昨年夏、高知県の室戸岬を訪ねた際に目にした風景の1枚です。
黒潮が打ち寄せる岩場に、木肌がむき出しになった1本の樹木が横たわっています。見た瞬間、脳裏に浮かんだのは子どものころ歌った「椰子の実(やしのみ)」でした。
名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実一つ
故郷(ふるさと)の岸を 離れて
汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)
島崎藤村が民俗学者・柳田国男から椰子の実の話を聞いて作った詩に曲が付けられ、東海林太郎が歌って大ヒットしたこの歌。
椰子の実が流れついたとされる渥美半島の愛知県田原市の海岸には記念碑が立っています。
室戸岬の岩場に打ち寄せられた丸太も、遠い南の島の海岸か流れ込む河川沿いの森林にあった樹木が台風などで倒れ、流されてきたのでしょうか。
太平洋の荒波に揉まれ、岩礁に擦すられ、枝はもぎ取られ、木肌もむき出し。上部は折れ、根元は太い根の一部が残っています。
故郷の岸を離れて幾月・・・いや、もっと長い道のりだったかもしれません。
長い旅をした1本の樹木、室戸らしい豪快な波と岩場、太平洋の水平線。欲張りすぎとは思いましたが、室戸の思い出と勝手なストーリーを楽しみながら描いてみました。20号です。
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