京都の闇に魅せられて(新館)

京都妖怪探訪(44):祇園祭・役行者山




 前回からの続きで、祇園祭に行った時の記事です。

 今回はいくつもある山鉾のうち、「役行者山(えんのぎょうじゃやま)」という山をとりあげます。
 
 役行者とは、「修験道の開祖」として有名な役小角(えんのおづの/おづぬ、634-706年)のことです。
 『日本現報善悪霊異記』などに記された伝説によれば、役行者は、若くして雲に乗って仙人と遊び、孔雀王呪経の呪法を修め、鬼神を支配し自在に操ったとされています。
 前鬼(ぜんき)と後鬼(ごき)という、2体の鬼を常に従えていた話も有名です。
 つまり、それほど凄い、伝説的な術者の一人であるわけです。
 古くは『続日本書紀』や『日本現報善悪霊異記』、及び全国に残る様々な民間伝承などで。
 現代でも、人気RPGシリーズ『真・女神転生』や、藤川桂介の歴史伝奇ファンタジー『宇宙皇子(うつのみこ)』、NHK人形劇『新八犬伝』など、多くのエンターテイメント作品にも登場するような有名な人物でもあります。

 妖怪ヲタク、オカルトマニアでもある私にとっても注目すべき人物の一人であります。
 その役行者を祀った山があると聞いて、祇園祭宵山の最初に探したのです。


 祇園祭に伴い、京都の中心街にあるいくつかの通りが歩行者天国になります。
 室町通りもそうした通りのひとつですが、室町通り歩行者天国の北の端、室町三条のあたりに、私が目指していた役行者山がありました。








 山が置かれている横の町屋を見ますと、何やらたくさんの人が出入りしていました。
 町屋の中に何かがあるのでしょうか?
 私も中に入ってみることにしました。








 小さな町屋の入り口から中に入ると、中には大勢の人たちが。
 中では、役行者山にのせる3体の神像を祀っているお堂と、山にかける綴錦などが公開されている場所がありました。
 小学生くらいの女の子たちが、歌声とともに厄除けの粽(ちまき)や御守りなどを売っている売り場も。















 奥の方には、何やら曰くありげな井戸と石もありました。





 それではちょっと失礼して、お姿を拝見。
 お堂の中をのぞいてみます。





 これが役行者山に乗せられる3体の像です。
 中央の「神変大菩薩」と書かれている像が、役行者です。
 左側は、「一言主(ひとことぬし)」という葛城山に居た神様です。
 右側は、女性の姿をした葛城山の神様です。
 
 この山と像は、役行者が一言主神などの鬼神に命じて大和国の金峯山と葛木山の間に橋をかけようとした伝説をモチーフにしているようです。
 もっとも伝説によれば一言主神は、役行者にこき使われた上に、自分の醜い姿を見られまいと昼間の労働を嫌がったために虐待までされたそうです(行者や聖人らしからぬ酷い話だという気も……)。
 それで一言主神が「役行者が謀反を企んでいる」と天皇に讒言したため、役行者は彼の母親を人質にした朝廷によって捕縛され、伊豆大島へと流刑になりました。
 こうして、橋は完成することはありませんでした。
 もっとも流刑になった後も、役行者は海上や空中を自由自在に移動し、各地に現れたとも伝えられていますが。



 しばしここで過ごし、御守り等も買った後、他の山も見て回ることにしました。

 長くなりまたしたので、続きはシリーズ次回以降に。
 なお、17日の「山鉾巡行」をもって「祇園祭は終わった」と誤解されている方も多いようですが。
 17日の「山鉾巡行」の後も、24日の還幸祭など、祭の全日程は31日の神社夏越祭(えきじんじゃなごしまつり)まで続きます。
 ですから、今月一杯まで祇園祭関係の記事もいくつか書きたいと思います。

 それでは、また。
 


 
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm


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