鷹狩・狩猟

鷹の捕食シーンや狩猟で捕獲した動物の残虐とも取れるシーン等が含まれています。不快に思われる方の閲覧はご遠慮願います。

ハリス♀フリー・・・から低血糖症?

2011年03月27日 23時46分38秒 | 
795g

晃竜が亡くなってから2,3日で、この♀を850g弱で、無事フリーにできました。
850gでは、若干反応が悪かったので、さらに50gほど下げています。

今では、お互いに見えない場所でも餌合子の音と笛の音で、拳に飛んで戻ってきてくれます。
晃竜を埋めた場所をフリーにした♀を連れて何度も訪れました。
当初の目標は達成しましたが、この訓練が繁殖にどう影響を及ぼすのか、晃竜を失った今となっては確認の仕方もありません・・・

今日で訓練を終えようと思います。今後、この♀をどうするかまだ迷っています・・・

110325Harris Hawk Free flight.MOV


最後の訓練に、いつもの田んぼに向かいました。
風は強いでしたが、歩く僕の後ろをずっとついてきてくれます。風にのって気持ち良さそうに飛んでいます。やっぱりハリスはハリスの良さがありますね。かわいい。。
最後の訓練ですので、いつもより少し長めに飛ばしました。
一時間ほど飛ばしこんだところで、少し離れて呼ぶと拳に届く前に着地することが多くなりました。サボりはじめたな・・・と思ってました。
そろそろルアーをと思い、ルアーを振ると即反応しますが、やっぱり執拗には追いません。が、ルアーを掴んだらかなり興奮状態に見えました。
2度ルアーを掴ませたところで、少し、というか何か様子が変だなと感じました。足を曲げてぺったりと地面にへたり込んでいるように見えます。それでもルアーはしっかり掴んで離しません。
ルアーを引き離して、拳に乗せますが、足に力が入らない様子。。大分お疲れの様です。
今までも同じような状態はありましたが、直ぐに立ち上がりましたが、今回は何か違う・・・気がしました。
最後に活ウズラを用意していたので、これを獲らせれば元気になるだろうとウズラを出すと即反応で飛んできて掴みますが、そこからが何かヤバイ雰囲気になってきました。
掴んだまま食べようとしません。腰が抜けたようにぺったりと地面にへたり込み、目もうつろ。。
ここで、やっと「低血糖症」??を疑いました。かなり焦りました。
輸送箱に入れ、切り身を与えようとしましたが、食べることが出来ません。足にも力が入らないようで掴むことも出来ません。
そのうを触ると、結構餌は食っています。これが栄養に変わるまで持つのか??最悪の事態が頭をよぎります。そんな状態でした。
それから一時間強、なんとか更にウズラ1羽弱を食べさせることが出来ましたが、まだ立ち上がれません。部屋に箱ごと入れて暖めました。しばらくすると、何とか立ち上がり、直ぐに止まり木に飛び乗ってくれました。
ほっとしました。その後は落ち着いて、今は止まり木で片足上げてます。多分もう大丈夫ですが、大事をとって今夜は箱のまま玄関に入れてあります。明日は腹いっぱい食わしてケージに放すつもりです。

最後の最後で、また取り返しのつかないことをしでかす所でした。
疲れてるだけなのか、飽きてきているのか、低血糖症なのか、見分けがつかないとは、トレーナーとして完全に失格です。
自分なりに、肉色も何度も確認し、必ずウェイトは計っていたのですが・・・
フルウェイトから2割減でこのような状態になるとは・・あるいはフルウェイトの見極めをミスしていたのかも知れません。
ルアー等、興奮状態になると、エネルギーを急激に消耗するのかもしれません。
なんにせよ、もっと細かく様子をチェックしながら訓練をする必要があります。反省・・・


晃竜さようなら・・・’110309

2011年03月10日 23時03分39秒 | 
昨日は少し明るい内に仕事から戻れました。
2階にあるハリスのケージの様子を見に階段を上がりました。

ハリス♀はシェルフパーチに繋いでいます。いつもなら大人しく止まってるのですが、パーチの上には姿が見えません。
シェルフパーチの横で、ハリス♀が何かの上に乗ってるのが見えました。
一体何が起こってるのかわかりませんでした。
ルアー??にしては大きいです。カラス??みたいに見えました。まさか、ケージにカラスが入り込むはずもなく・・
尾の先が少し白い・・・晃竜(ハリス♂)・・・??
この間一瞬・・そして、頭が真っ白になりました。

それでもグローブを取りに降りてケージに飛び込みました。
ハリス♀は案外素直に晃竜を放してくれた様に思います。

晃竜は・・・見るも無残な姿でした。
あんなに綺麗だった首のあたりの毛並みは引き抜かれ、胸の方の肉は引き裂かれていたように思います。胸の方は直視できませんでした。背中側はまだ綺麗な方でした。

「ああ・・・」とも「おお・・」とも分からない声を発してケージの中で晃竜を抱いてうずくまりました。真っ暗になっても涙が止まりません。
「ごめんなさい。ごめんなさい。。」何度も酷い顔をした晃竜の背中をさすりました。
ハリス♀は何事もなかったかの様に、大人しくパーチに止まり、不思議そうな表情で僕らを見てたように思います。

晃竜とハリス♀は2006年の秋から同じケージで暮らしていました。
一昨年からは抱卵もしていましたが、2年連続無精卵。
メスが少し神経質で気が強く、いつも晃竜はタジタジでした。
今年は一度も訓練されてない♀を少し訓練してから繁殖に・・・と考えていました。
メスのウェイトは昨日の朝時点で850gを切っていました。(フルで1030前後)
忍縄一杯(40m位)の渡りでも反応は良く、餌合子でも、ほぼ即反応でした。今日明日にでもフリーに出来そうな感じでした。
ただ、転がる石にでも羽根を割り・・・まぁ、それくらいの入れ込みの方がフリーにはし易いかな?くらいの感じでした。
エガケに据えたまま、舞竜(オオタカ♀)や晃竜にケージ越に近づけても、お互いに羽根を割ることもなく、どちらかと言うと目にも入っていないような態度でした。

晃竜のケージと、ハリス♀のシェルフパーチのあるケージは、一枚の壁で仕切ってありました。そこに出入りするためのドアが付いていました。そのドアは簡単な鍵で固定される様になっています。先週末にケージの掃除をした際に、その鍵をかけ忘れていた様です。
昨日は風が強く、鍵の掛かっていないドアが風の力で開いて・・・
ハリス♀は自由に動ける距離は50cmそこそこ。晃竜が開いたドアからメスのほうに近づいて行ったのです。
晃竜は少し発情も始まっている気配があったので、あるいは、メスのところに餌を運んだのかも知れません。
羽ばたいた晃竜を獲物と認識したのでしょうか。ハリス♀は晃竜を・・・

晃竜は、僕が始めて訓練した鷹でした。若の状態で家に来て、お互いに何も分からない状態でドキドキしながら一緒に成長してきました。
オオタカの舞竜を始めるまでの何シーズンかは一緒に狩もしました。
結局、獲物は何も獲らせてあげることは出来ませんでした・・・
オオタカで、ある程度獲物が獲れる様になったら、また晃竜と狩をしたいな。と思っていた矢先でした。

訓練をしている時は、田んぼを一緒に散歩したり、ずっと後を着いて来たり、姿が見えなくなっても笛一吹きで、一目散に僕の拳に帰ってきてくれました。
繁殖用にケージに放した後も、餌を持っていくと、「クゥ~」と鳴いて近づいてきてくれたりしましたし、尻尾の先なんかを撫でても怒りませんでした。。
毎朝、彼を見ると心が癒されました。
親馬鹿で語弊があるかも分かりませんが、ハリスという鳥は(あるいは晃竜だけかもしれませんが)、餌という繋がり以上の何かを築けるような気がします。

オオタカを訓練していると、ハリスは大人しいと感じました。
ケージ越にお見合いさせても、お互い襲い掛かるような様子はありませんでした。
ましてや、4年以上同じケージで暮らしていた仲間です。
・・・そんな僕の勝手な解釈が、たった1秒の「鍵をかける」という動作を怠らさせたのかもしれません。
このハリス♀はインプリントです。あるいは、ワイルドであったなら、どんなに飢えても仲間を襲うようなことは無かったのかも知れません。(素人の考えですが・・)

しかし、晃竜を殺したのはこのハリス♀ではありません。
明らかに飼い主である僕です。
あの無残な晃竜の姿が何度もフラッシュバックしてきます。その度に手にぎゅっと力が入ります。まるで晃竜を絞め殺してるみたいに・・・

今は後悔と晃竜に対する懺悔の気持ちしかありません。
晃竜は100%僕を信じてくれていたはずです。
そんな僕が開く様にしていた扉の向こうは、彼にとって確実に安全な場所だったはずです。
そんな晃竜の信頼を僕は最後に裏切ったのです。。。
鍵をかける、あの1秒だけを取り戻したい・・・

こんなことになるなら、繁殖なんて考えなければ良かった。
このメスを、仲間を襲うまで飢えさせるような訓練はしなければ良かった。。。
狩に行っても、獲物は獲れなくても、無事に鳥と一緒に帰ってこれるのが一番幸せであること。
鳥が病気や怪我をせず元気で居てくれることがどんなに幸せであることなのか、今彼を失って改めて感じます。

今朝、うっすらと雪が積もりました。
寒い日も風の日も、いつも晃竜と一緒に訓練に励んだ田んぼの近くの、鴨がいっぱい居る池のほとりの林の中に晃竜を埋めました。

人間である限り、「うっかり」と言うミスは必ずつきまといます。これを無くすことは出来ません。
でも、その1秒が、無残に大切なパートナーの生命を奪うことがあります。
特に猛禽と言う鳥は、その身体的な特長にも、その内に潜む本能にも、危険が潜んでいます。
だから、今回はなら、2重扉にするとか、自動で鍵が下りるとか、そんな工夫をするべきだったのでしょう。

もし、これを読んで下さっている猛禽飼育者の方がいらっしゃったら、どうかもう一度自分の鳥を繋いでいるリードや、ホコに異状がないか確認してあげてください。
ケージが危険な状態でないか、一度のうっかりミスで取り返しがつかないことになるような構造になってないか、見直してあげてください。
僕も今の状態が安全であるとは言えません。少しずつでも改善していくつもりです。

やはり猛禽はケージの中にいるより、大空を自由に飛んでいる姿が美しいです。
もう一度、晃竜を飛ばせてあげたかった。。。
晃竜からは足環だけもらいました。アルミなのでなんとかニッパーで切断できました。
もう僕との「信頼」にさえ縛られない本当の自由な姿で、大空を飛んで欲しいと思います。

晃竜は、僕に鷹の素晴らしさを最初に教えてくれた鳥です。
それだけではなく、自然の厳しさや優しさ、生命そのものについても、いっぱい考えさせてくれました。
もう少しだけ、一緒に居たかったです。
ありがとう。
そしてごめんなさい。。。さようなら・・・

この記事を晃竜に捧げます。


031101 いつもの田んぼ まだ若




040404 ちょっと鷹らしい?でもまだ若色




040404 この写真が好き




101127 巣箱から・・baby見たかったな・・




110310 足環だけもらっとくね。ありがとう。さよなら。。