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ネタバレ注意 小説「dele2」本多孝好 感想

2019-02-01 | 小説・漫画他

dele、dele2の小説版のネタバレあらすじ、感想です。
deleは、去年2018年の9/27に読んで書いたもので、dele2はつい最近2019年1月に読んで書きました。

dele 本多孝好

深夜に放映されていたドラマがとても面白かったので、原作も読んでみることに。
本多さんの本は以前に数冊読んでいたものの、そういえば最近読んでおらず、暫くブランクがありました。

私が読んだ彼の本の中では、初期の「MOMENT」が好きでしたが、「dele」は、それをさらに熟成させたような、とても良い内容。
ドラマも小説も両方良いですね。 

ただ、小説版とドラマではストーリーが違っているんですね。
メインの2人は同じで、基本的な処は、そう変わりがないものの、小説では、祐太郎は根津に家があり、そこには亡くなった妹の友達ハルナがたびたび出入りしており、一緒にご飯を食べたり、猫を飼っているって事で孤独感が感じられず、反してドラマ版は祐太郎は一人者っていう強い印象があって、私はドラマ版の方が好きだなあ。

このお話って、そもそも、キャストの2人が決まった上で、そのイメージで小説が書かれているということで、読みながら、ほんとにあの菅田君と山田さんの2人が動いているのが、すっと頭に自然に浮かんで来ます。

これから「dele2」も読みまずが、とりあえず、どんどん忘れて行ってしまうので、1の内容と感想も書き残しておきます。


ファースト・ハグ
依頼人は28歳の拓海。詐欺グループから請け負った仕事で、老人から金を巻き上げたりしていた。
しかし彼は根からの悪人ではなく、奪った品物の中に家族写真が入っていることに気が付き、その写真だけでも戻してあげようと被害者宅に行き、そこで被害者の息子に殺されたのだった。
祐太郎は彼の死亡を確認しに家を訪ねた際、奥さんと話をしていて、彼の前の男との間に出来た赤ちゃんがいて、拓海が赤ちゃんをもしかしたら可愛がってないのではないか?疑惑を受けるも、事実はそうではなく、死んだ拓海の携帯には、赤ちゃんや奥さんの画像が一杯あったことが解るのだった・・・。

シークレット・ガーデン
依頼人は大手ゼネコンの取締役の安西氏。
葬儀の渦中、亡くなる2日前に安西氏と結婚したという若い女高嶋由希子が現れる。
しかし、彼女と交際していた様子は全くなく、最後まで安西氏と一緒に日々過ごしたヘルパーの宇野も知らないという。
その後、高嶋が道で刺される。犯人は白い帽子の謎の美女。
なんと、その女性こそ、ヘルパーの宇野君であった。彼は女装している時の自分が本当の自分で、それを安西氏の元では明かしていたし、安西氏も彼を好きだったのだ。だからこそ、亡くなった妻の遺品で、大切な思い出の品であるルビーの指輪を彼にあげていた、というのが最後に解る。

詐欺を図ろうとしていた高嶋だけど、葬儀関係で働いていると、こういう悪い事が出来ちゃう可能性あるんだなあ・・・というのが、まず驚き。本多さんの初期の作品で、主人公が葬儀社という設定があったし、もしかしたら、実際に葬儀関係の仕事をしている友人とか身近にいて、そういう普通の人には解らない内情とかご存知なのかな?

ストーカー・ブルーズ
ずっと引きこもりだったが、携帯電話会社で働き始めていた和泉翔平が依頼者。
現在、ふらふらしていたところ、道で車にはねられ昏睡状態だ。
祐太郎が翔平の妹にコンタクトを取った際に、翔平の様子がだんだん明らかになる。
彼は職場でもバカにされる存在だった。でもお店に来たとある優しい女性に心奪われてしまい、彼女の個人情報を盗み見してストーカーちっくな行動を続けていたのだった。彼女のメールを覗き見していたら、彼女の元職場の男が彼女をゆすっている事に気がつく・・・。

部屋に残っていた漫画やグッズを処分しようとしていたのだが、実は会話力のない彼が妹と唯一話せる話題だった、とある作品と、そして人気のない、高値のつかないキャラのグッズばかり(しかし、やみくもに多いわけじゃない)を集めていたのは、妹と会話のネタになれば・・という気持ちがあっての事だったんじゃないか?という祐太郎の洞察力が凄い。

ドールズ・ドリーム
今回の依頼人は、渡島明日香。38歳
ガンで入院しており、容態が悪化、明日香の夫が、彼女がdeleに申し込んでいたことを知り、生前に彼女が消したいと言っていたファイルを見たいとお願いされる。

彼女の依頼は、フォルダ「T・E」を空にすること。ファルダそのものではなく中身だけを消してほしいとのことだったのだが、ファイル名は、夫が浮気していた元ベビーシッターの女性のイニシャルと同じだったため、彼女についての事だったんじゃないか?と思うも、実際は、娘のピアノ演奏を録画して送り、彼女がそれを聞いたら削除する、という感じで、頻繁に上書きされ続けていたファイル名だった(演奏曲のタイトルのイニシャルだった)

彼女は、依頼を勘違いしていて、一回のみ削除だけではなく、ずっと永遠に削除してもらえると思っていたようだ(これ、若干無理があるなあ(^-^;)でもケイは親切心で出来る限り何年もそれを続ける、と言ってたけどね)

この章で印象に残ったのは、娘とケイが話す処があるのだけれど、車椅子だからといって可哀想と思うな、車椅子と健常者が徒競走をすると、短い距離だと車椅子は負けるが、長い距離になると逆転する。というエピソードが、目からうろこでした^^。

最初の章の中でも、犯人の男(被害者の息子)が、2人を相手にした際、ケイの方にやって来るのだけれど、ケイが見事にしてやったり!にするシーンがあるんですよね。今まで数々のドラマとか見て来たけれど、車椅子だけど強いっていうのはこのdeleで初めて見た設定で、凄く良いなって思いました。

ロスト・メモリーズ
依頼人は、広山達弘53歳。
広山氏は外資系の投資顧問会社に勤める一方で、自宅を無料塾として開放し、意欲はあるが家庭の事情のある子達が通っていた。
しかし彼の息子が、銀行口座から2000万円ほどがなくなっているという。

削除を依頼されたフォルダの中には、ネット銀行の管理アプリがあって、やはり2000万円ほどが、ある介護付き老人ホームにコンスタントに振り込まれる様になっていた。
実は、そこに入居しているのは彼の父だった。彼は昔殺人を犯し、刑務所に入っていた。
そのせいで、母は苦労した末自殺し、彼もお勉強が出来たが、進学することが出来ず、施設で暮らした過去がある。
しかし20代前半で、自殺願望のある男と知り合い、彼が海で亡くなった後、彼になりすましたまま、人生を生き直したのだった。

かつては憎んで縁を切った父だったが、自身も子を持ち大人になってから、考えも変わる様になったのだった。


概要(以下ウィキペディアより)
作家の金城一紀とKADOKAWAによるプロジェクト「PAGE-TURNER」によるもので、本多に映像作品の企画を依頼し、本多がかねてストックしてあった構想の中から本作が選ばれた[
小説執筆前に企画が立ち上がり、その時から山田孝之と菅田将暉に出演をオファーし、主人公コンビはこの二人を想定して当て書きされている[。
小説とドラマでは、圭司、祐太郎、舞の3人は共通だが、他のキャラクターは異なっており、小説版は祐太郎視点で祐太郎の生活が描かれているが、ドラマ版は圭司の事務所で圭司中心に終始物語が進み、祐太郎の日常は一切出てこない。
dele ディーリー 2017/6/29  本多孝好

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dele2

やっと「dele2」が回って来ました。
恐ろしい事に、つい数か月前に読んだ1の内容とか、ドラマの最終回とか、部分的に忘れてしまっている始末・・・
ドラマの最終回だけ、消さずに保存しておいて良かった。
本を読んだ後、ドラマを再見して、ちょっと比較も出来たし。

3つの短編が入っていました。
最終章は短編とは言えないかも。凄く重要なお話で、ドラマの最終回とほぼ似た内容になっています。


アンチェインド・メロディ
少し前にヒットした曲を作った横田宗介、彼には悲惨ともいえる外貌を持つ兄がいた。その兄である英明が今回の依頼人で亡くなった。
これは、オチが、よくあるパターンと逆だったのが新鮮でした。
こういった場合、ルックスの良い弟が表に出て曲をヒットさせ、でもその実、作曲をしていたのは才能のある兄だった、っていうのが殆どだけど、本作は、弟も才能があった。もしかしたら兄以上の。
でも作曲しか取り柄のない兄の唯一の希望を失わせたくないがために、弟は、あえて自分の才能を封印して表に出さずにいた。
そして、それを兄も解っていた。なので、自分が死んだ後に弟をそれから解放させてあげられるために依頼していたんです。

ファントム・ガールズ
いまどきのネット世代にありそうなお話。面白かったです。
ネットで演じているキラキラしている自分と、本当の貧しい自分。
死んだ時に、本当の自分よりも、ネットでの架空の自分を残したいと思った女性のお話でした。

チェイシング・シャドウズ
祐太郎の妹の鈴が通っていた大学病院の元教授・室田から依頼が舞い込む。
難病を患い、新薬の治験中に死亡した鈴。その真相は?

小説版は、Kのもとに、祐太郎は戻って来ていないんですよ。
K「祐太郎、もう帰っていいぞ」
「え?」
K「また連絡する」
この会話が最後になっています。

そして、鈴のお墓参りで、
「前の仕事は、やっぱり、もうなしなの?」とハルナ。
「そうだね、もう難しいだろうね」
(また連絡すると言ったものの、暫く連絡がないままだった)
「俺は俺で、働きにくいとケイなりに考えてくれたのかもしれない」

でも、墓の清掃員の人が、このお墓にケイが来ていたことを教えてくれる(兄と勘違いしていた)

「また連絡する」とは、別れの言葉ではなく、期限のない約束だったのかもしれない、と祐太郎は思うのだった。


ドラマ版は、祐太郎はドーナツを買って持って来て、普段どおりの感じで事務所にやってくる。
そして、事務所大変でしょう、俺、当面の間、無給でいいよ。
事務所がもちなおしたら、また雇ってよ、って言うんですね。
凄く良かった。断然ドラマ版の方が私は好きです!
この小説とドラマが大好きです。また続編やって欲しいなー!!

dele2 本多孝好
2018年06月発売

「Fine days」「will」「moment」感想

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