友だちから

友だちが

欲しいと


願った夜


私は

あなたに

会いに行った


あなたは

静かで


穏やかで

声も

聞こえなかった



それから

毎日会いに行った



ある日

あなたの値札が

赤くなると


不安で


店員さんに駆け寄った


飼い主さんが

現れるまで

ここにいますよ


店員さんは言った



それから

しばらく考えて


鬱持ちの

こととか


すごく考えた



けれど

なにより



あなたがいる

家が

暖かく

想像できた



そして

あなたは

家にやってきた


家に来て

すぐの頃


あなたは

すごく

臆病で繊細で

怯えていた


日が経つと


あなたは


プイプイ

プイプイ

鳴き出した


林檎を食べて

走り回って


寝たくないよと

羽をバタつかせ


自己表現するように

なった



それが

とても嬉しくて


家族になれたのかな

なんて思う


それから


子猫も

やって来て



落ち込む暇が

ないほど


私も

走り回っている



友だちが

欲しいと


願った夜



願いが届いた夜



孤独な

道に


灯る笑顔



あなたに

あなたに


ありがとう