文庫本の帯に「日本中が涙した記録的ベストセラー」とあり
父も涙するのだろうかと読んでみた
作者の少し特徴のある文体は父にはあわないが
ストーリーはよく吟味されており最後まで一気に読まされてしまった
遠藤周作ならばもっともっと大きなドラマ仕立てになるような題材であり
少し展開はありふれていた感もなくはない
あまり重い小説がうけない時勢でもあるが
ともすれば表面的な勧善懲悪になりやすい世間に対して
「善」と「悪」が表裏一体であり
単純に引き剥がして割り切れるものではないことを訴えられている
ただ、受刑者である兄の心はそう簡単なものだろうか
自身の境遇や世間の風の冷たさは、房に留められている
彼の心に吹き込まなかったのだろうか
その意味では、読後には素直に感動したものの
加害者である兄の心情の素直さだけが少し気になる作品だった
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