戦という位置付けだった。
ここで走る日本馬は皆挑戦者。
勝てない可能性が高いと知りつつも日本代表を応援する。
競馬の本場の馬たちに一泡吹かせて欲しい。
などと儚い想いで観るレースは他には無かった。
あの時も勝てないだろうと思いながらも日本馬を応援していた。
この馬の父は偉大な馬だった。
そして、父の足跡を辿るかのように輝かしい実績を残してきた。
だが、古馬になり世紀の対決と呼ばれた一戦で惨敗を喫する。
さらに雪辱を期して臨んだ復帰戦でも敗れ去った。
二度続けての惨敗。
そんなことで強い外国馬に勝てるのか。
周囲のこの馬への期待は決して大きくは無かった。
ましてやこの年は過去最強の外国馬が集まったと言われていた。
欧州年度代表馬に英国ダービー馬二頭。
米国100万ドルレースの勝ち馬。
豪州年度代表馬に豪州代表馬。
とても勝ち目があるとは思えなかった。
でも、もしかしたらこの馬なら。
そんな儚い期待を抱きながらこのレースを見つめていた。
道中は馬群の外側を気持ち良さそうに走っていた。
この馬には8枠のピンクの帽子が良く似合う。
そんなことを思いながらこの馬の走りを眺めていた。
大欅を通り過ぎた辺り。
この馬が持ったままでスーッと上がって行く。
いつものあの手ごたえだ。
もしかしたら。
そんな想いが頭を霞める。
直線入り口でもまだ持ったまま。
そのまま先行集団から抜け出す勢い。
これはもしかするともしかする。
この時点でようやく思えた。
勝てるかも知れないと。
やがて内から抜け出した豪州ダービー馬と馬体を併せる。
そこからは完全に一騎打ち。
この馬を交わせば勝てる。
私の胸は張り裂けそうなくらい苦しくなる。
叩き合いが続く。
鞍上の右手で見せ鞭を振るう。
左手で馬の首を押す。
頑張ってくれ。
私は祈るような気持ちで見つめる。
ゴールまで競り合いは続いた。
そのまま、馬体を併せたままゴール板を通過した。
外側のピンクの帽子がクビだけ前に出ていた。
常に冷静沈着な鞍上が大きく右手でガッツポーズを作る。
実況では「やったあ」とアナウンサーが叫んだ。
私は思わず「よっしゃー」と絶叫した。
ゴールの余韻を楽しむかのようなウイニングラン。
勝者を称えるコールがスタンドから巻き起こる。
その光景がとにかく嬉しかった。
この馬が世界に勝ったんだ。
とにかくムチャクチャ嬉しかった。
それから幾許かの時が流れた。
今では日本馬が勝って当たり前。
そんなレースになってしまった。
それでも私は期待する。
あのときのような感動を。
あのときのような喜びを。
ジャパンカップが詰まらなくなったのは。
私が競馬を観始めた頃は外国馬が圧倒的に強かった。
故にこのレースは世界への挑戦という位置付けだった。
ここで走る日本馬は皆挑戦者。
勝てない可能性が高いと知りつつも日本代表を応援する。
競馬の本場の馬たちに一泡吹かせて欲しい。
などと儚い想いで観るレースは他には無かった。
あの時も勝てないだろうと思いながらも日本馬を応援していた。
この馬の父は偉大な馬だった。
そして、父の足跡を辿るかのように輝かしい実績を残してきた。
だが、古馬になり世紀の対決と呼ばれた一戦で惨敗を喫する。
さらに雪辱を期して臨んだ復帰戦でも敗れ去った。
二度続けての惨敗。
そんなことで強い外国馬に勝てるのか。
周囲のこの馬への期待は決して大きくは無かった。
ましてやこの年は過去最強の外国馬が集まったと言われていた。
欧州年度代表馬に英国ダービー馬二頭。
米国100万ドルレースの勝ち馬。
豪州年度代表馬に豪州代表馬。
とても勝ち目があるとは思えなかった。
でも、もしかしたらこの馬なら。
そんな儚い期待を抱きながらこのレースを見つめていた。
道中は馬群の外側を気持ち良さそうに走っていた。
この馬には8枠のピンクの帽子が良く似合う。
そんなことを思いながらこの馬の走りを眺めていた。
大欅を通り過ぎた辺り。
この馬が持ったままでスーッと上がって行く。
いつものあの手ごたえだ。
もしかしたら。
そんな想いが頭を霞める。
直線入り口でもまだ持ったまま。
そのまま先行集団から抜け出す勢い。
これはもしかするともしかする。
この時点でようやく思えた。
勝てるかも知れないと。
やがて内から抜け出した豪州ダービー馬と馬体を併せる。
そこからは完全に一騎打ち。
この馬を交わせば勝てる。
私の胸は張り裂けそうなくらい苦しくなる。
叩き合いが続く。
鞍上の右手で見せ鞭を振るう。
左手で馬の首を押す。
頑張ってくれ。
私は祈るような気持ちで見つめる。
ゴールまで競り合いは続いた。
そのまま、馬体を併せたままゴール板を通過した。
外側のピンクの帽子がクビだけ前に出ていた。
常に冷静沈着な鞍上が大きく右手でガッツポーズを作る。
実況では「やったあ」とアナウンサーが叫んだ。
私は思わず「よっしゃー」と絶叫した。
ゴールの余韻を楽しむかのようなウイニングラン。
勝者を称えるコールがスタンドから巻き起こる。
その光景がとにかく嬉しかった。
この馬が世界に勝ったんだ。
とにかくムチャクチャ嬉しかった。
それから幾許かの時が流れた。
今では日本馬が勝って当たり前。
そんなレースになってしまった。
それでも私は期待する。
あのときのような感動を。
あのときのような喜びを。