リメンバー 石井紘基

故石井紘基議員の存在を過去のものにしてはならない。石井紘基の業績と遺志を伝えていくBLOG

ありもしない"市場"

2005年05月07日 | 石井紘基の著書から
わが日本国では、この周到に編みあげた官制経済体制のシステムの下に、政治家たちが笛を吹き「景気対策は税金をバラ撒くもの」「経済は政府の政策と予算で支えるもの」との"原理主義"を普及させ、学者も評論家もマスコミも、そして経済人といわれる人々までがこぞってこうした集権的意識構造の下に振る舞っているのである。

その結果、国の本来の会計であるコ般会計」予算は八五兆円と書いたカモフラージュ(迷彩)の中に置かれ、実際の運営は誰も知らない二六〇兆円という巨額のカネが闇の中のコウモリの大群のように飛び交うことになった。

この中で補助金として配分される金額は少なくとも五〇兆円、公共事業関係で支出されるカネは国だけで三〇兆円にもなる構造が完成しているのである。

この国の「経済」は端的にいえば、国と地方と合わせて国民の税金と貯金、年金、保険積立金など三五〇兆円を上から流し込んで消費しているだけのものだ。

つまり、市場特有の拡大再生産機能によって生み出される果実はないに近い。
経済的価値を創出する"市場〃が死亡状態となり、回復不能の、借金が借金を呼ぶ財政破綻構造に陥っている。
積もり積もったほんとうの借金額は1〇〇〇兆円を超えてしまっている。

いやこの重い病を癒す方法は、ありもしない"市場”に向かって"金融対策”だ"景気対策”だと無駄な金を突っ込むことではない。
問題は単なる経済政策の領域にあるのではない。
その鍵は"市場”と権力のあいだにあるのである。

ー日本が自滅する日ー 序章より