「オテルモル」「ハミザベス」感想 栗田有起

眠りを提供する不思議なホテルの物語。
私は自分の家のいつものベッド以外では、なかなかすんなり眠れないし（旅行などでは安眠出来たためしがほぼ無い）　いつもの寝床でさえ、なかなか眠れなくて困ってしまう・・っていう経験も小さい頃から数え切れない程ある人なので、この安眠を究極に追求するホテルっていう題材が、まず気に入ったし、面白かったです。

「誘眠顔」とか、入り口がよく解らないホテルだとか、とにかくユニークで、くすっと笑える本でした。
こういうホテルで働くのも悪く無いなぁ～とは思いつつ、昼夜逆転はやっぱりキツイな。

しかしながら、このホテルの部分と、普段の主人公希里のおかれている状況とが、全く雰囲気が違うんです。
このホテルに関する部分は、小川洋子さんの「薬指の標本」からエロっぽさを抜いた感じ？が漂っています。こういうの大好きです。しかし、主人公の過去や普段の生活っていうのが、かなりドロドロしているんです。顔は似ていても、気質は全く違う双子の妹がいて・・・。小さい頃から、その妹と比較する（されること）に結構苦しんでいるというか、なんというか・・・。

現在は、両親は病院に入院中の妹。そして希里を裏切って妹とデキちゃって、結婚した元彼（西村さん）と、その娘（小学１年生）と３人で暮らしているんです。ほぼ、希里が、家事全般や子育てをしてきていて、なんだか可哀想でならなかったな・・・。そして、希里はある事件をきっかけに、思い立ち、オテルに就職します。なかば、その家から距離を置きたいがために・・・。

この舞台になるオテル・ド・モル・ドルモン・ビアンとは、フランス語だろうな、と思って考えて見たのだけれど、「モル」の部分がコレだー！と解らないんですよ・・。　（ドルモンの意味は、眠り　ビアンの意味は、良く　です）hotel de molle dormant bien・・・なのか？（molleは柔らかい・・みたいな意味）、もしかしたら、mort（死を意味する）の変化系なのかな？うむ～～。

内容（「BOOK」データベースより）
「悪夢は悪魔、どうかよい夢に恵まれますように」毎夜、オテルモルには眠りを求めて人が集う。しあわせな眠りを提供する不思議なホテル。日常からほんの少し乖離した世界でもたらされる物語。チェックイン…日没後;チェックアウト…日の出まで最高の眠りを提供するホテル…オテル・ド・モル・ドルモン・ビアンホテルのフロントで働き出した希里が知る、優しい対峙の仕方。

栗田 有起（くりた ゆき、1972年2月17日 - ）
長崎県西海市（旧・崎戸町）出身。
名古屋外国語大学外国語学部英米語学科卒業。
製薬会社広報室、ホテルフロント勤務を経て、2002年、「ハミザベス」でデビュー　「お縫い子テルミー」「オテル・モル」「マルコの夢」等で何度も芥川賞候補になられていらっしゃいます。まだ栗田さんの本は、これ１冊しか読んでいませんが、私は結構こういう世界好きかも♪他も読んでみようと思います。ウィキペディア

ホテルフロントの勤務経験有るんですね～

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で、デビュー作という「ハミザベス」(2005/7/20) も読んでみました＾＾
こちらも、シュールで、ちょっとくすっと可笑しい、どこかとぼけた味のある小説でした。まだ２冊しか読んでいないものの、栗田さんの書く文章って、結構好きかも。本のタイトルのつけ方もユニークだし。読んだ印象としては、２冊とも、ガツーンとは来なかったけれど、いつか、ドカーン！という傑作を書きそうな予感（既に書いてるけど、私が未読なだけかも）
「お縫い子テルミー」も近々読んでみるつもりです（図書館に置いてあるのは、これら３冊のみだったので）　

（内容・あらすじ）はたちになる直前、ハムスターとマンションを相続した、まちる。実家を出て、一人暮らしを始める・・。母と娘のお話。もう一遍、『豆姉妹』
というお話もあって、こちらの方が面白かったかな？　アフロヘアの部分がとても可笑しく面白かったな。

これら栗田有起さんの本は、ブロガーのお友達「ひとりある記」の、みのりさんから紹介を受けて読んでみました。