見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

自治会がなりたたない高齢者地域

2007-01-17 23:52:42 | 仕事・職業
我自治体内に、高齢化率36%という山間の地区がある。日本の2005年の高齢化率が20%強、2025年に30%と予測されているので、その地区は、30年後の日本の将来モデルとも言える地域である。
それでも、その地域の一人暮らしの高齢者率は14%弱。

ところが、一人暮らしの高齢者が20%以上という地区が中心地周辺にある。高齢化率25%なので、高齢者のほとんどが一人暮らしということになる。

昨夜、公営住宅の密集する地区で行った会合でのこと。
この地区で特に気になったのは、「一人暮らし高齢者世帯の増加による地域自治の崩壊」という課題だった。自治会の役員のなり手がない。雪かきがされない道路が増える。

「うちの地区は、180世帯のうち、67世帯が一人暮らしです。一人暮らしを集めるのは行政施策でしょうか」現実の訴えだが、皮肉ともとれる口調だった。
3件に1件が一人で暮らす公営住宅。現状をイメージするだけ侘しい。孤独死して数日後に家族に発見された事例も実際に聞いた。

一人暮らしの高齢者を民間の賃貸住宅は敬遠する。家賃ももちろん高い。自ずから公営住宅に一人暮らしの高齢者希望が集まり、公平な選定の結果、そうした高齢者が入居する。そして、一人暮らしが集まる地区ができていく。

90歳になる私の祖母も一人暮らしだ。
彼女は、「一人で暮らすから緊張感がある。誰かが食事を作ってくれるようになったら、すぐ呆ける」と言い放つ。

彼女のような高齢者ばかりではないだろうが、多様な人々が集い、地域や組織を重層化していく姿を理想としたとき、行政がなすべきことは何なのかを改めて考えさせられる。


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