鷹狩・狩猟

鷹の捕食シーンや狩猟で捕獲した動物の残虐とも取れるシーン等が含まれています。不快に思われる方の閲覧はご遠慮願います。

晃竜さようなら・・・’110309

2011年03月10日 23時03分39秒 | 
昨日は少し明るい内に仕事から戻れました。
2階にあるハリスのケージの様子を見に階段を上がりました。

ハリス♀はシェルフパーチに繋いでいます。いつもなら大人しく止まってるのですが、パーチの上には姿が見えません。
シェルフパーチの横で、ハリス♀が何かの上に乗ってるのが見えました。
一体何が起こってるのかわかりませんでした。
ルアー??にしては大きいです。カラス??みたいに見えました。まさか、ケージにカラスが入り込むはずもなく・・
尾の先が少し白い・・・晃竜(ハリス♂)・・・??
この間一瞬・・そして、頭が真っ白になりました。

それでもグローブを取りに降りてケージに飛び込みました。
ハリス♀は案外素直に晃竜を放してくれた様に思います。

晃竜は・・・見るも無残な姿でした。
あんなに綺麗だった首のあたりの毛並みは引き抜かれ、胸の方の肉は引き裂かれていたように思います。胸の方は直視できませんでした。背中側はまだ綺麗な方でした。

「ああ・・・」とも「おお・・」とも分からない声を発してケージの中で晃竜を抱いてうずくまりました。真っ暗になっても涙が止まりません。
「ごめんなさい。ごめんなさい。。」何度も酷い顔をした晃竜の背中をさすりました。
ハリス♀は何事もなかったかの様に、大人しくパーチに止まり、不思議そうな表情で僕らを見てたように思います。

晃竜とハリス♀は2006年の秋から同じケージで暮らしていました。
一昨年からは抱卵もしていましたが、2年連続無精卵。
メスが少し神経質で気が強く、いつも晃竜はタジタジでした。
今年は一度も訓練されてない♀を少し訓練してから繁殖に・・・と考えていました。
メスのウェイトは昨日の朝時点で850gを切っていました。(フルで1030前後)
忍縄一杯(40m位)の渡りでも反応は良く、餌合子でも、ほぼ即反応でした。今日明日にでもフリーに出来そうな感じでした。
ただ、転がる石にでも羽根を割り・・・まぁ、それくらいの入れ込みの方がフリーにはし易いかな?くらいの感じでした。
エガケに据えたまま、舞竜(オオタカ♀)や晃竜にケージ越に近づけても、お互いに羽根を割ることもなく、どちらかと言うと目にも入っていないような態度でした。

晃竜のケージと、ハリス♀のシェルフパーチのあるケージは、一枚の壁で仕切ってありました。そこに出入りするためのドアが付いていました。そのドアは簡単な鍵で固定される様になっています。先週末にケージの掃除をした際に、その鍵をかけ忘れていた様です。
昨日は風が強く、鍵の掛かっていないドアが風の力で開いて・・・
ハリス♀は自由に動ける距離は50cmそこそこ。晃竜が開いたドアからメスのほうに近づいて行ったのです。
晃竜は少し発情も始まっている気配があったので、あるいは、メスのところに餌を運んだのかも知れません。
羽ばたいた晃竜を獲物と認識したのでしょうか。ハリス♀は晃竜を・・・

晃竜は、僕が始めて訓練した鷹でした。若の状態で家に来て、お互いに何も分からない状態でドキドキしながら一緒に成長してきました。
オオタカの舞竜を始めるまでの何シーズンかは一緒に狩もしました。
結局、獲物は何も獲らせてあげることは出来ませんでした・・・
オオタカで、ある程度獲物が獲れる様になったら、また晃竜と狩をしたいな。と思っていた矢先でした。

訓練をしている時は、田んぼを一緒に散歩したり、ずっと後を着いて来たり、姿が見えなくなっても笛一吹きで、一目散に僕の拳に帰ってきてくれました。
繁殖用にケージに放した後も、餌を持っていくと、「クゥ~」と鳴いて近づいてきてくれたりしましたし、尻尾の先なんかを撫でても怒りませんでした。。
毎朝、彼を見ると心が癒されました。
親馬鹿で語弊があるかも分かりませんが、ハリスという鳥は(あるいは晃竜だけかもしれませんが)、餌という繋がり以上の何かを築けるような気がします。

オオタカを訓練していると、ハリスは大人しいと感じました。
ケージ越にお見合いさせても、お互い襲い掛かるような様子はありませんでした。
ましてや、4年以上同じケージで暮らしていた仲間です。
・・・そんな僕の勝手な解釈が、たった1秒の「鍵をかける」という動作を怠らさせたのかもしれません。
このハリス♀はインプリントです。あるいは、ワイルドであったなら、どんなに飢えても仲間を襲うようなことは無かったのかも知れません。(素人の考えですが・・)

しかし、晃竜を殺したのはこのハリス♀ではありません。
明らかに飼い主である僕です。
あの無残な晃竜の姿が何度もフラッシュバックしてきます。その度に手にぎゅっと力が入ります。まるで晃竜を絞め殺してるみたいに・・・

今は後悔と晃竜に対する懺悔の気持ちしかありません。
晃竜は100%僕を信じてくれていたはずです。
そんな僕が開く様にしていた扉の向こうは、彼にとって確実に安全な場所だったはずです。
そんな晃竜の信頼を僕は最後に裏切ったのです。。。
鍵をかける、あの1秒だけを取り戻したい・・・

こんなことになるなら、繁殖なんて考えなければ良かった。
このメスを、仲間を襲うまで飢えさせるような訓練はしなければ良かった。。。
狩に行っても、獲物は獲れなくても、無事に鳥と一緒に帰ってこれるのが一番幸せであること。
鳥が病気や怪我をせず元気で居てくれることがどんなに幸せであることなのか、今彼を失って改めて感じます。

今朝、うっすらと雪が積もりました。
寒い日も風の日も、いつも晃竜と一緒に訓練に励んだ田んぼの近くの、鴨がいっぱい居る池のほとりの林の中に晃竜を埋めました。

人間である限り、「うっかり」と言うミスは必ずつきまといます。これを無くすことは出来ません。
でも、その1秒が、無残に大切なパートナーの生命を奪うことがあります。
特に猛禽と言う鳥は、その身体的な特長にも、その内に潜む本能にも、危険が潜んでいます。
だから、今回はなら、2重扉にするとか、自動で鍵が下りるとか、そんな工夫をするべきだったのでしょう。

もし、これを読んで下さっている猛禽飼育者の方がいらっしゃったら、どうかもう一度自分の鳥を繋いでいるリードや、ホコに異状がないか確認してあげてください。
ケージが危険な状態でないか、一度のうっかりミスで取り返しがつかないことになるような構造になってないか、見直してあげてください。
僕も今の状態が安全であるとは言えません。少しずつでも改善していくつもりです。

やはり猛禽はケージの中にいるより、大空を自由に飛んでいる姿が美しいです。
もう一度、晃竜を飛ばせてあげたかった。。。
晃竜からは足環だけもらいました。アルミなのでなんとかニッパーで切断できました。
もう僕との「信頼」にさえ縛られない本当の自由な姿で、大空を飛んで欲しいと思います。

晃竜は、僕に鷹の素晴らしさを最初に教えてくれた鳥です。
それだけではなく、自然の厳しさや優しさ、生命そのものについても、いっぱい考えさせてくれました。
もう少しだけ、一緒に居たかったです。
ありがとう。
そしてごめんなさい。。。さようなら・・・

この記事を晃竜に捧げます。


031101 いつもの田んぼ まだ若




040404 ちょっと鷹らしい?でもまだ若色




040404 この写真が好き




101127 巣箱から・・baby見たかったな・・




110310 足環だけもらっとくね。ありがとう。さよなら。。

最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kai)
2011-03-11 10:15:12
記事を読んでとてもショックでした…。
私がまだハリスを飼育する前から、Dragonさんの日記を拝見し参考にさせてもらってたので、当時のことを思い出しました。
初めての鷹だけに思い入れは格別ですよね。
なので、事故を目の当たりにした時のお気持ちには胸が痛む思いです。
慰めの言葉もありませんが、晃竜の冥福をお祈りします。
返信する
Unknown (Somebody)
2011-03-11 10:44:56
残念でしたね。
インプリントの♀との自然交配は無理だろうという考えと、もしかしたらという考えが入り混じっていたので、止めた方が良いということを躊躇していました。
晃竜にこの曲を捧げます。
http://www.youtube.com/watch?v=U5W4RjTW3zQ&feature=related
返信する
ありがとうございます。 (Dragon)
2011-03-12 00:14:14
>kaiさん
いつもありがとうございます。
鷹で狩をしてるといつも危険と隣り合わせです。ロストの危険、猫やイタチに掛かってしまったり、交通事故等・・でも、今回の場合は完全に僕の責任です。しかも最も残酷な命の落とし方をさせてしまった・・晃竜の苦しみを思うと胸が締め付けられます。同じハリス、赤霧には晃竜の分も幸せに生きて欲しいです。何よりも健康であることを願ってます。
返信する
ありがとうございます。 (Dragon)
2011-03-12 00:23:47
>Somebodyさん
美しい曲をありがとうございます。
Somebodyさんに訓練の仕方などいつも情報を頂いていますが、こんな単純なミスで晃竜を失ってしまったのはそれ以前の問題ですね。インプリントのメスでも、一応4年間も何事もなく同じケージで生活し、抱卵までこぎつけたので、メスに訓練を入れてもう少し素直な鳥になれば、もしや・・・と思ったのですが。。たった一度のミスで取り返しのつかない結果になってしまいました。彼の「Little Wing」には多くを学ばせてもらいましたが、晃竜にもアドバイスを頂いた方々にも申し訳ない気持ちでいっぱいです。しかし、これからも間違いなどがあればビシバシご指摘ください。最後にはそれが鳥にも飼い主にも幸せなことになると思います。
返信する
Unknown (ごまきち)
2011-03-23 06:38:56
遅くなりましたが・・・

確かに飼育している以上、過失はあってはならないことですが、あまりご自分を責めませんように・・・

ただ、Dragonさんのところにはまだ別のハリスのペアもオオタカもいるので書きます。ごめんなさい・・・

ちょっと確認させて頂きたいのですが、交尾はしていたのですよね?
交尾をしていたのなら、インプリがどう、ってのは無いと思います。
晃竜さんがメスに食べ物を渡すために接近したのなら、それまでの二羽の関係はしっかりオスとメスだったのではないでしょうか。

ハリスの繁殖での事故は過去確かに聞いたことはあります。
それまで繁殖をしていたペアで、メスがオスを殺す、という事故です。
が、それはやはり食べさせていなかったことが原因でした。
インプリかどうかよりも(勿論交尾もしていないのなら別ですが)、飢えの方が問題になると思います。
繁殖を狙うのなら、豊富な食べ物は必須です。

うちもハリスは繁殖していて雛も何羽と孵りましたが、オスとメスの関係はやはりメスが強くて、それに比べオスはぱっと見た感じビクビクしているように「見えます」。常に仲良し!な感じでは、全くないです。
それでもうちは今年で・・・7年?8年?ハリス夫妻は一緒にいますが、交尾もしています。
オスとメスの関係は、うちでもそんな感じです。

あと・・・
インプリのメスなら、そこまで下げることなく訓練することは・・・無理だったのでしょうか・・・?
勿論私はDragonさんのハリスを見たことがないので、一癖も二癖もあるという場合の手段かもしれないですし、一概に言えませんが・・・

そして、猫やイタチにもかかる、それは無いです。
うちの訓練した鷹たちは全て教えた獲物にしかかかりません。
キジを狙って、ガサガサ音がするのでキジだ!と羽合わせして、それが猫だった場合、行かずに反れます。
実際それで猫が出たことも、オオタカの若が飛び出たこともありましたが、どちらの場合も反れました。キジの場合にしか、行くことはありません。

こんな時に酷なコメントでとても心苦しく大変申し訳ないのですが、猛禽を飼育、訓練し続ける以上、お伝えした方がいいと思い・・・(あくまで私だったら、ですが、知りたいと思うので・・・)すみません。

不快でしたら削除して下さって構いません。

私も、最初の鷹はハリスのオスでした。
とても大切にしていた鷹を、突然失った経験もあります。
なので、お気持ちは分かるのです。分かるからこそ、この先のことを思い、余計なコメントをしました。

申し訳ありませんでした。晃竜さんのご冥福をお祈り致します。






返信する
ありがとうございます。 (Dragon)
2011-03-27 23:44:49
>ごまきちさん
返信遅くなってしまって申し訳ありません。
不快だなんてとんでもないです。経験豊かな方のアドバイスをいただけるのはとてもありがたいことです。

家にはオオタカ♀の「舞竜」と今回亡くなったハリス♂の「晃竜」とその相方のハリス♀の3羽がいました。
晃竜とこの♀の交尾は実際に目では確認していません。ただ、このハリス♀は2年連続抱卵はしましたが、共に無精卵でした。
晃竜は発情しているようで、♀に近づいていくのですが、いつも蹴飛ばされているのしか見たことがありませんでした。
そこで、他の方何人かにも相談して、一度も訓練されてないこの♀を一度訓練してみようと晃竜と離して訓練をしていました。その際の事故です。

インプリントだから・・と言うのは、ハリスは集団で生活をすると聞いていましたので、自然下で、もし飢餓状態になった時にでも仲間を襲うということはないのかな?と素人なりにふと思ったのです。

どこまで詰めるかはどこまで訓練するのか?によると思いますが、一応フリーフライトまでを思ってました。そこで、フルウェイトの2割減(800g程度)くらいまでは落とそうとしてました。反応や様子を見ながら、1%/日(日に10g程度)を目安にウェイトを落としてました。
この♀を手に据えて、ケージの網越にオオタカの舞竜や、相方の晃竜に何度も近づけましたが、お互い羽根を割る素振りは全くありませんでした。どういった状況で晃竜が掴まれたのかは不明ですが、慣れた環境であるケージの中で、獲物のように羽ばたくなどのなんらかのきっかけがあって、この♀のスイッチが入ってしまったのかも知れません。
でも、今日の記事にも書くつもりですが、最後の最後に低血糖症のような症状が出て、ぞっとしましたので落としすぎだったのかも分かりませんね。。まだまだ経験が足りません。。

ネットが普及しましたが、まだまだ情報量の少ない猛禽飼育です。気付いたことをご指摘いただけるのはありがたいですし、他の方も同じ様な過ちを避けることがができればと思います。
ですので、今後とも色々とアドバイスよろしくお願いします。
ありがとうございました。
返信する