「つくつく日記」

NGO代表、空手家、学校の講師とちょっと変わってる私の日々の雑感をお届けします。

台湾への旅 「八田與一から学ぶ」~その3~

2005年05月15日 | 「台湾への旅」

~八田與一のその後、李登輝前総統からのメッセージ~

八田氏は1942年3月、陸軍からの南方開発派遣要求として招聘されます。その年の5月7日、14,000トンの大型客船「大洋丸」に乗ってフィリピンへ向かう途中、アメリカ潜水艦の魚雷攻撃に遭い、大洋丸が沈没。八田氏もこのため遭難しました。享年56歳でした。妻の八田外代樹は三年後、戦争に敗れた日本人が一人残らず(台湾から)去らねばならなくなったときに、烏山頭ダムの放水口に身を投じて八田氏の後を追いました。御年46歳でした。

私の畏友、司馬遼太郎氏は「台湾紀行」で、八田氏について、そのスケールの大きさをつぶさに語りつくしています。

私は八田與一によって表現される日本精神を述べなければなりません。何が日本精神であるか。八田氏の持つ多面的な一生の事績を要約することによって明瞭になります。

第一のものは、日本を数千年の長きにわたって根幹からしっかりと支えてきたのは、そのような気高い形而上的価値観や道徳観だったのではないでしょうか。国家百年の大計に基づいて清貧に甘んじながら未来を背負って立つべき世代に対して、「人間いかに生きるべきか」という哲学や理念を八田氏は教えてくれたと思います。

「公に奉ずる」精神こそが日本および日本人本来の精神的価値観である、といわなければなりません。

第二は伝統と進歩という一見相反するかのように見える二つの概念を如何にアウフヘーベン(止揚)すべきかを考えてみます。現在の若者はあまりにも物資的な面に傾いているため、皮相的進歩にばかり目を奪われてしまい、その大前提となる精神的な伝統や文化の重みが見えなくなってしまうのです。

前述した八田氏の嘉南大圳工事の進展過程では、絶えず伝統的なものと進歩を適当に調整しつつ工事を進めています。三年輪作灌漑を施工した例でも述べたように、新しい方法が取られても、農民を思いやる心の中には伝統的な価値観、「公議」すなわち「ソーシャル・ジャスティス」には些かも変わるところがありません。

まさに永遠の真理であり、絶対的に消え去るようなことはないものです。日本精神という本質に、この公議があればこそ国民的支柱になれるのです。

第三は、八田氏夫妻が今でも台湾の人々によって尊敬され、大事にされる理由に、義を重んじ、まことを持って率先垂範、実践躬行する日本的精神が脈々と存在しているからです。日本精神の良さは口先だけじゃなくて実際に行う、真心をもって行うというところにこそあるのだ、ということを忘れてはなりません。

いまや、人類社会は好むと好まざるとにかかわらず、「グローバライゼーション」の時代に突入しており、こんな大状況のなかで、ますます「私はなにものであるか?」というアイデンティティーが重要なファクターになってきます。

この意味において日本精神という道徳体系はますます絶対不可欠な土台になってくると思うのです。

 そしてこのように歩いてきた皆さんの偉大な先輩、八田與一氏のような方々をもう一度思いだし、勉強し、学び、われわれの生活の中に取り入れましょう。

台湾では、この記事のように日本の新しい面を発見できる機会が多くありました。八田與一氏の功績を踏まえた上で、次回は実際に訪れた鳥山頭ダムの事や私が感じた八田與一氏の事について報告したいと思います。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 (のざきゆうき)
2005-05-15 01:15:43
きちゃいました

さすがマニアック

ちょこちょこきまーす★

あたしのブログからリンクさせてもいい?
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どうぞどうぞ (はじめ)
2005-05-16 23:43:34
留学とNGO研修頑張ってねー。ぜひぜひリンクさせて下さい。
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