見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

ベトナムより日本の方が社会主義国っぽいでしょ

2007-06-02 21:18:01 | ベトナム
日焼けした顔が若々しい浅野哲美さん(岐阜市出身)は、ベトナムに住んで14年。この夏44歳になる。日本に事務局のあるNGOのベトナム駐在員と環境保全企業の社員という二つの肩書きをもち、この地で結婚した。
北海道大学理Ⅱに学ぶうち、マングローブの植林活動を仕事にしている企業があることを知り、自分の求めていた仕事がそこにあると感じて即刻北大を休学。入社を希望して社長に面談を申し入れるも「この仕事には大学卒業の学歴が必要」と言われてマングローブ研究の第一人者のいる琉球大学に入学。卒業と同時に、同社へ入社した。しばらく国内の事業に従事し、念願のマングローブ現場への赴任が決まったのは29歳の時。自分の夢を追う楽しさを感じさせるストーリーだ。
「緑を増やすというミッションを達成することが仕事になるってすばらしいでしょ。しかも、ボランティアじゃない。それで生活していくということも魅力的」と笑った顔が素敵な浅野さん。

奥さんは日系銀行に勤務するベトナム人。「お金と共に、彼女も引き出してしまったというわけです(^^!)」4歳の愛娘がいるが、ベトナムでは女性が働くことは一般的。浅野さんも当然、家事を担うが、住み込みのお手伝いさんが炊事を担当している。
「日本が恋しいと思ったことはないかな。ここにいるのがごく自然で肌に合うというか。特にベトナムにこだわってきたわけでもなく、マングローブという緑を増やすことが楽しいですし。アフリカで緑を増やす仕事があれば、行くかもしれません。ただ、今は家族ができて、ベトナムという国への愛着が深まりました。家族の存在は大きい。実は今、自分の家を建てているんです。」日本とは別の空気の社会で根を張ろうとしている浅野さんが羨ましく見える。
「ベトナムを社会主義国家と意識したことですか?ほとんどないかな。だって、日本に比べると何もかも自由だから。日本は皆が集団で行動し、様々なルールに従うことを求められている。日本の様々な縛りに比べればベトナムの方が遥かに自由でしょ?」
            

この地に骨を埋める、などいう気負いはない。ただ、自分のやりたい仕事があり、愛する家族がいるから、この場所にいるだけ。各地の自治体と組んでマングローブの植林事業を推進するコーディネータを務める仕事はやりがいがある。地球上の緑が増えていく姿を見ることが幸せ、地球に住むならどこでも同じ、日本でも、ベトナムでも、と浅野さんは、羨ましいほどの明るい笑顔を見せた。
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