今日はワクワクしながら競馬場へと向かった。
大レースを観戦しに行くときの高揚とは少し違う。
小さい頃に遠足へ行ったときの感じに近いのかも知れない。
何だかとにかく楽しそうだ。
そんな心の声に素直に従い行きたい所に足を向けたのだった。
まずはグランドオープンした新しいスタンドを歩いてみた。
中世欧州風のモダンなデザインの広々とした清潔感のある空間。
昔の寒々しいどこか近寄りがたいイメージなど全く無い。
競馬に偏見を持っている人でもここに連れてくればきっと印象が変わる。
ここは誰にでも胸を張ってお勧めできる素晴らしい場所になった。
綺麗なスタンドに満足して次はパドックへと向かう。
入れ物を見ることだけを楽しみにしていたわけではない。
そこで行われるレースを観ることも今日の目的のひとつである。
大舞台への切符を懸けた乙女達の争いに気になる馬が出てくる。
その姿を直に見て、その走りをこの目に焼き付ける。
そんな競馬場本来の魅力ももちろん堪能させてもらう。
綺麗な瞳だな。
彼女を見た瞬間思わずそう呟いた。
女神の名を持つ馬は眼のパッチリした可愛い娘だった。
少し胴の詰まった体つきで首も太く短い。
伸びやかさよりもキュッとまとまっているような印象を受ける。
時折チャカチャカとする子供っぽい仕草も相俟ってとても愛らしく見える。
美しい女神というよりは元気な美少女という感じだろう。
返し馬でもやや行きたがってますます子供っぽく見える。
こんな彼女があの桜の上位二頭を脅かす存在になれるのだろうか。
やれやれと思いつつも顔はなんだか綻んでしまった。
そんな思いはレース中も続いていた。
あんなに揉まれて大丈夫かなあ。
やっぱり少し行きたがっているんじゃないかなあ。
なんて言いながら、中団馬群の真っ只中を進む彼女を見守った。
4コーナーを回り直線に入ると前には先行した馬たちの壁がある。
外に出そうとすれば後ろから脚を伸ばした馬に進路をふさがれる。
結局、その馬をやり過ごして外に出せたのは残り300mほどだった。
この時点で普通ならもう絶望的な不利と言えよう。
でも私は全然暗い気持ちにはならなかった。
だって彼女はとっても一生懸命に前へ前へと向かっていくから。
飛びが大きいという走りではない。
脚を伸ばせるだけ伸ばして少しでも遠くに体を運ぼうとしている。
まるで前へ前へという気持ちがこのフォームを生み出しているようだ。
ここまで前向きな意思を見せ付けられたら応援せずにはいられない。
私の眼の前を通り過ぎるときに「行けー」と声をかけた。
彼女は真っ直ぐ前を見据えて弾むように四肢を伸ばしていた。
一気に馬群を抜け出す。
前にはあと二頭。
よし、届く、行ける、差し切れる。
グングン、グングン脚を伸ばす。
彼女は測ったように前の馬たちを差し切り、先頭でゴールインした。
「やったー」と私は子供のように喜んだ。
最終レースが終わったパドックに人だかりができている。
まるでG1レースのような人込みである。
しかし、雰囲気は和やかで大レースのような緊張感は無い。
やがて、パドックは暖かい拍手に包まれる。
ダービー、オークスを制した元騎手たちは柔らかい表情で観客に手を振る。
馬にまたがり歓声に応える彼らに対してそこかしこで笑いが巻き起こる。
誘導馬にはテレビでお馴染みの元女性騎手と関東の現役騎手が二人。
スターターには「ダービーを勝ったら騎手を辞めてもいい」のあの人。
細かい演出が憎らしくてスタンドは大盛り上がりである。
鳴り響くG1のファンファーレに手拍子を合わせて大きな歓声を挙げる。
現役さながらのフォームでレースに乗る元騎手たちに声援を送る。
スタンドを埋め尽くした人々は直線で叩き合う彼らを大きな拍手で迎えた。
競馬ファンにとっては夢のようなひと時だった。
今日は本当に楽しかった。
競馬場ってこんなに楽しいところなんだと改めて思った。
やっぱりこんな楽しい場所は他に無いでしょ。
大レースを観戦しに行くときの高揚とは少し違う。
小さい頃に遠足へ行ったときの感じに近いのかも知れない。
何だかとにかく楽しそうだ。
そんな心の声に素直に従い行きたい所に足を向けたのだった。
まずはグランドオープンした新しいスタンドを歩いてみた。
中世欧州風のモダンなデザインの広々とした清潔感のある空間。
昔の寒々しいどこか近寄りがたいイメージなど全く無い。
競馬に偏見を持っている人でもここに連れてくればきっと印象が変わる。
ここは誰にでも胸を張ってお勧めできる素晴らしい場所になった。
綺麗なスタンドに満足して次はパドックへと向かう。
入れ物を見ることだけを楽しみにしていたわけではない。
そこで行われるレースを観ることも今日の目的のひとつである。
大舞台への切符を懸けた乙女達の争いに気になる馬が出てくる。
その姿を直に見て、その走りをこの目に焼き付ける。
そんな競馬場本来の魅力ももちろん堪能させてもらう。
綺麗な瞳だな。
彼女を見た瞬間思わずそう呟いた。
女神の名を持つ馬は眼のパッチリした可愛い娘だった。
少し胴の詰まった体つきで首も太く短い。
伸びやかさよりもキュッとまとまっているような印象を受ける。
時折チャカチャカとする子供っぽい仕草も相俟ってとても愛らしく見える。
美しい女神というよりは元気な美少女という感じだろう。
返し馬でもやや行きたがってますます子供っぽく見える。
こんな彼女があの桜の上位二頭を脅かす存在になれるのだろうか。
やれやれと思いつつも顔はなんだか綻んでしまった。
そんな思いはレース中も続いていた。
あんなに揉まれて大丈夫かなあ。
やっぱり少し行きたがっているんじゃないかなあ。
なんて言いながら、中団馬群の真っ只中を進む彼女を見守った。
4コーナーを回り直線に入ると前には先行した馬たちの壁がある。
外に出そうとすれば後ろから脚を伸ばした馬に進路をふさがれる。
結局、その馬をやり過ごして外に出せたのは残り300mほどだった。
この時点で普通ならもう絶望的な不利と言えよう。
でも私は全然暗い気持ちにはならなかった。
だって彼女はとっても一生懸命に前へ前へと向かっていくから。
飛びが大きいという走りではない。
脚を伸ばせるだけ伸ばして少しでも遠くに体を運ぼうとしている。
まるで前へ前へという気持ちがこのフォームを生み出しているようだ。
ここまで前向きな意思を見せ付けられたら応援せずにはいられない。
私の眼の前を通り過ぎるときに「行けー」と声をかけた。
彼女は真っ直ぐ前を見据えて弾むように四肢を伸ばしていた。
一気に馬群を抜け出す。
前にはあと二頭。
よし、届く、行ける、差し切れる。
グングン、グングン脚を伸ばす。
彼女は測ったように前の馬たちを差し切り、先頭でゴールインした。
「やったー」と私は子供のように喜んだ。
最終レースが終わったパドックに人だかりができている。
まるでG1レースのような人込みである。
しかし、雰囲気は和やかで大レースのような緊張感は無い。
やがて、パドックは暖かい拍手に包まれる。
ダービー、オークスを制した元騎手たちは柔らかい表情で観客に手を振る。
馬にまたがり歓声に応える彼らに対してそこかしこで笑いが巻き起こる。
誘導馬にはテレビでお馴染みの元女性騎手と関東の現役騎手が二人。
スターターには「ダービーを勝ったら騎手を辞めてもいい」のあの人。
細かい演出が憎らしくてスタンドは大盛り上がりである。
鳴り響くG1のファンファーレに手拍子を合わせて大きな歓声を挙げる。
現役さながらのフォームでレースに乗る元騎手たちに声援を送る。
スタンドを埋め尽くした人々は直線で叩き合う彼らを大きな拍手で迎えた。
競馬ファンにとっては夢のようなひと時だった。
今日は本当に楽しかった。
競馬場ってこんなに楽しいところなんだと改めて思った。
やっぱりこんな楽しい場所は他に無いでしょ。