リメンバー 石井紘基

故石井紘基議員の存在を過去のものにしてはならない。石井紘基の業績と遺志を伝えていくBLOG

退職金も課税強化 変わる雇用形態 優遇税制、時代に合わず

2005年05月25日 | お役所の仕事


政府税調 老後の糧…世代間に不公平ない見直しを
 給与収入に比べると、大幅に軽減されている退職金に対する課税の見直し論議が、政府税制調査会(首相の諮問機関)で進んでいる。日本型終身雇用制が崩れつつあることや、企業によっては給与を税制で優遇されている退職金に上乗せして従業員の税負担を軽くするような動きも出てきたためだ。ただ、財政赤字を埋める手立てとはいえ、年金受給額も減っていく中、老後の貴重な資金である退職金の目減りに反発も出そうだ。(大塚昌吾)
 退職金課税が軽いのは、「退職金には長期間の勤務の対価の後払いと、退職後の生活の原資という性格がある」(財務省主税局)ことに配慮しているためだ。
 例えば退職金二千万円もらった人が払う税金は三十八万五千円。二千万円の給料をもらう人(夫、専業主婦と子供二人=うち一人が十六-二十二歳の特定扶養親族=の世帯)が払う税金、四百五十四万五千円に比べると、差は十倍以上。
 現在の制度では、退職所得控除は勤続年数が二十年を超えると、ぐんと控除額が増える。控除額は、勤続年数二十年まで一年につき四十万円、勤続年数が二十年を超えると一年につき七十万円になる。
 三十年勤めて二千万円の退職金をもらった場合、四十万円×二十年と七十万円×十年の計千五百万円が控除対象。さらに、その残りの二分の一(二百五十万円)だけが課税対象という優遇もある。退職金が控除額を下回れば税金はかからない。ちなみに海外では、基本的には給与と異なる課税の仕組みはなく、退職金の課税控除は日本独特の制度でもある。
 見直し論議の背景には、こうした優遇税制が「時代に合わなくなっている」という声がある。個人所得税改革の中で政府税調が昨年行った雇用形態などの調査では、正規雇用者の割合が下がり能力給の採用企業が増えたことが裏付けられた。また、雇用契約の短い外資系企業では、給与分を退職金に上乗せして支給し、従業員の税負担を軽減するといった従来にない問題も出てきた。
 政府税調では、終身雇用を前提に老後を退職金に依存する旧来の雇用形態が変わりつつあると位置付け、早ければ平成十八年度改正で控除を縮小し、控除後残額の二分の一課税についても改める見通しだ。
 ただ、財政再建の過程で、必要性の疑われる減税措置を見直すのは当然だとしても、多くのサラリーマンは依然として旧来の雇用形態の中で暮らし、老後は退職金が生活の大きな糧になることは間違いない。
 政府税調の石弘光会長も「一挙に見直すと退職金を期待して生活設計している人もいるので時間をかけたい」と話すが、導入までの猶予期間や、世代間で不公平の生じない見直しが求められる。
(産経新聞) - 5月22日2時31分更新