とね日記

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発売情報: Cirq量子計算入門 : 中山茂

2018年08月25日 15時44分25秒 | コンピュータ
Cirq量子計算入門 : 中山茂」(Kindle版

Python量子プログラミング入門: 中山茂」が出たのは今年の6月末だった。この分野が日進月歩なのはわかるが、中山先生の執筆ペースの速さには脱帽である。今回は2018年7月18日に公開されたGoogleの量子コンピュータNISQを使うためのPythonによるCirq量子プログラミングを解説した本である。

量子コンピュータの発展史(リンク集)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/91fa592173ea1b2a6e53ae0c84323751

Cirq量子計算入門 : 中山茂」(Kindle版



2018年8月15日刊行、210ページ

【目的】
2018年7月18日に公開されたGoogleの量子コンピュータNISQを使うためのPythonによるCirq量子プログラミングについて解説しています。 公開されてまだ3週間も経ちませんが、Python言語を使って無料でGoogleの量子シミュレータが使えるCirq量子計算入門書です。

Googleが量子コンピュータNISQ向けオープンソースフレームワーク「Cirq」パブリックアルファ版を発表
https://gigazine.net/news/20180719-google-cirq/

【概要】
Googleの量子コンピュータNISQは、間もなく登場する72ビットの量子プロセッサーBristleconeの量子コンピュータ実機への実装に向けた布石で、量子ゲート方式の量子シミュレータとして登場しました。 そこで、Cirq量子計算を行うPythonプログラムについて解説した動作確認済みの実践的な入門書です。 Googleは、量子ゲート方式に使われている量子プロセッサには、今後50~100程度の量子 ビットが使われる中規模の量子コンピュータが普及すると想定していると思われる。 一般 に、量子ゲート方式の問題点は、ビット反転雑音や位相反転雑音などの量子ノイズを避ける ことが出来ず、今後、量子ノイズのある中規模の量子コンピュータが実用的に使われること が予想される。このような量子ノイズが避けられない中規模の量子コンピュータの普及機 として、NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)を構築しようとしている。 このNISQ を、今回量子シミュレータとして公開し、将来的には 中規模の量子コンピュータ の普及実機で動作させよう としている思われる。 量子コンピュータがビジネスで使える時代になってきており、それに備えた斬新な解説入門書です。テキストでは、95例のCirqコードで分かりやすく丁寧に解説しています。 拙著「Pythonクラウド量子計算QISKitバイブル」「Python量子プログラミング入門」で解説した、定番の量子ゲートから量子アルゴリズム、量子通信プロトコル、グローバー探索アルゴリズム、量子フーリエ変換、ショアの因数分解アルゴリズム、関数傾斜推定アルゴリズム、さらに、イジングモデルでの断熱量子計算、組み合わせ最適化問題をCirq量子計算コードで解説しています。 これらのCirqコードを約209頁で丁寧に解説した本格的な入門書です。このテキストで十分にCirqコードによる量子計算の基礎と応用が習得できます。     

【特徴】
組み合わせ最適化問題では、論理演算の真理値表を求めるイジングモデルでの断熱量子計算や、Number Partition問題におけるイジングモデル、MaxCut問題におけるイジングモデル、ドイチ問題のイジングハミルトニアンについて解説し、実際にCirq量子計算コードを作成して、これらの組み合わせ最適化問題の探索解を求めています。
  
【著者】
中山 茂 (なかやま しげる)  京都生まれ。 京都大学大学院工学研究科博士課程修了後、上智大学、英国Reading大学、京都工芸繊維大学、兵庫教育大学、英国Oxford大学、鹿児島大学を経て、2014年に定年退職。

【目次】

◾️第1章 Google NISQ とPython開発環境
 1-1 Pythonのインストールと開発環境
 1-2 AnacondaとJupyter notebook
 1-3 Cirqの設定
 1-4 Cirqドキュメント

◾️第2章 量子コンピュータNISQのためのCirq
 2-1 CirqによるPythonプログラミング
 2-2 Cirqによる量子計算入門

◾️第3章 量子ゲートの基礎
 3-1 量子回路でのCirq量子ゲートの基礎
 3-2 2量子ビット以上のCirq量子計算
 3-3 Cirqの基本ゲートでのX, Y, Z測定
 3-4 Cirqコードの制御NOTゲート
 3-5 ユニタリ回転ゲート
 3-6 多重制御Uゲート

◾️第4章 量子アルゴリズム
 4-1 ドイチアルゴリズム
 4-2 ドイチ・ジョサアルゴリズム
 4-3 ベルンシュタインヴァジラニアルゴリズム
 4-4 サイモンアルゴリズムのCirqコード

◾️第5章 量子通信プロトコル
 5-1 量子テレポーテーション実験
 5-2 量子高密度符号実験

◾️第6章 グローバー探索アルゴリズム
 6-1 グローバーの探索アルゴリズム
 6-2 データベースN=8でのグローバー探索アルゴリズム

◾️第7章 量子フーリエ変換
 7-1 量子フーリエ変換の定義
 7-2 N=2nの量子フーリエ変換
 7-3 逆量子フーリエ変換ゲート

◾️第8章 ショアの因数分解アルゴリズム
 8-1 古典的因数分解アルゴリズム
 8-2 量子関数の作り方
 8-3 量子オラクルの作り方
 8-4 関数傾斜推定アルゴリズム

◾️第9章 イジングモデルでの断熱量子計算
 9-1 イジングモデルとは
 9-2 イジングモデルの断熱量子計算
 9-3 イジングモデルのハミルトニアンの量子ゲート実装
 9-4 イジングモデルでの断熱量子計算の基本

◾️第10章 組み合わせ最適化問題
 10-1 論理演算のイジングモデルでの断熱量子計算
 10-2 Number Partition問題におけるイジングモデル
 10-3 MaxCut問題におけるイジングモデル
 10-4 ドイチ問題のイジングハミルトニアン
 10-5 イジングハミルトニアンのエネルギー準位

【著者】
中山 茂 (なかやま しげる)  京都生まれ。 京都大学大学院工学研究科博士課程修了後、上智大学、英国Reading大学、京都工芸繊維大学、兵庫教育大学、英国Oxford大学、鹿児島大学を経て、2014年に定年退職。


実行環境、ガイド:

これらの本を頼りにして量子計算を試してみたい方は以下のページも参考にしていただきたい。

Google、量子コンピュータにおけるNISQ向けオープンソースPythonフレームワーク「Cirq」パブリックアルファを発表
https://shiropen.com/seamless/google-ai-quantum-cirq

Googleが量子コンピュータNISQ向けオープンソースフレームワーク「Cirq」を発表
https://qiita.com/YuichiroMinato/items/20ccfe9da8ad8a176093

Google Cirq:量子計算のためのPythonオープンソースライブラリ
https://www.infoq.com/jp/news/2018/08/google-cirq-quantum-library

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2018年11月に追記: 続編が刊行された。

Cirq量子アルゴリズム入門:中山茂
Cirq量子アルゴリズム N-Queens問題入門:中山茂

 


関連記事:

発売情報: クラウド量子計算入門: 中山茂
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d360b69100fbe723c5b9410dbf3f5f4d

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https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ad7dfbad69e1e196848be123e3f4ea3f

発売情報: クラウド量子計算 量子アセンブラ入門:中山茂
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/5c9a7f62bf27a2ca214911448bbf9847

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https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f7eb93f56f7f48bb05eaf8604848bbfa

発売情報:量子プログラミングの基礎: イン・ミンシェン
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/27e4d9a10982d4d69c0029fc4c801708

量子コンピュータ、量子アルゴリズムを学びたい高校生のために
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1b2940b648bda682aa27192eb8261972

量子コンピュータの発展史(リンク集)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/91fa592173ea1b2a6e53ae0c84323751


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