明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

J.I.フォーラム 「事業仕分け・オリジナル」

2010-10-27 | 事業仕分け
ゆうべは第159回J.I.フォーラム 「事業仕分け・オリジナル」―仕分けの本当の意義と今後の活かし方―
http://www.kosonippon.org/forum/detail.php?m_forum_cd=250 
にパネリストとして参加しました。

 国の事業仕分け第3弾前夜の緊急企画でした。会場も、いつもの東京財団からグランドアーク半蔵門に場所を移し、160人を超える来場者で、大盛況でした。
 構想日本が行政の事業仕分けを始めてから9年が経ち、国の仕分けの反響が大きかったせいもあり、賛同される方、批判される方とさまざまです。
事業仕分けの創設期から関わってきた私としては、偏見や誤解があると少し辛いですね。「ちょっと強気で目立っちゃう子どもだから欠点はあるかもしれないけれど、本当は情熱いっぱい、上手に育てればとっても良い子なんだけどなぁ・・・」という思いがあります。
 だからこそ、本当の意義などについて考えていただきたかったのです。

 フォーラム討論者は私のほか、音順に荒井英明さん(厚木市職員)、海東英和さん(内閣府公益認定等委員)、河野太郎さん(衆議院議員)、中村卓さん(構想日本)、山内康一さん(衆議院議員)で、コーディネーターは野中尚人さん(学習院大学教授)でした。
 しかし・・・開始10分前くらいに野中さんと顔合わせをし、シナリオなんて全然ない状態。発言は活発で、ある意味自由気ままに進行しました。
 討論は、無駄はどうして起きるのか?その理由や、乗り越える障壁となるものは何か、事業仕分けについての思いなどを中心に話し合いました。
 
 事業の無駄については、山内さんから「相対的な無駄」の存在を、河野さんからは「議会制度」について言及されました。
 私は、特に地方自治体で、制度と予算、人間系の問題、政策決定プロセスの問題、が大きな要因だと考えています。 
 制度については、国の地域振興策が法整備や予算面からも手厚く、地方の自由な活動を行うインセンティブを失わせるものが多かったこと。 試しに過去の法令や組織、地方決算額などを調べるとすごい数字が出てきますよ。これはまた別の機会にご紹介したいと思いますが。
 
 それから、市民の問題。住民に最も近い基礎自治体であるがゆえに、一部の声の大きい住民の意見が届きやすいです。一方、一般の市民はお任せ民主主義で、一部のテクノクラートが物事を進めるのを良しとする人が多い。(先進国比較調査結果でも、そのような結果でした。)
 このようなことから、政策決定プロセスも不透明です。ごく限られた方が、ごく一部の声を聞き、知らないところで決める。その中身は、国の制度に乗っかり、補助金や交付税をあてにし、隣町には負けたくない、横並びの意識などが働いた結果、あれもこれものフルセットに陥りがちです。

 こんなことが今日の無駄の背景にあると考えています。これらを少しでも解消するための手段の1つとして、事業仕分けの原則である「公開」&「外部の目」を
利用していただければと思います。

 また、河野さんが「予算委員会でも事業の名称だけを見て審議していた。実際の事業を見ると実態と乖離していた」と、おっしゃっていたように、現に行われている事業内容を紐解くことが重要なのです。聞こえの良い事業名に惑わされないことがポイントですね。 

 次に、「公開処刑」という批判に対しての問いには、説明者側の問題、仕分け人の態度、発信するメディアの問題・・・などが討論者から指摘されましたが、私が思う最大かつ難しい問題は、受信者である国民ひとりひとりのメディアリテラシーが未成熟なことなのではないかと思います。
 ある報道について、正しいのか、反証はないのか、他の方向から見たらどうか、など自分自身で考え判断しているのでしょうか?何の確証もなく、「事業仕分けって、なんだかひどく乱暴な話をしているらしい」などと言うことは、少なくとも、ある程度のレベルの方はやらないはずだと思います。

 議会のあり方も河野さんが熱く語っていらっしゃいました。野党となった自民党は議会をどのようにしていくのか、注視したいです。

 最後に、それぞれの考えを述べましたが、行政で直面する以上のような問題を解決するためには、私は「市民力の掘り起こし」が必要だと思っています。
やはり、行政内部での議論には限界もあるので、外部から行政活動を監視・評価し、説明責任を求めていく仕組みづくりが必要だと思います。

 そのためにも、事業仕分けで使う全国共通の「事業概要説明書」により、事業の見える化を進め、具体的事象に基づいた論理的な説明により理解が進み、行政事業に関心が持て、参画意欲が高まると考えます。

 このようにことが民意の反映となり、政策の正当性・妥当性向上に活かせるのではないでしょうか。

 2時間は長いと思っていましたが、1人20分の持ち時間はあっという間でした。こんな貴重な機会をいただき、構想日本や登壇者の皆さんに感謝した夜でした。 
 参加されたみなさま、熱い視線を送って聞いてくださり、とても励みになりました。本当にありがとうございました。

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2 コメント

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Unknown (齊藤裕康)
2010-10-28 15:14:29
J.I.フォーラムお疲れ様でした。私もこのフォーラムは初参加でしたが,国の事業仕分け第三弾の前日かすごい人でしたね。昨日,初日を見てきましたが,人も多く関心の高さを伺えました。
私もこれかがさらにスキルを精進しますが,仕分けオリジナルメンバーとしてがんばってください。仕分けをさらによくしておきましょう。政策メッセも途中でのぞかせていただきます。
では。
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こんばんは (ksmrsmk)
2010-10-28 23:49:50
事業仕分け第3弾前夜の緊急集会は正解でしたね!今回のJIフォーラムは、若い研究者の方なども多く活気がありましたね。
登壇の方とは、気心知れた関係でおつきあいいただき、事前の打ち合わせもなく「適当に話そうね」で終わりでしたよ。1日深い話をする事業仕分けチームには連帯感が生まれますね。
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