日の暮れるのがめっきり早くなり、気がつけば11月も後半。
街中は寺社のライトアップなど、美しい紅葉を求めてたくさんの観光客で賑わっています。高雄では神護寺や高山寺を訪れる人が行き交い、とびきりの一枚をカメラに収めようと三脚を立てる姿が見られます。北山杉の里も、遠くを望めば赤や黄色の葉が山々を彩り、冬の足音が聞こえる前にパッと燃えるような季節を迎えています。
先週、まだ息が白く見える朝。北山杉の里総合センターの前では、たくさんの杉の枝葉を前に作業をする女性たちの姿がありました。
一体、何をしているのでしょう?
青々とした若い杉の枝葉を小さくまとめて揃えています。杉の葉はチクチクするので軍手をはめての作業です。
それを編んだ輪っかに差し込んでいきます。
輪のぐるりに、たくさん枝葉を入れていくと・・・だんだん形になってきました。
輪は藤の蔓を編んだものです。採集してきて一度水に浸し、乾燥させます。蔓とは言え、成長して固くなっているので曲げながら輪にするのは結構な力が必要です。そして枝葉を差込やすいように編み方にも工夫がいるようです。
さぁ、出来上がってきました。もう何かお判りでしょう?これは杉のクリスマス・リースなんです。
京都北山杉の里総合センターの設立当初からお世話になっている先生のご好意で、この時期、北山杉の里のシンボルとなるリースをいくつも作って下さるのです。
クリスマス・リースChristmas wreath。リースとは花や草で編んだ輪、冠などという意味です。オリンンピックで使われる月桂樹の葉で編んだ冠はローレル・リースと言います。
輪の意味は「永遠」「新年の幸福を祈る飾り」。キリスト教では「永遠の神の愛」を表すそうです。そして、殺菌力・抗菌作用のある常緑樹の葉で編んだものを玄関に飾って魔除け、豊作を願ったものと言われています。
日本では門松とかしめ縄の意味と似ていますね。
テーブルの上ににはベルやリボン、たくさんの飾りつけ用アイテムが並べてあります。
クリスマス・リースのイメージは緑・赤・金色。そしてポインセチアの白い花などもよく飾りに使われています。
これらにはちゃんと意味がありました。
キリストの血を表す赤。生命力を表す常緑樹の緑。純潔の白。
ヨーロッパではこの三つを組み合わせて作るのが伝統的だそうです。
伝統的に用いられる常緑樹は柊(ひいらぎ)で、これはイエス・キリストが被った茨の冠、「受難」を意味しています。
そして赤い実はキリストの流した血。信仰と伝統を重んじて、柊だけのリースを飾る家庭もあるようですが、先ほどの豊作を願ってという点で姫りんごの実や松ぼっくりなどをつけて賑やかに楽しい飾りにするのが主流と言えるでしょう。
杉の枝葉のリースが次々に出来上がってきました。
こちらは赤色を入れない、シックな色合い。イエス・キリストの受難には詳しくなくても消臭作用があって、何となく魔除けっぽいチクチクした葉で、北山杉の里オリジナルのリース。繊細な杉の葉をたっぷりと使っているのでむっくりと存在感があります。
さて、ディスプレイは男性のお仕事です。こちらはお任せ、枝打ちのプロフェッショナルが梯子で天井近くまでスイスイ。
北山杉の里総合センターの展示ホールに飾るリースは特大サイズ。人と比べると、その大きさをお判りいただけると思います。
「もうちょっと右!」「ちゃうちゃう、下にくるように合わせて!」
女性たちの声に、大きなリースを抱えて枝打ちプロもたじたじ(^^ゞ
展示ホールの小物たちのそばにも一つ。壁にかけるのもいいですけど、こうしてサイドテーブルに置くのもまた素敵です。
たくさん松ぼっくりをつけて収穫を願いましょう。
次はテラスです。軒があるので掛けにくいこと。男性陣の苦労をよそ目に、リースづくりスタッフはティータイム。
先生とスタッフはディスプレイのチェックです。どこに飾れば訪れた人たちの目に入るかしら、この色合いのはこっちがいいのじゃないかしら。先生はその道のプロ。丸太とのコントラストも鮮やかに、素敵なリースが映えるポイントを知り尽くしておられます。
テラスのリースは伝統的な色合いで一際、目を惹くことでしょう。国道162号線を走りながら、「あれ、何かしら?」
どうぞ、いらっしゃいませ。ただしわき見運転にはご注意くださいね。
センター入り口のリースはまん丸じゃなくて少しアレンジした形です。
こういったデザインも先生ならでは。北山杉の里だからこそ出来ることを見出してくれた先生に感謝します。
特別な意味がなくても、心に少しだけゆとりを持って暮らしの中に自分たちのふるさとの象徴を飾ることは、とても素敵だと思いませんか?
住んでいるところや宗教が違っても、ずっと無事に過ごせることや豊作を願う気持ちは同じ。
私たちは杉の葉リースにそんな気持ちをこめて、北山丸太の永遠を祈ります。
センター玄関前には粉雪をかぶったような感じのリース。
日本ではクリスマスが終わったら飾りつけを取ってしまって、さ~お正月の準備!となりますが、イギリスでは1月5日の夜までおかれます。
これはTwelfth night クリスマスから12夜まで。ですから年を越して祈りをこめて飾られるんですね。
ところで。杉の葉は霧吹きで湿らせてあげるとより長持ちしますので、杉の葉リースも年を越すことが出来ます。
クリスマス用の飾りを外して、南天や羽子板、小さな吊るし雛のような人形などを付けるとお正月リースに早代わり!
消臭効果もありつつ、長く楽しめるのがいいですね。
夕暮れが迫り、室内に灯りがともる頃・・・先生と私たちは考えました。
北山杉の里オリジナルリースは素敵。材料はある。場所もある。先生もいる!センターで一日教室が出来ないかな!
・・・というわけで10名さま定員でリースづくり教室を開催することに致しました。
大きさは作りやすいサイズで飾りなどの材料は全てご用意しますので、カラダ一つで来てもらったら大丈夫です。
皆さんが作られたリース一つひとつの輪が広がって、ここからたくさんの方に杉の香りをお届けできたらいいなと思います。
そして初めての企画が成功すれば、恒例教室として毎年の楽しみになったら・・・永遠への第一歩を踏み出すことが出来ると思うのです。
詳しいお申し込み方法などはフェイスブックページ「京都北山丸太生産協同組合」にて告知しています。
お電話でお気軽にお問い合わせ下さい。ご参加をお待ち申し上げております。
お問い合わせ:京都北山杉の里総合センター TEL(075)406-2212
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