少年は自動販売機の前に立つ。
陳列された喉の潤いを前に、
対価を持たない少年にその権利も無く。
思いを馳せるだけではからからに乾いた喉は潤わず、
唾液がせめてもの気休めだった。
「ちょいちょい、そこの君」
少年は少年の呼ぶ声の方に目を向けた。
そこにはこの暑いのに黒いコートを着ている老人が立っている。
少年の頭には"逃走"の二文字が浮かんだが、そのためのカロリーが体内に無く、
一歩一歩近づく老人にうつろな目を投げかけた。
「君、名前はなんと言う」
こんな怪しさで溢れた老人に本当の名前を言えるはずがなく。
少年は頭に思いついた名前を口にした。
「江戸川コナン…探偵さ」
すると老人は少年を見つめて言った。
「私とバンドを組まないか」
8月も後半に差し掛かった、暑い夏だった。
作・大江ペリ次
LHFポッドキャストもよろしく!
![lhfpote.JPG](http://ichimura11.up.seesaa.net/image/EFBD8CEFBD88EFBD86pote-thumbnail2.JPG)
陳列された喉の潤いを前に、
対価を持たない少年にその権利も無く。
思いを馳せるだけではからからに乾いた喉は潤わず、
唾液がせめてもの気休めだった。
「ちょいちょい、そこの君」
少年は少年の呼ぶ声の方に目を向けた。
そこにはこの暑いのに黒いコートを着ている老人が立っている。
少年の頭には"逃走"の二文字が浮かんだが、そのためのカロリーが体内に無く、
一歩一歩近づく老人にうつろな目を投げかけた。
「君、名前はなんと言う」
こんな怪しさで溢れた老人に本当の名前を言えるはずがなく。
少年は頭に思いついた名前を口にした。
「江戸川コナン…探偵さ」
すると老人は少年を見つめて言った。
「私とバンドを組まないか」
8月も後半に差し掛かった、暑い夏だった。
作・大江ペリ次
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