今回はスサノオ神を祀った神社のひとつ、岡崎神社をとりあげます。
京都には、スサノオ神を祀った神社は、八坂神社、粟田神社など数多くありますが、今回の岡崎神社はその中でもちょっと変わっています。
というのも、ここはウサギを神の使いとして祀ってある神社。つまり、ウサギの神社なのです。
ちょうど、今年の干支はウサギです。
それもあってか、今年に入ってからは初詣などで賑わったそうです。
正月からは随分と日が経ってしまいましたが、遅まきながら私も、このウサギ神社にお参りして来ました。
この神社の歴史は古く、平安京遷都と同年の794(延暦13)年です。
遷都の際、王城を守護するために平安京の四方に建立された社のひとつで、東にあったので「東天王・岡崎神社」と称されたそうです。
現在でも「方除け」「厄除け」の神様として信仰されており、建築時の地鎮祭などを盛んに行っているそうです。
また、かつて背後の紫雲山を始め、この辺り一帯がウサギの生息地であった事もあって、ウサギは神の使いと考えられました。
また、1178(治承2)年 に中宮の安産祈願が行われたことと、またウサギが多産で子授け・安産祈願の神様としても崇められています。
それでは、まずは場所というか交通手段から。
京都市営バスの「岡崎神社前」停留所。
この停留所のすぐそば。
「岡崎別院」と呼ばれる真宗大谷派のお寺が写真に見えますが、そのすぐ東隣が岡崎神社への入り口です。
岡崎神社の入り口です。
鳥居をくぐって中に入ってみます。
参道横をちょっと見ると、絵馬殿が。
見事な墨絵の馬が。
片隅には末社のひとつ、祖霊社が。
質素な感じの社です。
祖霊社ということは、先祖霊を祀った神社でしょうか。
三宮社と呼ばれる稲荷社の一種です。
ほとんどの神社には、お稲荷さんを祀った摂末社があります。
それらも含めると、京都市内には本当にたくさんの稲荷社があります。
それほど稲荷信仰は広まり、古くから京都には馴染みが深いようです。
本殿前。
本殿に上がる前に、ちょっと寄り道をします。
まずは向かって左側。
本殿の少し手前にある舞殿です。
能楽などが演じられていそうです。
次は、本殿前の右側に行ってみます。
「岡崎神社御旅所」と書いてあります。
御旅所といえば、神社のお祭りなどで御輿が巡幸する際に立ち寄ったり、目的にしたりする場所ですが、ここに御輿が納められているのでしょうか。
ここよりもうちょっと境内の右奥へ行くと、末社のひとつ、雨社があります。
日本神話にもよく登場する大山祇命(おおやまつみのみこと)の他、4人の神が祀られています。
元は大文字山(如意ヶ嶽)の山中にあったもので、雨乞いの竜神として崇敬されていたそうです。
さて、本殿の方に戻りますが、その前に大量の絵馬で飾られた場所が。
しかも、何人のも参拝者が集まっています。中には写真を撮っている人もいます。
何があるのだろうか、と思って近寄ってみました。
そしたら、黒いウサギの像が祀られている手水舎でした。
この黒いウサギの像は、「厄除子授兎」というもので、平成10年に55年ぶりに復元されたものだそうです。
なるほど、これは人気があるわけです。
いよいよ本殿に上がります。
正月から一ヶ月以上経った今でも、参拝者が絶えていません。
本殿を守る狛犬と唐獅子も、古そうですが、なかなかいい面構えで、風格を漂わせています。
狛犬もいいのですが、この神社ではより注目すべきは、やはりウサギです。
境内のウサギたちをご覧ください。
ウサギの像だけではなく、絵馬も。
いやー。
面白い神社ですね。
今年がウサギ歳というのもあるでしょうが、この神社が特に女性に人気がある理由がわかるような気がします。
ところで、本来この神社の主祭神であるスサノオ神(=牛頭天王)は、本シリーズでも何度か述べているように、元々は防疫神……というより、疫神や悪霊などの大ボスというべき怖い神様だったのですが。
それが時代を経て歴史を重ねたり、他の神様と一緒に祀られたり、さらにその土地に影響を受けたりして、「子授け・安産」など、より多くのご利益を授けられるようにパワーアップ、ヴァージョンアップされたりして。
天神こと菅原道真も、元々は怨霊・祟り神だったのに、「学芸の神様」とか「火難・水難除け」などの神様としての能力も得たりとか。
そういうところもまた、面白いと思うと共に。
自分たちを脅かす恐ろしい存在でさえも崇め奉ることによって、自分たちの都合のよいように変えてしまうという、京都人の、日本人の一種のしたたかさが見えるところも、また面白いと思います。
それでは、今回はここまで。
また次回!
※岡崎神社の地図はこちら。
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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