高校政経

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山口二郎『若者のための政治マニュアル』講談社現代新書

2009年02月02日 | Weblog
 著者は北海道大学の政治学の教授。民主主義を使いこなすために10のルールを提示してそのことについて解説しています。ルール1は、「生命を粗末にするな」。あんなやつは死んでも当然という政治家は絶対にゆるさない、という強い書き出しから始まります。2004年イラクで日本人の若者などが人質になる事件の際、イラクからの自衛隊の撤退を要求する武装勢力の捕まったときに、人質となった日本人に対して、マスコミからは「自己責任」という論調が多くだされました。当時の小泉内閣からも、自衛隊は撤退させない、テロには屈しないという姿勢のみが宣言されました。その結果一人の若者が殺害されましたが、世の中の同情は多くはありませんでした。
 政治家に「あんなやつは生きる値打ちがない」といわせてはならない。その政治家の価値観と違う人間は「あんなやつ」にされるかもしれない。政治家の第一の使命は、人間が人生をまっとうできるように平和を守ることである、と著者は主張しています。
 映画「相棒」も上記のをテーマにしています。
 「権利を使わない人は政治家からも無視される」「本当の敵を見つけよう、仲間内のいがみ合いをすれば喜ぶやつが必ずいる」などの部分も刺激的です。