若い頃の事だが、俺の知り合いのオンナ(彼女)に、男に誘われるとすぐに身体を開く子が居た。
知り合いの男も、結構いい加減な奴で、金が無くなるとそのオンナを誰かに抱かせ、
金を取るような事をしていた。
俺はそのオンナの事を「バカ」と思っていたのだが、
ある時、皆で酒を呑んでいる場で、そのオンナの考えを知る機会があった。
曰く、その子に言わせると男に求められると、求めて来た男が可哀相に思えて、
つい、身体を開いてしまうのだと言った。
玩具にされて棄てられる、あるいは「その場限りの本能のはけ口」にされていると判っていても、
男が懇願するのを見ると、「自分が我慢すれば・・・」と思ってしまうとも言っていた。
俺はそのとき、「何を都合のいい事を言っている!自分が軽いだけやんけ」と思った。
でも、この歳になってくるとそのオンナが言っていた言葉は、
案外本心だったのかも知れないと思い始めた。
優しいがゆえに受け入れてしまう哀しみとでも言おうか・・・。
見方を変えれば、性的にだらしないとも見えるが、
反面、そういった「優しさ」も存在しうるのかも知れないのだ。
本当の優しさって、どういったものなのだろう?
ところで、先日仙台地裁で少年事件の判決で死刑判決が出た。
裁判員裁判で初めての死刑判決だが、
被告の育った家庭環境などが「同情に値するが、
刑の軽減にまで結びつくとは言えないとの結論だったという。
俺もそう思う。
所詮は自分の物差しで手を下した犯罪だし、
何人もの命を奪って自分は生き永らえるのは不公平だ。
人生は貸借対照表どおりでないといけない。
最後は「プラス・マイナス零」であるべきだ。