コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

展示品解説

2008-02-15 13:43:54 | 
卒論ミュージアム☆、本日です!!!



みんな、何出してくるんだろうなぁ。

たのしみだなぁ。

私の担当は、私自身の卒業論文に関わる物と、ちょいトリビア。


詳細を掲載できる物は追々。


(黄表紙ノート) ファイル 一冊
小二田誠二
大学三年生の82,4,21「卒論のことなど」で始まり、近世小説をテーマにすることを決めつつ迷っていた頃のメモが83,2,7まで続く。大学院に入ってから延広真治先生の黄表紙演習を受けるようになってからのメモと併せて一冊とし、日記をテーマに定めて以降は別のファイル(卒論関係)にした。


(卒論関係) ファイル 一冊(緑)
1983頃
小二田誠二
大学三年生の春1983,2,26に始まり、1984,1,15論文決算に至るメモ。題目届けの下書き、部分的な原稿。最終的な参考文献リストや経費まで書き出してある。初日には「こんなにうまくいくわけはない」、最後には「もうよみかえす気力もない」と言う走り書きがある。


『井関隆子日記』上中下 三冊
井関隆子(1786~1844)
勉誠社 1981,5
出版当時「近世の清少納言」と喧伝された旗本の妻の日記。高い教養に裏打ちされた美しい文章で、新しく発見された古典文学作品として評価されている。天保十一年から十五年まで。桜山文庫所蔵。


『小梅日記』123 三冊
河合小梅(1804~1889)
平凡社 1974~1976
筆者は和歌山学習館督学(学長)の妻。日常生活を情感豊かに書き記し、史料的価値も高く読み応えのある日記。本書には嘉永二(1849)年から明治十八(1885)年分を収録。原本は和歌山県立図書館所蔵。


「日知録」
(コピー)
沼野峯(1771~1828)
『和歌山市史』第五巻近世史料1(1975)所収
当時「現存最古の主婦の日記」と言われた、和歌山の質屋の妻の日記。寛政三年・文政八年の分が沼野家に現存。


『松陰の日記』
(コピーファイル 二冊)
正親町町子(?~1724)
博文館 1914
江戸時代に女性が書いた日記として最も有名な作品。柳沢吉保が側室であった町子に『栄花物語』を模して書かせたと言われる物語的な日記で、「文学的」過ぎて卒業論文ではあまり触れなかった。今では岩波文庫で読める。


(卒論関係) ファイル 一冊(黄)
小二田誠二
参考文献リストに基づき、ルーズリーフ一枚に一文献と定めて、必要部分を抄出した物。当時はまだコピーが高く、書写が普通だった。後ろのポケットには図書館の請求表や領収証まで入っている。


「天保期、少年少女の教養形成過程の研究」
高井浩(1911~1979)
『群馬大学紀要 人文科学篇』(1964~1973)所収
コピーは全九回の内1・2・3・5の四回分。
幕末、桐生の裕福な機屋で育った姉弟の教養形成を、周辺人物情報を含む膨大な史料を駆使して明らかにした驚くべき論文。なぜ本になっていないのか疑問だった。


『天保期、少年少女の教養形成過程の研究』
高井浩(1911~1979)
河出書房新社 1991
この本の刊行によって、私がコピーを取った時点で著者が既に亡くなっていたという事実を知った。歿後~刊行の十二年間は私の受験~就職と一致して、感慨深い本になった。


「記録と文芸-近世主婦の日記から-」
(正本)
小二田誠二
1984,1
江戸時代のおばさんたちが付けていた「日記」は、“ブンガク”たり得るのか? 日記を材料に[文学/非文学]の境界に挑む野心作。丸善の原稿用紙は手触りがよい。


「記録と文芸-近世主婦の日記から-」
(副本)
小二田誠二
1984,1
 大学院入試のために副本を作る必要があり、学務係に提出するとすぐにまた借り出してコピーした。その内の一冊を和綴じにした物。表紙は研究室のゴミ箱にあった事典のカバー。


(卒業アルバム)
写真アルバム 一冊
埼玉大学教養学部1A『未来人』編集スタッフ
1984
おまけです。最終頁、謝恩会の写真に写っている男四人の内三人は現在大学の教員をしている。一番優秀だった左から二番目の男は修士論文を書いたあと病死した。


『國文學 解釈と鑑賞』「論文への道」
至文堂 1957,5
巻頭論文は戦前から東京京帝国大学教授であった久松潜一「論文を執筆する意義」。各大学別「どのように評価されるか」も興味深い。


『國文學 解釈と鑑賞』「続・論文への道」
至文堂 1958,5
「論文への道」第二弾の目玉は当時の大御所から第一線まで、錚々たる研究者が執筆した「私はこうして卒業論文を書いた」「私の卒業論文題目」など。和紙に筆で書いていた時代があった!


『國文學 解釈と鑑賞』「新・論文への道」
至文堂 1962,5
特集第三弾は、テーマに近代文学が増えてきたことに対応して組まれた。この号の見所は何と言っても「心理テスト/あなたの将来をきめる文学研究法は?」。


「心理テスト/ あなたの将来を決める文学研究法は?」
村田宏雄
『國文學 解釈と鑑賞』(至文堂 1972,5)所収
お一人一枚。
お土産にどうぞ。


『宮廷女流日記文学』
池田亀鑑(1896~1956)
至文堂 1927
東京帝國大學国文學研究室編、國文學研究叢書の第七編。本書は昭和元年に提出された卒業論文「宮廷女流日記考」をコンパクトにまとめた物。原論文は原稿用紙一万八千枚、全二十三巻。


『播磨国風土記考』 (副本)
秋本吉徳
静岡大学人文学部 1971
 静岡大学人文学部言語文化学科、日文研究室に保管されている卒業論文の中で上製本されていた一冊。原稿用紙約三百枚。嘗ては、製本して提出することが普通で、大学の周りには製本屋が並んでいた。


課題研究 '07 第1回
授業用プリント 二枚
小二田研究室 2007
小二田研究室の卒業論文指導は、アンケートで頭を整理し、過去の卒業論文を批判的に読むことから始める。しかし、年間行事の多さに論文に割く時間が亡くなってしまうのが毎年のパターン。


『おもいっきり侃々』
萩谷朴(1917~)
河出書房新社 1990
久松潜一門下、“孤高の碩学”が記した雑文集。三十年近く前に書かれた「卒業論文を書くことの重大な意味」(初出は『国文学解釈と鑑賞』1979.11)は、現在もなお卒業論文が抱えている問題を明確に指摘する名文。

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