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「ラマン愛人」映画と小説と「北の愛人」マルグリット・デュラス

2006-09-07 | 映画感想 他

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愛人l'amant(←女側から男の愛人の意味のフランス語)のマルグリット・デュラス(1914~96)が70歳の時に書き上げた自伝的小説を91年映画化したもの。これは私のお気に入りの映画なんです(って大声で言うのは、なんだかちょっと恥ずかしいんだけれど・・汗)上映当時は、エロ映画って話題が先行していたので、全く期待しないで見たものの、私のツボで、しばし言葉を失いましたわ。回りに好きな人いないかな・・・?と遠慮がちに聞いて回りましたが、哀しくも誰一人好きだという人はおらず・・・・(T_T) 今回、思い入れがある映画につき、とても長文になってしまいました。
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何故私は、この映画が好きなんだろうか?
まず映像全体的な映像のトーンも主人公達の服装も、私が大好きな「麻」を連想させる色合い。でも服装に関しては、麻ではなくて、絹なんです。
蒸し暑いベトナムなのに、絹紬(きぬつむぎ)の生成色のスーツにきちんと茶系の革靴を履いて優雅な身のこなし。パリ留学経験のある、金持ちの中国東北地方出身の華僑のレオンカーフェイと、絹のベージュのワンピースを細身の体で着て、紫壇色の帽子に三つ編みのフランス人の15歳の少女。ベトナム(当時のインドシナ)生まれで育った、生活に困っているフランス人家庭の少女ジェーンマーチ。
映画に出て来る小道具も良かったわ~。シガレットケースとか、あの時代の黒塗りのクラシックカー(レオン・ボレ)とか。

そして風景!雄大なアジア~ンなメコン河と、その側のフランス植民地時代のベトナムの建物や独特の雰囲気。多分にして、東南アジアの熱帯雨林とかモンスーン気候(スコールとか熱帯植物とか)的な舞台の映画に、とっても弱いというのがあるんですな。前に書いた文シクロ、青いパパイヤの香り トラン・アンユン作品まとめ

そして、中国人街ショロンの雑多でガヤガヤしている道に面してる薄暗い連れ込み部屋が2人の逢瀬の場所(ここが重要。これが豪華で素敵で静かな洋館だったらダメ
泥色のメコン川を渡る、わたし船のシーンが特に好き。何度も出てきますが、うっとりしてしまいます。(船の甲板で、ジェーン・マーチが黒いパンプスを片足だけ乗っけて川をみつめてるシーン!

そして、音楽!
退廃的かつエキゾチックな映像に、雰囲気たっぷりの音楽+クラッシックなショパンのピアノ曲。時々このサウンドトラックが何かでかかると、ぐわ~~っと、あのラマンの映像と雰囲気が、蘇って来ちゃいます。たまらんです~。Gabriel Yared(ガブリエル・ヤーレ)という方が担当されているそうなのですが、他には「イングリッシュ・ペイシェント」(←この映画は音楽が良かったのは、うっすらと覚えてます)「Betty Blue」「コールドマウンテン」もそうらしいです。
ラマンサウンドトラック全曲試聴出来ます amazon

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内容も私は、こういうの、なぜだか結構好きなんですよね・・・
困ったもんです・・・まぁ、理屈抜きに、好きとしか言いようが無いんです(と、説明出来ないので、逃げ腰だな・・)

前にも「たまゆらの女」感想と、レオン・カーフェイの時に話題に出しましたが、レオン・カーフェイって不細工なようなカッコイイ様な、よくわからんところが魅力というか・・・ただ一つ言えることは、このラマンに、彼はぴったり合っていました。(小説読むと、ちょっと違うのだけれど・・・ほっそりと弱々しい雰囲気の男性って事だったから)
ところで、フランス版の「北の愛人」(この下で詳しく触れますが)の表紙写真っていうのは、このラマンの男の人の実在のお姿の写真なのでしょうか?あちこち検索しまくったのに、結局解らずじまいなんです。どなたかご存じの方いらっしゃったら、是非ご回答をー!
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そして、ジェーン・マーチもぴったりだったと思います。彼女もね、なんか口元の歯が出てる?っぽいんだけれど、それでも、あの体格といい、少女なのにエロい顔つきといい、合ってました。とにかくパーフェクトな美男美女じゃなくて、若干崩れているのにそれぞれ自分に少しナルシスト入ってる感じのカップルというのが、程良かったです。あまりに美男美女のからみって、見ていて全然色っぽくなかったりするし、逆に不細工過ぎると見るに耐えないし。

監督: Jean Jacques Annaud ジャン・ジャック・アノー (「薔薇の名前」など)
原作: Marguerite Duras マルグリット・デュラス
脚本: Gerard Brach ジェラール・ブラッシュと、ジャン・ジャック・アノー
撮影: Robert Fraisse ロベール・フレス
音楽: Gabriel Yared ガブリエル・ヤーレ
美術: Than At Hoang タン・アット・ホアン
衣装(デザイン): Yvonne Sassinot de Nesle イヴォンヌ・サシノー・ド・ネスル

キャスト Jane March ジェーン・マーチ  Leung Ka Fai 梁家輝 レオン・カーフェイ他
語りは、ジャンヌ・モロー。この語りも良かったわぁ~!彼女のハスキーな、世の中を全部知っちゃった様な声が素敵☆

現在のサイゴン(ホーチミン)の映画の舞台は、どうなってるか?というと・・・変わってない様です^^
YOMIURI ONLINE・世界の旅より、以下、一部抜粋させて頂きました。
「愛人ラマン」の舞台(チョロン地区=ベトナム・ホーチミン市)を訪ねて☆
ホーチミン市(旧サイゴン)の中国人街、チョロン地区にあるサータイ市場。商品を載せた荷台がひしめき、人込みをかき分けて歩くのがやっとだ。たまらず路地裏に逃げ込んだ。アーケードの下は暗くヒンヤリしている。表通りを振り返ると、喧騒(けんそう)がこだまのように反響した。
「18歳でわたしは年老いた」。フランス植民地時代のサイゴンを舞台に、貧しいフランス人少女と資産家の華僑の青年との悲恋を描いた「愛人 ラマン」。密会シーンはチョロンが舞台だ。映画もこの一帯で撮影された。
「15歳半」の少女は、メコン川の渡し船で12歳上の中国人の男に出会う。学校を抜け出し、市場に面した連れ込み部屋でほぼ2年間、毎日のように関係を持った。外界とを隔てるのはカーテンと鎧戸(よろいど)1枚だけ。
「部屋は暗い、どちらも話さない、部屋は絶えざる街の喧噪に取りかこまれて、カーテンに、歩道の陽光のなかを行く人びとの影が映る」

映画で学校の撮影に使われたのは、チョロン地区に近いレーホンフォン校。今はベトナム南部の秀才が通うナンバーワン・ハイスクールだ。ラン・バン・トリュ副校長によると、監督の指示で、黄みがかった壁や柱がすべて白に塗り替えられ、撮影後に再び元の色に戻された

なんか書いてたら、むしょうにまた映画が見たくなってきちゃいました。最後に見てから、もう10余年が経っていますが、今見ても絶対好きだと思う。


マルグリット・デュラスの経歴 ウィキペディア
私が一番最初に読んだデュラスの本は「モデラートカンタービレ」でした。
「ラマン 愛人」は確か映画を見た後に、図書館で借りて読んだと思います。

今回、この文書くに当たって、「L' amant de la Chine du Nord」(日本題「北の愛人」)という本もあったのを知って、借りて読んでみました。ラマン愛人を、より詳細に映画化を想定して書き足した様な小説でした。ラマン愛人は、ちょっと乾いた感じで、少女が冷たい・そっけない?印象ですが、北の愛人を読むと、少女が愛人に、クールな態度や冷たい発言ばかりしてた訳でもなかったんだな~っていうことが解りました。 確か・・・映画の中で少女は、フランスに帰る船の中で、初めて自分の中の彼への思いに気がつき泣く・・・って感じだったと思ったんですが。(違うのかな?)映画にしても、小説「ラマン愛人」にしても、意識して、格好良く?クールに書いていて、事実は「北の愛人」よりだったのかなぁ・・・・って印象でした。
私は難しい事とか文学を解る頭を持って無いので(^^; これは単なる私が受けた印象のみで、これ書いてますので、お許しを! それと、「北の愛人」では、実の兄(2番目の兄)とデュラス(少女)が、本当に行為まで行っちゃったことが書かれていたのも、ちょっとびっくりでした。その他、ラマンには出て来ない「タン」という現地の青年も「北の愛人」では描かれていて・・・。とにかく、これらの本を読んで私が昔も今も驚くのは、15歳の少女(デュラス)の強い飽くなき欲望です。すごいわ・・・。

以下、小説の一部分で
「サイゴン、ちょうどジャスミンが咲いて、市街にその匂いが満ち溢れるとき、じつに激しい匂いなので、この町に滞在をはじめたばかりの白人には、胸がむかつく・・という人もいくらかいる。しかし、やがて彼らも、この植民地をはなれたとたんに、その匂いを懐かしむようになる」って部分があるのですが、ここが好きです。かの地の、むっとする湿気と熱帯の花の香りと、その時の出来事が、その場所を離れた後の方がより強く思い出される・・って感じってあるよな~って。
モデラートカンタービレでも、やっぱり何かの花の強い匂いにむせかえる・・・みたいな表現があったと記憶してます。
syo


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8 コメント

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私も! (honey)
2006-09-07 23:13:38
この映画大好きです♪

当時中学生だったにも関わらず、確か友達と映画館まで見に行って、そのあとレンタルビデオで何回も観ました。

ラストシーンの船が出港するところで、彼女が船の上から彼の乗っているクラシックカーを見つけるところなんて、何回みても号泣です・・・

私も、今観ても絶対好きだと思います!!

本も読んでみようかな。
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すごい偶然 (funi)
2006-09-08 00:37:07
てほどでもないんですけど^^;

今日会ってた友人とたまたま愛人の話してて、「ラマンやね」と言ってたら、「ラマンの子よく見たらあんまり美人じゃないよな」ということでなんか盛り上がってしまいまして(笑)

すいません他愛のない話で・・・。

しかし2人とも実はあんまり覚えてないってことが判明しました。

2回ほど見てるんですが、「レオン・カーフェイの顔がでかい」ってことと、エロちっくだということと、スモーキーな映像・・・くらいしか覚えてません・・・。

薄暗い部屋、全体的にブラウンというか濃い感じだけど、シーツとドレス、スーツの生成り色だけが明るく見える、みたいな。

そんなイメージです。見た時まだお子ちゃまだったからかなー。
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honeyさん☆ (latifa)
2006-09-08 08:48:44
honeyさん、ほんとですかー!!honeyさんも、ラマン何度も見て、お好きとはヾ(≧∇≦)〃

とってもとっても嬉しいです!!!

こんな身近にラマンファンがいたなんて



でも、なんと?!中学の時にコレを見て、良い!なんて思ったなんて~~~~

honeyさん~~~!!!早熟過ぎですっ!!



でも、そういうシーンばっかりじゃないし、ムードに浸っちゃえる映画でもあるし、単なるエロ映画と違って、物語としてちゃんとしてるし、デュラスさんの実話を基に作られているというのがミソですよね☆



本は、写真が何枚か載っていて、お兄さんの写真や若い時のデュラスとか・・・なんだかこの人達が・・・と思うと、妙にリアルに感じました
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funiさん☆ (latifa)
2006-09-08 08:54:40
こんにちは~funiさん^^

おお~~偶然お友達とラマン話をしていたとは

いや~ 確かに消えちゃいましたネ。

フランス映画に、まだ幼さ残る中高生?の頃出演して、その当時話題だったけれど、その後、なんとなく名前聞かないなあ・・・とか、あの時の話題性を考えると、今はなんだか淋しい感じかな~みたいな女優さんって、他にも何人かいるような気がしますわ。



>レオンカーフェイ顔デカイ

確かに顔が平面チックなんですよね。彼の場合は、ちょっと離れた処からの立ち姿(斜め後ろ45度くらい)が素敵に見えるのかも
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マルグリット・デュラスの「愛人/ラマン」を読んだ! (tonton3)
2006-09-19 15:03:25
以前書いた記事です。是非お読み下さい。

よろしくお願いします。

http://ameblo.jp/tonton1234/entry-10002986644.html
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tonton3さん☆ (latifa)
2006-09-19 16:33:16
こんにちは~tonton3さん

リンクありがとうございました^^

今、さっそく飛んで、興味深く拝見させて頂きました。



「弓」の他にも、「八月の路上に捨てる」や「ゆきゆきて神軍」など、色々かぶっている事柄があって、勝手に嬉しくなってしまいました。また今後もどうぞよろしくお願いします
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ラマン (ogawa)
2008-11-23 12:00:25
ラマン・ファンが少ないのが残念ですが、それでいいのだと思っています。皆がそういうようになれば値打ちが下がるような気がします。
私にとって最高の映画、あの最後のシーンのせつなさ。素晴らしいですね。
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ogawaさん☆ (latifa)
2008-11-24 09:09:14
こんにちは~ogawaさん
コメントありがとうございました!
ラマンファン、少ないですよね・・・。でもブログでこれアップした後、今まで出会う事がなかったラマンファンの方々と、こうやってお話する事が出来て、すっごく嬉しかったです
ogawaさんにとっては、最高の映画なのですね☆
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