高校政経

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04 関西 経済 インフレ・デフレ GDP

2006年05月27日 | 入試問題
(  )内が語群からの選択になっていました。(  )内を意識して読んでください。

 1990年代初頭、いわゆる(バブル経済)が崩壊して以降、わが国の経済は長く低迷を続けている。とりわけ、物やサービスの価格が下がる(デフレーション)が大きな問題となっている。しかし、戦後の高度経済成長から(バブル経済)の崩壊に至るまで、わが国の経済にとって大きな問題はむしろ物やサービスの価格が上昇し、お金の価値が低下していく(インフレーション)であった。ここでは、物価をめぐる経済問題を考えてみよう。
 一般に(インフレーション)の原因には大きく二つの要因が考えられる。景気がよくなり人々の物やサービスヘの(需要)が高まると,企業による物やサービスの(供給)が追いつかなくなり、物価が上昇することになる。これは増大する(需要)が物価を引き上げるという意味で(ディマンド・プル・インフレーション)と呼ばれる。
 一方、企業は賃金や原材料価格など(生産コスト)が上昇すると、利益を確保するため自らが生産する物やサービスの値段を引き上げる。企業の(生産コスト)が物価を引き上げるという意味でこの(インフレーション)を(コスト・プッシュ・インフレーション)と呼ぶ。
 いずれの(インフレーション)においても、経済活動は縮小しているわけではない。戦後の経済運営に強い影響力を持った(ケインズ)派経済学においても、(インフレーション)のなかでは失業者は増えないと考えられていた。
 しかし、1970年代、(石油輸出国機構 OPEC)などによる2度にわたる原油価格引き上げに端を発した(オイル・ショック)は、物価の上昇と経済活動の停滞という。それまでとは異なる経済問題を引き起こした。この現象は一般に(スタグフレーション)と呼ばれている。安い原油に支えられ生産設備を増強してきた産業は過剰生産設備を抱え、構造的不況に陥り、わが国の高度経済成長は終息に向かった。物価上昇も激しく、1974年の消費者物価上昇率は前年比で約(20)%台に達し、実質GNPは戦後初めて(マイナス成長)となった。
 今日の(デフレーション)はいかなる意味で問題なのであろうか。(デフレーション)は物やサービスの(需要)より(供給)が多いため物価が下がる状態をいう。消費者にとって物価か下がることは購買力の上昇をもたらすため望ましいことである。しかし、生産物が売れなくなると企業は生産を減らし、従業員の給料を減らし、さらには解雇する必要に迫られる。その結果、失業者が増えると(需要)は抑制され、ますます企業の生産物は売れなくなる。企業は売り上げを伸ばすために生産物価格を引き下げても、企業の収益は減少するので、さらなる給与引き下げや解雇が必要となる。いわゆる企業の(リストラ)が本格化することになる。こうして物価が下がり続ける一方で、失業が増大し、景気がどんどん悪化する(デフレ・スパイラル)という現象が発生することになる。 物価の下落という一見消費者にとって望ましい現象は、それが持続的な景気の停滞に結びつく場合、必ずしも望ましいものではないことが分かる。