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風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽書き雑記「あいちトリエンナーレ散歩④名古屋市美術館会場で」

2016-08-24 20:39:37 | アート・文化

 





 

「何だろう、これは。抽象絵画なのか、それとも写真だろうか」。名古屋市美術館に入り、最初に目にした壁面いっぱい展示された黒い作品に戸惑いました。
作品表示を読み、それが太平洋戦争末期の沖縄戦の中で、伊江島に上陸した米軍の艦砲射撃によって破壊された元公益質屋の壁を写し取ったものだと知って、目を見張りました。

作者は岡部昌生。建物の壁面などに紙を当て凸凹を鉛筆で擦って写し取るフロッタージュという手法で、歴史や記憶などを残す作品に取り組んでいます。
愛知県美術館8階に展示してある原発事故で放射能汚染され、伐採された巨木の年輪や樹皮模様を写し取った作品も岡部によるものです。豊橋市の会場でも岡部の作品があるそうで期待が増えました。

都市公園の中にある名古屋市美術館ですが、愛知県県美術館に比べて極端に手狭で少数の作品しか展示できません。このため、今回も屋外での観覧者参加型企画が人気のようです。

オリンピックで賑わったブラジル・リオデジャネイロを拠点に活躍する作家によるネットプロジェクト。
立木をロープでつないだネットに、用意された色とりどりの毛糸を切り取って結びつけていくもので、豊橋市と岡崎市の会場でも企画され、トリエンナーレ最終週には名古屋市内の一カ所に集められて展示される予定です。
誓いよし、願い事よし。親子連れに混じって同年配の男女も楽しそうに毛糸を結んでいました。

美術館を出て名古屋駅前会場で、開業したばかりの「KITTE名古屋」があるJPタワーへ。2階の貫通通路の大きな窓に描かれた作品を、若い女性たちが背後の高層ビルを入れてカメラに収めていました。