Lに捧げるちいさな図書館

≪ L ≫至上主義の図書館へようこそ。司書は趣味嗜好のまま、気の向くまま、あちこちへと流浪しますゆえー♪

まろうさぎさんの角川文庫L図書賛同企画①「海の底」

2009-07-19 | 松山ケンイチ

今年もL図書は松山ケンイチさんの
≪発見。角川文庫 夏の100冊≫キャンペーンに賛同します。
やったあ、まろうさぎさんがトップを切ってくださいました。
まろうさぎさん、ありがとうございます。
L図書に集いしみなさま、次に続け!でございますよ!!


角川文庫L図書賛同企画①
     「海の底」


≪選んだ本≫
有川浩「海の底」


≪選んだ理由≫
有川浩は、ここ数年お気に入りの作家で、
彼女のパワフルかつ胸キュンなストーリーに、
「うわぁ」とこっぱずかしく思いながらも、クスリと笑い、
ほろりと涙し、真剣に「闘う」ことについて考えたから。


≪レビュー≫
有川浩は、ライトノベル出身者で、
この「海の底」は、エンターテイメント作品として、彼女の作品の中でも、
かなりの傑作だと思う。
もともと有川浩は、自衛隊でラブコメを書いたら右に出る者はいない
…というより、自衛隊でラブコメを描こうなんていう人はいなかったわけで、
自衛隊に対する愛
(自分の任務として、いろいろな矛盾を知りつつも、命をかけて任務を遂行する人
に非常に愛着があるんですね、彼女は)と、
ラブコメのバランスが面白い。
自衛隊三部作といわれる「塩の町」(陸自)、「空の中」(空自)、「海の底」
(海自)ですが(それぞれに関連はありません。「空の中」は角川夏100に入って
ます)
一番、出来がよく、ラブコメ要素も少なめで、有川浩初心者にもお勧め。
さらには、親父萌えでもあり
(彼女の最近の作品に「三匹のおっさん」という、アラカン=アラウンド還暦のお
っさんたちを主人公にした痛快コメディがあります)、
有川浩初心者には、骨太なエンタメとして、ぜひ読んでいただきたい!!

物語は、横須賀米軍基地のお祭り「桜祭り」の日、突如として、巨大なエビの大軍
が上陸するという異常事態から始まります。
この始まりこそ、バカバカしいというか、ありえない設定ですが、それ以外は、
徹底して現実の警察機構や自衛隊内部のことを描いています。
主人公の夏木大和三尉(海上自衛隊 潜水艦「きりしお」乗務員)と、冬原春臣三
尉(同)、桜祭りに来ていた、森尾望(女子高生)を筆頭とする13人の小中学生を
軸に話がすすむのですが、実はサイドストーリーにグッとくるのです。
たとえば、こんなワンシーン。
巨大エビ(レガリス)に立ち向かおうにも重火器をもたない警察機動隊では、
肉弾戦でしか対抗のしようがない。
自衛隊さえ動かしてもらえれば話は簡単だけれど、それはなかなか許可が
でない。
自衛隊をひっぱりだすために、壊滅のための壊滅をしなければならない
機動隊員たち。
自分たちの「任務」としてみっともなく敗走するそのプライドに泣けるんです。
そして、泣きそうになりながら、「いや、こんなふうに必死に闘っている人の前
で、何もしていない私が泣くわけにはいかない!」とグっと歯をくいしばる…
そんな場面が3回ほどあり、一気に読んでしまう。
もちろん、ラノベっぽい、あまりに類型的すぎる登場人物描写もあって、浅いなぁ
と思ってしまう部分もありますが、
その分、登場人物たちのキャラ立ちぶりは、お見事としか言いようがありません。

「海の底」が気に入っていただけたら、「空の中」にすすんでいただけると
嬉しい。
さらに気に入ったら、長編「図書館戦争シリーズ」に突入していただきたい。

口の悪い、でも、真っ直ぐな男性に萌える!
バディもの大好き!
もどかしいラブコメばっちこい!
そして、ひねくれた思春期少年の、ひねくれた思いや、
いつまで立ってもうまく立ち回れない中年、でも、世の中のつまらん規則など
破ってかまわん!!と開き直っている骨太のおっさんに魅かれる
……どれか一つでもあてはまるならば、有川浩、ぜひ、読んでみてください。


先頭を切ってくださった、まろうさぎさん。
ありがとうございます。
のっけにふさわしい作品だと思います。
なぜに・・それはとっても女子には斬新である世界だから。
ええ、間口が思いっきり、ひろーーーーく、開いたような、
そんな開放感を覚えました。
まろうさぎさんがお薦めくださった本書は、
読み始めるのに最適な季節じゃないでしょうか。
そして、たぶん、多くのひとがわからなくて、知らずに来た分野。
まろうさぎさんがとても魅力的に紹介してくださったおかげで、
≪なんだなんだオモシロそうじゃないですか!≫と
前のめりになった方がたくさんいらっしゃることと思います。
まろうさぎさん、
  >ひねくれた思春期少年の、ひねくれた思いや・・
大好物なので、読んでみたくなりました。
ありがとうございました。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まじょっこ)
2009-07-19 01:26:58
樹さん、まろうさぎさん、こんばんは☆

有川浩さん、お名前はよく見かけていましたが、読んだことはありませんでした。
自衛隊でラブコメ!?自衛隊三部作?!
自衛隊って未知の世界ですよね。
この前飲み会で元空自の方がいて、くいついちゃいました(笑)

今年は栞の種類も少ないので、去年よりは購入していませんが、シークレット栞にも期待しているので、まだ購入する予定です。
この本は全くチェックしていなかったんですが、参考にさせてもらいますね!!
ありがとうございました♪
返信する
Unknown (ひじり)
2009-07-19 16:04:23
樹さん、まろうざきさんこんにちは!
有川さんの作品はただのファンタジーではなく、登場人物達の葛藤や強さ、弱さ、そして人外の想いさえ、読み手にグッと迫ってくるものがありますね。
『空の中』もそう。
子供たちの葛藤、大人達の責任、人外の者の切なさ。
キャラの立ちっぷりは類を見ないものがあります。
私も有川さんの自衛隊3部作、お薦めします☆
返信する
Unknown (まろうさぎ)
2009-07-19 21:44:40
>樹さん
今年も夏100感想文、あるんですね!あるのかどうかも確認しないまま、送ってしまってゴメンナサイ。「海の底」が夏100に入ったのが嬉しくて送ってしまいました。
角川文庫は、率直に言って、それほど魅力的なラインナップに見えないのですが(ゴメン!)、比較的厳選されたラノベを積極的に入れて、若い人を文庫に呼び込もうとしている姿勢は評価したいと思います。(古典作品の表紙だけ変えるのも、いいですが、やはりハードルが高いのも事実)
そんな努力の一つが、有川作品の夏100入りだと思います。
樹さんの好みかどうかは、微妙なんですが(ひねくれ思春期少年も、美しさには欠けるので)、エンタメ王道!!という感じがして楽しいです。気軽にすすめられるので、まずは、オススメです。

>まじょっこさん
早速のコメントありがとうございます。
自衛隊って、確かに未知ですよね。私は親戚に防衛省勤務がいたり、大学のころ自治大学の学生さんと付き合っていた友人がいたりして、ちょびっと話を聞きましたが、こうして小説になって、初めてわかることも多くて、そういう面でも興味深いです。主人公の夏木さん、松山さんに演じてもらってもいいけれど、それを離れても、面白い作品だと思います。手に取って下さると嬉しいな。

>ひじりさん
コメントありがとうございます!
わわ、有川さん、やっぱりお勧めですよね!!
「空の中」は、あのおじいちゃんが素敵だし、ディックのけなげさに泣けてしまいます。
三部作の中では、「海の底」が一番面白いと思っていて、それは、主人公たちも好きなんですが、機動隊指揮官がお気に入りだから(笑)
ああいう、やんちゃな人を食ったようなおっさんが好き。
魅力的な中年男性が描ける若い女性作家って珍しいのではないでしょうか?
返信する
こんばんわo(^-^)o (micc)
2009-07-20 06:29:15
雨、雨、雨の北海道です
さむさむ~(^_^;)

まろうさぎさん、いつもすごく読み易い文章で 楽しませていただいてます

有川さんは全く知らない作家さんでした(書店でも小説コーナーには余程でないと立ち寄らないのです、恥ずかしながら)

自衛隊出身の方だとはちょっとビックリ!でした
お若いのでしょうか?
軽く読める作品、かな?と想像してます

親父萌え?
新鮮な響きです(笑)
私が萌える“親父”はですね…
平泉 成さん(LcWでワクチン作ったオジサマ)とかが頑固で可愛げのある感じでいいかなあとか思いますね
生命保険のCMも誠実で真面目、不器用なオジサマな感じがナイスです

まろうさぎさん、他にも何か読まれたらまたオススメしてほしいです
暑い夏は涼しい図書館で読書が一番ですよね

とか言ってみても…今日はさむさむ~(^_^;)で 靴下履かないと足も冷たかったりして…
夏なのに~~




樹さん、夏の読書を思い出させてくれてありがとうです~!
(⌒~⌒)
あ これは角川書店にも“ありがとう”ですね
夏の読書は学生時代の読書感想文の為でしかなかったですから(笑)

話題が違いますが
こちらで思いがけず“JAPAN”を思い出させてもらい、遠くに住む妹(東京)と昨日、「ミックのカニ歩き奏法」等々でJAPAN談義に燃えました
樹さんなら 判りますよね?(笑)
返信する
ゆうべから (micc)
2009-07-20 06:35:26
携帯で打ち込んでいたので
こんばんわ、とか書いてしまいました~(^_^;)

失礼!

おはようございます!
老猫で 暖をとりつつ 夏の朝
返信する
Unknown ()
2009-07-20 08:30:43
>>樹にもご挨拶くださったみなさまへ

おはようございます。
ありがとうございます。
いつもお気遣い、恐縮しております。
こういう企画、応えてくださる方がいらしゃってこそ、なのに。
ほんと、いつもありがとうございます。
みなさまもぜひ、
角川100冊、感想文を送ってくださいね。
よろしくお願いいたします。
返信する
まろうさぎさんへ ()
2009-07-20 08:35:34
おはようございます、まろうさぎさん。

このたびも、≪も≫、ありがとうございます。
まろうさぎさんが先陣を切って
くださってこそ、華々しく幕開けしようというものです。
しかも、新機軸!って感じです。
ライトノベル、私も大好きです。読みやすいし、新たな才能が
ごろごろ落石のように降ってきていますよね。
そういう方々が、
メジャーシーンに出てこられて、まろうさぎさんのように、
しっかり読み込んで伝えてくださるかたがいられて、
定着してゆくのだと思います。
ありがとうございます。

角川、あの表紙に選んだ3冊を見ても、
青少年むけ、が歴然ですね。
アブナイ本も不思議な本も、怖い本も、
いろいろあるんだよって、
角川がすごくがんばって選んでくれたなと思います。
本当にあの3冊を初め、センスあるなとにたり。
返信する
miccさんへ ()
2009-07-20 08:43:14
おはようございます。

お声かけてくださって、ありがとうございます。
夏の読書、そうですよ、お盆休みに墓参りをすませたら、
読書しましょう(と自分にはっぱ笑)

japanの件、すみません。
DAVEの歌い方に始まったんだと反省(笑)
妹さんと語られましたか、うう、
しばし、タイムトラベルですね。
ライフイントーキョーのあの、へんてこなサックス奏者の女子も
話題には出てきましたでしょうか(笑)
あーー、ミックのカニ歩き、なつかし!
一番前で観たとき、妹ばかり観てたんですよ、ミック!
純真な子なので(笑)伝わったんでしょうね。
ちなみに上の妹です、下の妹は怖いです笑
そして、その妹はステちゃんのファンです爆
ミックのぺたんこ赤い靴を、
ほうぼう探し回ったことを思い出しました。
suburban berlin、今でも大好きっ!
返信する
Unknown (まろうさぎ)
2009-07-20 23:25:41
>miccさん
こんばんは!靴下を履かないといけない寒さだんて、つくづく、日本は縦に長いですね。
お風邪をひかれないように、気をつけてくださいませ。
ええと、有川さんは、自衛隊員の経験はないはずです(確か)。本当に、純粋に好きなだけ。
でも、だから強いのかもしれません。
彼女の描く作品で、いわゆる何でもできてしまうヒーローよりも、自分の職分の中で、何ができるかを考えている市井の人のカッコヨサを痛感しました。
親父萌えですが(笑)、かわいげのあるオジさん、いいですよね。平泉さん、わかります!!
銭ゲバで言うと、山本圭さんも、(特に妄想シーンでは)かわいいおじ様でした。
有川作品では、中年の方が非常にカッコイイです。よろしかったら、読んでみてくださいませ。


>樹さん
限定バージョンの選び方も、よ~~~く考えている感じがします。宮沢賢治で、哀しいメルヒェンを、カフカで不可思議・不条理の世界を、コクトーで、覗いてはいけない禁断の世界を垣間見る(小説の毒)世界を、案内してくれるラインナップ。
去年の太宰も松山さんのポートレイトとしてはよかったですが、今年の方が、がんばって考えた感があって、好きです。
他社さん、単に表紙を変えればいいいってもんじゃないんだぞ、角川を見ならったほうがいいよ!!と、ものすごく上から目線で書店をうろついてます(笑)
また、ググっとくる夏100を読んだら、感想文、書かせてくださいね。
返信する
まろうさぎさんへ ()
2009-07-21 07:41:23
おはようございます。

なんならまろうさぎさんに100冊全部、
やってもらいたいくらいです。
なんてったら、ほかのひとのハードル高いから、
私も投稿しないとです(笑)
角川、さすがにプライドもってますね。
気合がちがいます。
角川ってひとの名前だし、文庫本を引き継ぐ
名誉と責任も感じている気がします。
がんばれ、角川。映画もね(あ、別でした汗)

どうぞ、何冊でもカモンカモンです、
よろしくお願いします。
ありがとうございました。m(_ _)m
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