ストレート法の特徴としては
①風味が良い②発酵時間が短い③特有の食感があるという反面、①
老化が早い②原材料および工程からの影響を受け易い③機械耐性が劣る④内層の気泡が粗く気泡膜が厚いという点である。
生地の熟成をミキシングよりも発酵にウェートをおき、ミキシングはアンダーミキシング気味に行なう。(慣れるまではアンダーミキシングよりもオーバーミキシングにしたほうが安定したパンはできるが、生地状態を見極めることができるようになったら最適なアンダーミキシングに近づけるとより良いパンが焼きあがる。)つまりストレート法の特徴である気泡数の少ない膜の厚いパンをつくるにはミキシングの程度が低くなくてはならないということである。
●ノータイム法
発酵時間を0~30分に短縮してパンを作るストレート法で標準中種法と比較して①ミキシングをフルディベロップさせ②イースト量を通常の1.5~2倍使用し③捏ね上げ生地温度を3℃程度高めにし④酸化剤の添加量をアスコルビン酸30~50ppmに増量する。すなわちパン生地を熟成しやすい方向にすることで発酵時間を短縮する。パン生地は伸展性がよく窯伸びするが、製品の風味は非常に乏しい。
ノータイム法と標準ストレート法の間に短時間ストレート法があり、上述した4点を標準法とノータイム法の中間にすることで発酵時間を40~60分程度に短縮した製法である。得られる製品特徴も標準法とノータイム法の中間である。
●中種法
使用する小麦粉の一部をイーストと水、その他主に発酵を促進させる副材料も加えて生地をミキシングする。この中種生地を2時間以上の発酵をとった後(生地の容量が約4倍になる)、残りの原材料を加えてサイドミキシング(本捏)する。0~60分のフロアタイムをとり分割・成型・ホイロ・焼成と一連の工程に移る。
中種法の特徴は中種生地で安定した生地を長時間発酵させるため①発酵を製パン工程や原材料からの影響が少なく、第1次発酵で生地熟成を充分行なっているため生地の伸展性がよく②機械耐性が強い。③パンのボリュームも大きく膜質が薄く④老化が遅い。その反面、①酸臭(中種臭)・酸味が強く②設備とスペースが必要である。③発酵ロスも大きく・吸水も少なくなり、⑤工程所用時間も長くなる。
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中種法 |
ノータイム法 |
直捏法 |
外観 |
容積 |
ボリューム大 |
ボリューム大 |
ボリューム中 |
形 |
勢いあり良品 |
大きなパイルがある |
パイルが出てるが穏やか |
色・艶 |
明るい艶あり |
明るい艶あり |
艶多め |
クラスト |
色づきが良い |
薄い |
色づきが濃い |
皮質 |
薄い |
滑らか |
極めて厚い |
内層 |
内色相 |
極めて明るい白色 |
艶のある白色 |
クリームがかって明るい |
きめ立ち |
やや縦目・方向性有り |
若干方向性有るが単純 |
縦目がはっきりでてる |
触感 |
滑らか |
滑らか |
ごつごつ |
風味 |
香気 |
中種臭・酸臭がつよい |
材料臭 |
香りが強く残る・アルコール臭 |
味 |
上品な甘味がある |
やや塩気が強い |
はっきりとした味 |
口どけ |
やや口どけ悪い |
やや口どけ良い |
もちもちとして残る |
その他 |
老化 |
やわらかさ持続 |
やわらかさ持続 |
硬くばさつく |
製品欠陥 |
常温D+4でカビ無し |
常温D+4でカビ無し |
常温D+4でカビ無し |
全体 |
勢いあり良品 |
勢いがあり良品 |
ボリュームがあり良品 |
備考 |
モルダー痛み無し |
モルダー痛み無し |
モルダー痛み無し |
http://sikata0107.hp.infoseek.co.jp/sub3seihou.htm