映画『ゲルマニウムの夜』@一角座を観ました。
(原作:花村萬月)
スルメと、スニーカーと、輸入化粧品を眺めながら
アメ横を通りぬけ、上野公園へ。
■□一角座って??□■
一角座(いっかくざ)は
『ゲルマニウムの夜』を上映するためだけに建てられた映画館。
上野国立博物館の敷地内にあります。
鉄骨むき出しの体育館のような建物に客席は150席ほどですが、
立派なスクリーンと整った音響設備に「仮設」っぽさはありません。
会場の大きさに見合わぬ人数のスタッフがごていねいにお出迎えしてくれますし、
鑑賞後、日が暮れて薄暗くなった帰り道は、
小ぶりなちょうちんで足元を照らしてくれるというホスピタリティ(笑)
鑑賞券には国立博物館の入場券もくっついているという、
なんともユニークな上映スタイルなのです。
■□で、映画はどうだったかというと□■
花村萬月(はなむら・まんげつ)の原作は暴力と性描写のインパクトが強烈ですが、
それに負けずに読み進めると、みごとな心理描写を味わえます。
宗教要素も相まって、読み応えはじゅうぶん。
これを映画でどう表現するのかには、興味がありました。
結論からいうと、
この映画は小説の美しい「挿絵」です。
ストーリーではなく「絵」を観る映画でした。
どのシーンも、美しい絵の連続。
特にオープニングの雪(白)と牛(黒)の映像が、よかったです。
ただしストーリーは、小説を読んで確認しましょう。
たとえば「キックガッツ」のシーン。
「祈り」とか「裏切り」とか、複雑にゆがんだ、哀しい心理が隠れてるシーンなんですけど(読んでみて!)、
映画ではやっぱり伝え切れてない。
滑稽で不可解な場面として、全体のトーンに色を添えるにとどまっています。
朧(ろう:新井浩文が演じる主人公)にナレーションで語らせたらよかったのかな?とか考えたけど、
説明的になってしまってもつまらんしね。
■□楽しみかた□■
1日に4回の上映。
【公園でお散歩+アメ横ぶらぶら+博物館で社会科見学+映画鑑賞&トーク聴講】
をフルコースで楽しむには、午前中に出かけないと時間が足りないかも・・・。
天気のいい日に、早起きして出直したいな♪(「リピーター割引」あり)
■□ゲルマシンガン・トーク□■
土日は18時からゲストを招いてのトークがあるのです。
今回は、
大森立嗣(おおもり・たつじ)監督×ホンマタカシ氏!!!
司会進行役もいなくて、トークはちょっとグダグダ(笑)
大森氏は、ホンマタカシ氏の映画『きわめてよいふうけい』(同名の写真集もアリ)で
助監督を務めていたそうで、まさに「満を持して」の初監督です。
映像の美しさはホンマ氏も太鼓判を押してました。
トークの内容から、一部おすそ分け☆
●ホンマ ★大森監督 ○観客
●:あのロケーションはいいよねぇ。どこなの?
★:岩手県××郡。撮影はほとんどその周辺で。
●:北海道とかなのかなぁ、と思ったんだけど?
★:北海道にも行ってみたけど、ちょっと違った。
壮大すぎて安心感を与えちゃうというか。
あと、「山」とか「松」も風景に入れたくなかった。
日本人は、そういうのに対しては先入観みたいのを持ってるからね。
●:確かに日本ぽさがないよね。お墓のシーンはかっこよかった。
あれだけ引いて撮る、っていうのは勇気がいるんだよ。
CMの仕事とかでも、「もっと引いて」って言われたりするんだけど、
「この監督、わかってて引けっていってるのかな?」とかね(笑)
撮影はどんな人?
★:カサマツさんの一番弟子。
●:いいね。
★:撮影に入る前に一緒にいろんな映画をいっぱい観て、
こういう感じ、とかを話しました。
○:どんな映画を?
★:ベルトリッチとか。
○:ホンマさん、写真と映画は違いますか?
●:全然違います。写真は「断片」ですから。
○:大森さん、花村萬月さんの原作を読んで、
どんなところが気に入って映画にしようと思ったのですか?
★:彼の小説はいくつか読んで好きだったけど、これは特に好き。
どうせ撮るなら、他の人が映画にしないものを撮ろうと思いました。
○:お互いに「コイツはすごい!」と思うところは?
●:大森くんはインテリだよね(笑)
映画パンフのコメントとか、意味わかんないもん。
★:あとで説明します(笑)
あれ、わかんない?わかんないかぁ・・・
●:いつかは撮るんだろうな、と思ってました。
覚えてるのはこのくらい。
以上、半分は自分のための覚書でした。
長くてすみません・・・
そろそろ梅雨入りっぽいですけど、晴れ間を見つけて散歩がてらどうぞ☆