SOHOミセスのよしなごと

「テープ起こし」ワーカーの独り言をつづっています。

同時通訳の起こし

2005年06月26日 | テープ起こしの周辺
外国語の同時通訳の起こしには、戸惑うことが多い。

現在進行形で話されている外国語を、時間を置かずに日本語に訳して言葉として発するというのはかなり大変な作業だろうと想像はできるが、タイトな時間で訳された言葉が、日本語として意味をなしていないことも多いからだ。
恐らくその場で聞いていればあまり問題はないのかもしれないが、やはり文字にする場合には不都合が生じる。


いま作業しているのは、わかりやすく文章をまとめてほしいということなので、まず翻訳された日本語を意味の通る日本語にある程度置きかえながら、タイピングしていく。

とりあえずそのまま最後まで言ったとおりにタイピングしてから、後から文章を整えるという方法もあるが、私は1度目の起こしで、おおよそ意味の通じるようにタイプするほうが好きだ。

一通り起こしたら、2度目はさらに内容を推敲しながら、1度目の起こしできちんとした日本語にできなかった部分を整え、固有名詞などを検索したりしながら細かいところをつめていく。
3度目はプリントアウトして、さらに詳細にチェックしていく。

初めから意味を理解しながら起こしていくほうが、全体の構図をつかみやすい。
書き手が話された内容を理解していないと、読み手は当然、その文章を理解できない。これは通常の日本語の起こしでも同じだ。きちんと意味を把握していないと、句読点の打ち方まで変わってしまう。

翻訳の場合は重複語も多いので、そういう部分を吟味し、ある程度そぎ落としながら起こしていくほうが内容が理解しやすくなる。
ただし、このダブりや重複語は、テープ起こしにとって、必ずしも不都合ではない。重複した言葉から最も適切な日本語を拾い出すことができる。

一つのパラグラフ、または一定量の文章ごとに起こしている手を休めて、文章を整えつつ起こすので、通常の起こしよりも1度目の起こしには時間がかかる。しかし、私はこの手の起こしは嫌いではない。

テープ起こしをする人に初心者から熟練者までいるように、通訳者にも初心者もいればベテランもいるだろう。

熟練者の通訳ほどテープ起こしもラクではある。

まあ、どんな話し手であっても、涼しい顔をして求められる原稿を作ることができる起こし者になれば、問題はないわけだ。

さて、自分はどのあたりにいるだろうか。