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こんな貝が採れた

海岸での打ち上げや、磯採集、漁港での採集と、貝集めのブログです。

トウガタカニモリ

2014-08-29 21:27:03 | 巻貝類
以前他の所でも紹介した事があるのですが、ここでも書いてみます。
トウガタカニモリは、串本周辺でも打ち上げではよく見かける貝で、特に上浦では多い貝の一つです。
打ち上げやヤドカリ入りの物は目につきますが、生きた物が見つかりにくいですね。
この貝は、普段は砂や砂利の中に潜って生活している事が見つかりにくい原因だと思います。
確か2007年に知り合いからの画像にトウガタカニモリの生きた標本があって、それに驚いた事がありました。
と言うのも、そのトウガタカニモリは普段串本で見かけるタイプの貝ではなく、奄美や沖縄で見るタイプのものだったからです。
それまでは、そんなタイプは見た事がなく、2007年に見つかると言う事は、その2~3年前には生息を始めたはずです。
そのタイプも、2009年ごろには生きた物はほとんど見られなくなりました。
今でも死殻は見かけますが、生きた物の生息は解りません。

以前から串本周辺で確認されていた個体は、下の画像のタイプです。

串本町上浦産
このタイプは、今まで見つけた個体の大きさは、35.0㎜から53.5㎜、平均42.86㎜と、大小の差は18.5㎜であまり大きな差はありません。

これに対し、南方系のタイプは、下の画像のタイプです。

串本町田並産


串本町上浦産
このタイプの大きさは、17.7㎜から58.3㎜、平均38.0㎜と、大小の差は40.6㎜とかなり差が出ます。
実に約3.3倍となります。
この南方系のタイプの、小さなものは、ヒメトウガタカニモリと言う名がありますが、単なる矮小型だと思います。

同じ種類の貝で、こう言った別地方のタイプが同所的に棲息するという例は、今まで見た事がなかったので、新しい知見でした。
温暖化?による生息範囲が北に広がった場合は、こう言ったことも今後起こりうる事が考えられます。

チリメンクマサカ

2014-07-28 22:03:27 | 巻貝類
チリメンクマサカと言う貝は、和歌山、特に串本周辺ではかなり少ない貝で、私自身は現在まで3個採集したに過ぎません。
それも全て死殻標本で、生きた物はまだ見ていません。
日本近海産貝類図鑑には、高知県から熱帯インド・西太平洋に分布とあります。
水深は30~300mみ棲息。
日本及び周辺地域産軟体動物総目録にも、似たような生息範囲と水深が載せられていますが、私の標本は全て30~50m程度の浅い所のものです。
説明文には螺塔が高く、底面は縮緬状の顕著な螺状肋があると書かれています。
日本近海産貝類図鑑の貝は、付着物からやや南の方面の貝のように見えますが、あまり螺塔が高い個体ではなさそうです。
付着物があってはっきりとは解りにくいですが、和歌山産の個体を載せます。


Xenophora konoi Habe 1953
クマサカガイ科 チリメンクマサカ
串本町(旧古座町)田原産 死殻個体


Xenophora konoi Habe 1953
クマサカガイ科 チリメンクマサカ(底面)
串本町(旧古座町)田原産 死殻個体

底面の画像でも解るように、かなり縮緬状です。

もう一つの貝は、付着物が少なく、螺塔の高い事が解ります。




Xenophora konoi Habe 1953
クマサカガイ科 チリメンクマサカ
串本町(旧古座町)津荷産 死殻個体

採集年代は、1978年と1985年で、その後全く見ていません。


キクスズメ

2014-07-14 18:37:31 | 巻貝類
同じような貝が続きますが、キクスズメは通常はトコブシやサザエに着いて見つかる事が多い貝です。
阪神貝類談話会の会誌『かいなかま』Vol28 No1 P9~10には、岡村親一郎氏の記事で、このキクスズメのホストは、クロアワビ、マダカアワビ、トコブシ、サザエ、コシタカサザエ、シマメノウフネガイ、レイシ、ヒメヨウラク、フトコロガイの9種類を確認したと報告されています。
この記事を読んでから、他にもありそうなので、採集する度に標本として残したものを今回追加として報告したいと思います。
単純に『何に着こうがキクスズメだろ!』と言ってしまえばそれまでですが、そこは貝を集めるものとしての拘りの範囲と言う事で、あえて紹介します。
他にも採集や確認した方がいたら教えてほしいですね。

まず最初は、トコブシから

残念ながらホストは置いていない。
今後ホスト付きの標本を置く予定です。

次にヒラアナゴウ。
二個体確認しています。


これもホストのないサザエ。


クボガイ。


ウラウズガイ。


ホストはないがギンタカハマ。
底面部分についているので、殻高がかなり低くなっています。


クチベニレイシダマシ。
この貝自体は和歌山県では少ない。


レイシ。
かなりな高確率で付いている所もある。


シロレイシ。
これは少ない。


ウネレイシダマシ。


イボニシ。


クリフレイシ。


クロフレイシダマシ。


フトコロガイ。


キイロカニモリ。


岡村氏の報告にはない種類が、11種類ありました。
合計で20種類となります。
アッキガイ科の貝は、潮間帯に生息する種類はかなり確率が高くなりそうです。



スズメガイ

2014-07-08 22:04:26 | 巻貝類
海岸の打ち上げではよく見かける貝ですが、生きた物は磯でも注意してみないと見過ごされがちです。
潮間帯の磯などに、台座を作り生息している事は、あまり知られていませんね。
岩ごと採集してきたものを紹介したいと思います。
殻にぴったりの台座を作って、手では剥がせないくらい強く付いています。


4個体着いています。


台座部分です。


ウズマキグルマ

2014-06-19 21:40:00 | 巻貝類
最初この貝を見た時は、とてもクルマガイの仲間とは思えませんでした。
ミミズガイ類か、何かの奇形かとも考えていましたが、Architectonidae of the Indo-Pacificと言うクルマガイの図鑑でクルマガイの仲間と言う事を知りました。
その図鑑には、日本で4種ほどが採れると書かれています。
その中でもこのウズマキグルマは、一番多く大きい種類のようです。
潮岬沖でもこの仲間は記録されていて、水深150mを越えないと出てこないようです。
記載以外は他ではあまり紹介されていない様なので、載せてみます。


Spirolaxis cornuammonis Melvill & Standen 1903
クルマガイ科 ウズマキグルマ
串本町潮岬沖ドレッジ揚り水深170m 4.5㎜



Spirolaxis cornuammonis Melvill & Standen 1903
クルマガイ科 ウズマキグルマ(底面)
串本町潮岬沖ドレッジ揚り水深170m 4.5㎜



Spirolaxis cornuammonis Melvill & Standen 1903
クルマガイ科 ウズマキグルマ(側面)
串本町潮岬沖ドレッジ揚り水深170m 4.5㎜