道尾さんの小説を読むのは、久しぶり。
彼の小説が好きなので、数年前までは、コンスタントに新作はいつも読んでいたのだけれど、
子供が主人公の、ちょっと似た様な感じのお話が続いた時期があって、しばらく遠のいていたんです。
でも、本作は、ちょっと違っていそうだし、昔の作品っぽい良い話と聞いて、手に取りました。
読んだ感想はというと、面白かったのだけれど、それほどのインパクトは無かったかな・・・。
かなり長いな、って途中で思ったりもしました。
とはいえ、1日でがーっと読んだのですが。
内容的には、昔も今もラジオ好きな私としては、主人公の恭太郎がラジオ番組のDJをしている、
という設定に興味がありました。
それと、本作では、ちょっとくすっとなる部分が、ちょこちょこ入っていて、映像化されたら、ここ笑うシーンだろうなあ・・・なんて、風景が浮かぶようでした。
ただなぁ・・・いかんせん、恵がキツくて可愛げの無い女の子で・・・。
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
実は、三梶恵(みかじけい)の父は自殺なんてしておらず、現在も生きていました。恵が行なった色々な事は、不法投棄を行なっている悪いヤツ後藤を狙ってたのではなく、なんと父に!だったのです。後藤に、立ち向かおうとしている父を止めたいがために、あたかも後藤達が父の命を狙っているような事件を起こしていたのでした。最初のBAR「if」のビルの階段から石を落としたのも、ギリギリ危険を感じる程度の場所に落とすつもりだったのでした。
ラストにもう一つ、驚く展開が。恭太郎の家族(母、妹、甥っ子)は、自動車事故で全員亡くなっていました。
そして、ifに集っている仲間の過去は、それぞれラジオで話したのとは違って、実際は、それぞれ悲しい結果になってしまっていたのでした。
ラスト、恭太郎と恵が良い感じになって、ハッピーエンド、みたいな風にならなかったのは、私は好感を持ったのですが、でも、恵じゃない別の誰かと良い感じになる・・っていう、ラストに希望があるようなハッピーエンドだったらな・・・とも思いました。
恭太郎には幸せになってもらいたかったし、だいたいルックスが悪くても、恋人いる人は世の中に一杯いるわけで。
恭太郎は、人気のDJだし、人柄だって良いし・・・・今までにも一度も恋愛経験が無いだなんて、可哀想過ぎる・・。以上
人情味溢れる、道尾さんならではの、優しいお話でした。4つ★
これだけ一杯小説を書いて来たら、ネタも尽きて当然で、新作を練り、書き続けるのは、ものすごく大変だと思いますが、これからも期待して応援しています。また面白いお話、待ってます!
「透明カメレオン」 2015/1/30 道尾秀介
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道尾さんらしい優しいお話でしたね。でも、ラストの衝撃が大きすぎて・・・。まさかの真実に茫然自失って感じで読了してしまいました。
私も恭太郎には幸せになって欲しいと思いますし、ハッピーエンドだったら良かったのにと思いました。
恭太郎、ルックスにこだわらない、素敵な女性が、きっとそのうち現れて、幸せになって欲しいですね。
私も道尾さんは、追いかけている作家さんの一人だったりします^^
道尾さんといえば、かつて、あっというラストや、びっくりするドンデン返しを読者さんが期待するので、それがちょっと大変・・・みたいな事を、直木賞受賞のちょっと前の頃かな?何かで聞いた覚えが・・・。
期待されるのが大きい分、面白い小説を書くのは、大変でしょうね・・